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原子力損害の補完的な補償に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第二号)概要

 本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。

この条約は、原子力損害の賠償額を増加するために締約国間で補完的な資金調達の制度を設けること、事故発生国に裁判管轄権が専属すること等を定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 この条約は、原子力損害についての民事責任に関するウィーン条約及び原子力の分野における第三者に対する責任に関するパリ条約のいずれかを実施する国内法令又はこの条約の附属書の規定に適合する国内法令に従って設けられる各締約国の賠償又は補償の制度を補完することを目的とすること。

二 この条約の制度は、締約国の領域内に所在し、平和的目的のために使用される原子力施設の事業者が責任を負う原子力損害に適用すること。

三 この条約の適用上、「原子力損害」とは、人の死亡又は人的な損害、財産の滅失又は損傷、それらの損害から生ずる経済的損失、重大な環境の悪化に対する回復措置費用等をいうこと。

四 原子力事故一件当たりの原子力損害に関する賠償又は補償は、次の措置等により確保されること。

1 原子力施設が自国の領域内に所在する締約国は、三億特別引出権(SDR)以上の金額を利用可能であることを確保すること。

2 1の金額に加え、締約国は、五に従って算定される公的資金の金額を利用可能とすること。

3 1及び2による原子力損害の賠償又は補償は、国籍、住所等による差別なく、公平に分配されること。

五 四2の公的資金を利用可能とするための拠出金は、原子力設備容量及び国連分担率から算定されること。

六 自国の裁判所が管轄権を有する締約国は、原子力事故により生ずる損害が四1に従って利用可能とされる金額を超え、又は超えることが見込まれ、かつ、四2に基づき拠出される公的資金が必要となる可能性があると認める場合には、他の締約国に対し当該原子力事故について直ちに通報すること。

七 自国の裁判所が管轄権を有する締約国は、六の通報後、四2の公的資金が実際に必要となる限度で、当該資金が実際に必要となる時に、他の締約国に対し当該資金を利用可能とすることを要請すること。

八 原子力事故による原子力損害に関する訴えの管轄権は、原則として、当該原子力事故が自国内で生じた締約国の裁判所に専属すること。

なお、条約の不可分の一部を成す附属書は、事業者が原子力損害について無過失責任を負うこと、原子力損害の賠償又は補償を受ける権利は、責任を負う事業者に対してのみ行使できること等を規定している。

また、我が国は、原子力施設の敷地内の財産であって、当該原子力施設に関連して使用されるもの等に生ずる原子力損害について、事業者が責任を負わない旨の規定等に対し、所要の留保を付する予定である。

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