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   所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)概要

 本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。

 この条約は、我が国とロシアとの間の現行の租税条約を全面的に改正し、両国間の緊密化する経済関係を反映して、投資交流の更なる促進を図るため、投資所得に対する源泉地国課税を更に減免するとともに、脱税及び租税回避行為により効果的に対処するため、条約の濫用を防止するための規定等を設けるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 この条約が適用される租税は、日本国については所得税、法人税、復興特別所得税、地方法人税及び住民税とし、ロシアについては団体の利得に対する租税及び個人の所得に対する租税とすること。

二 一方の締約国の企業の事業利得に対しては、当該企業が他方の締約国内に恒久的施設を有する場合には、当該恒久的施設に帰せられる利得にのみ当該他方の締約国において課税できること。

三 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該他方の締約国において課税できるが、当該一方の締約国でも、当該配当の受益者が当該配当を支払う法人の議決権の十五パーセント以上を直接に所有する法人である場合には当該配当額の五パーセントを、その他の全ての場合には当該配当額の十パーセントを、それぞれ超えない額を課税できること。ただし、当該配当の受益者が年金基金である場合には、当該他方の締約国においてのみ課税できること。また、一方の締約国の居住者が、他方の締約国内の不動産によりその価値の五十パーセント以上が構成される株式等から取得する配当に対しては、当該他方の締約国が当該配当額の十五パーセントを超えない額を課税できること。

四 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる利子に対しては、当該他方の締約国においてのみ課税できること。

五 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる著作権、特許権等の使用料に対しては、当該他方の締約国においてのみ課税できること。

六 この条約の特典の濫用防止のため、特典を享受できる者を一定の要件を満たす適格者等に限定すること。

七 両締約国の権限のある当局は、この条約の解釈又は適用に関して生ずる困難又は疑義を合意によって解決するよう努めるとともに、この条約に定めのない場合における二重課税を除去するため、相互に協議することができること。

八 両締約国の権限のある当局は、この条約の実施又は両締約国若しくはそれらの地方政府等が課する全ての種類の租税に関する両締約国の法令の運用若しくは執行に関連する情報を交換すること。

九 両締約国は、租税債権の徴収につき相互に支援を行うこと。

 なお、条約の不可分の一部を成す議定書は、一定の場合に情報提供を拒否できること等を規定している。

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