譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案(内閣提出第四三号)の概要
本案は、金銭債務を担保するため、動産、債権その他の財産を担保の目的とすることを内容とする契約の利用状況に鑑み、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関し、譲渡担保権者及び留保売主等の権利の内容、被担保債権の範囲、権利の順位等について定めるとともに、これらの権利の実行の方法等について定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 譲渡担保契約の効力等につき、次のとおり規定を設けること。
1 譲渡担保契約の効力に関する規律
㈠ 譲渡担保契約一般について、譲渡担保権の内容、被担保債権の範囲等に関する規定を設けること。
㈡ 動産譲渡担保契約について、譲渡担保権設定者による目的である動産の使用収益等に関する規定を設けるとともに、集合動産譲渡担保契約について、対抗要件の特例等を設けること。
㈢ 債権譲渡担保契約について、譲渡担保権者に対する第三債務者の弁済等に関する規定を設けるとともに、集合債権譲渡担保契約について、目的である債権の譲渡担保権設定者の取立権限等に関する規定を設けること。
2 譲渡担保権の実行等に関する規律
動産譲渡担保契約について、帰属清算方式による実行、処分清算方式による実行、譲渡担保権の実行のための引渡命令等に関する規定を設けるとともに、債権譲渡担保契約について、目的である債権の譲渡担保権者の取立権限等に関する規定を設けること。
3 破産手続等における譲渡担保権の取扱いに関する規律
譲渡担保権者について破産法等中質権を有する者に関する規定を適用する旨の規定を設けるとともに、再生手続等における担保権の実行手続の取消命令等に関する規定を設けること。
二 所有権留保契約につき、その対抗要件、再生手続開始の申立て等を解除事由とする特約等の効力等に関する規定を設けるほか、譲渡担保契約に関する規定を準用する等の規定を設けること。
三 施行期日
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。