民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出第8号)の概要
本案は、国際的な経済活動に伴う民事紛争の適正かつ迅速な解決を図るため、国際的な要素を有する財産権上の訴え及び保全命令事件に関して日本の裁判所が管轄権を有する場合等について定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 財産権上の訴えに関する国際裁判管轄法制の整備(民事訴訟法の一部改正)
1 被告の住所等による管轄権
被告の住所、主たる営業所等が日本国内にある場合に、日本の裁判所が管轄権を有するものとすること。
2 契約上の債務に関する訴え等の管轄権
契約上の債務に関する訴え、事務所又は営業所を有する者に対する訴え、不法行為に関する訴え等について、訴えの類型ごとに日本の裁判所に訴えを提起することができる場合を定めること。
3 消費者契約及び労働関係に関する訴えの管轄権
消費者契約及び労働関係に関する訴えについて、消費者及び労働者の権利保護に配慮し、日本の裁判所に訴えを提起することができる場合についての特則を設けること。
4 国際裁判管轄に関する合意
国際裁判管轄に関する合意の効力及び方式について定めること。
5 特別の事情による訴えの却下
日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合においても、事案の性質、応訴による被告の負担の程度等の事情を考慮し、当事者間の衡平を害し又は適正かつ迅速な審理を妨げることとなる特別の事情があるときは、訴えを却下することができるものとすること。
二 保全命令事件に関する国際裁判管轄法制の整備(民事保全法の一部改正)
保全命令事件について、日本の裁判所が管轄権を有する場合を定めること。
三 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。