調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律案(内閣提出第二九号)の概要
本案は、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結に伴い、その的確な実施を確保するため、和解の仲介を行う手続において成立した国際和解合意に基づく強制執行を可能とする制度を創設しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 国際和解合意の定義
当事者に対して紛争の解決を強制する権限を有しない第三者が、一定の法律関係に関する民事上の紛争について和解の仲介を行う手続において成立した合意であって、国際性(((1))当事者又はその親会社の本店が日本国外にある場合、((2))当事者が互いに異なる国に住所又は事務所若しくは営業所(二以上の事務所又は営業所を有する場合には、紛争と最も密接な関係がある事務所又は営業所。((3))において同じ。)を有する場合、((3))当事者が住所又は事務所若しくは営業所を有する国が、合意に基づく義務履行地又は合意の対象事項と最も密接な関係がある地が属する国と異なる場合)を有する合意を「国際和解合意」と定義すること。
二 適用範囲
1 国際和解合意のうち、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約又は同条約の実施に関する法令に基づき民事執行をすることができる旨の合意をしたものを執行力を付与する対象とすること。
2 国際和解合意のうち消費者紛争、個別労働関係紛争、家事紛争に関するものを執行力を付与する対象から除くものとすること。
三 国際和解合意に係る執行決定
1 国際和解合意に基づいて民事執行をしようとする当事者は、裁判所に対し、執行決定を求める申立てをする必要がある旨を定めること。
2 執行決定の手続につき、管轄、執行を拒否することができる事由の規定等を整備すること。
四 施行期日
この法律は、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約が日本国について効力を生ずる日から施行すること。