特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案(柴山昌彦君外五名提出、衆法第一〇号)概要
本案は、現下の宗教法人をめぐる状況に鑑み、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するため、日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 日本司法支援センターの業務の特例
特定不法行為等に係る被害者について、その資力の状況にかかわらず、民事事件手続の準備及び追行のために必要な費用の立替え等を行うとともに、当該費用の償還及び支払は一定期間猶予するものとしなければならず、かつ、必要かつ相当な範囲で免除できるものとしなければならないこととすること。
二 宗教法人による財産の処分及び管理の特例
1 指定宗教法人の不動産の処分等の所轄庁への通知及び公告の特例
㈠ 所轄庁は、被害者が相当多数存在すると見込まれ、財産の処分及び管理の状況を把握する必要があると認める対象宗教法人を、指定宗教法人として指定することができることとすること。
㈡ 指定宗教法人は、不動産を処分し、又は担保に供しようとするときは、少なくとも一月前に所轄庁に通知し、所轄庁は、速やかに当該通知に係る要旨を公告しなければならないこととすること。
㈢ ㈡に違反してした不動産の処分又は担保としての提供については、無効とすること。
2 特別指定宗教法人の財産目録等の作成及び提出並びにその閲覧の特例
㈠ 所轄庁は、指定宗教法人のうち、財産の隠匿又は無償の供与等により被害者の権利を害するおそれがあると認めるものを、特別指定宗教法人として指定することができることとすること。
㈡ 特別指定宗教法人は、毎会計年度の各四半期の財産目録、収支計算書及び貸借対照表を作成し、その写しを所轄庁に提出しなければならないこととすること。
㈢ 特定不法行為等に係る被害者は、㈡により提出された書類の写しの閲覧を求めることができることとすること。
三 施行期日等
1 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して十日を経過した日から施行すること。
2 この法律は、この法律の施行の日から起算して三年を経過した日に、その効力を失うこと。
3 政府は、施行後三年を目途として、この法律の延長を含めこの法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他所要の措置を講ずるものとすること。