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   海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案(内閣提出第六一号)の概要

 本案は、我が国の経済社会及び国民生活にとって、船舶航行の安全の確保が極めて重要であること、並びに海洋法に関する国際連合条約の趣旨にかんがみ、海賊行為の処罰について規定するとともに、我が国が海賊行為に適切かつ効果的に対処するために必要な事項を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 この法律において「海賊行為」とは、船舶(軍艦等を除く。)に乗り組み又は乗船した者が、私的目的で、公海(排他的経済水域を含む。)又は我が国領海等において行う⑴船舶強取・運航支配、⑵船舶内の財物強取等、⑶船舶内にある者の略取、⑷人質強要、⑸ ⑴から⑷の目的で行う船舶侵入・損壊、⑹ ⑴から⑷の目的で行う他の船舶への著しい接近等、⑺ ⑴から⑷の目的で行う凶器準備航行をいうものとすること。

二 一の⑴から⑷までの海賊行為をした者は無期又は五年以上の懲役に処し、⑸又は⑹の海賊行為をした者は五年以下の懲役に処し、⑺の海賊行為をした者は三年以下の懲役に処するものとし、⑴から⑷までの罪を犯した者が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処するものとすること。

三 海賊行為への対処は、この法律、海上保安庁法その他の法令の定めるところにより、海上保安庁が必要な措置を実施するものとすること。

四 海上保安官等は、海上保安庁法第二十条第一項において準用する警察官職務執行法第七条の規定により武器を使用するほか、現に行われている一の⑹の海賊行為の制止に当たり、当該海賊行為を行っている者が、他の制止の措置に従わず、なお船舶を航行させて当該海賊行為を継続しようとする場合において、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができるものとすること。

五 防衛大臣は、海賊行為に対処するため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において海賊行為に対処するため必要な行動(以下「海賊対処行動」という。)をとることを命ずることができるものとし、この場合においては、海上における警備行動に関する自衛隊法第八十二条の規定は、適用しないものとすること。

六 防衛大臣は、五の承認を受けようとするときは、海賊対処行動の必要性、区域、部隊の規模及び構成並びに装備、期間並びにその他重要事項について定めた対処要項を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならないものとすること。ただし、現に行われている海賊行為に対処するために急を要するときは、必要となる行動の概要を内閣総理大臣に通知すれば足りるものとすること。

七 内閣総理大臣は、五の承認をしたときはその旨及び六の対処要項に定めた各事項を、海賊対処行動が終了したときはその結果を、遅滞なく、国会に報告しなければならないものとすること。

八 海上保安庁法第十六条、第十七条第一項及び第十八条の規定は、海賊対処行動を命ぜられた海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官の職務の執行について準用するものとすること。

九 武器の使用に関する警察官職務執行法第七条の規定のほか、四で海上保安官等に認められた武器の使用に関する規定は、海賊対処行動を命ぜられた自衛官の職務の執行について準用するものとすること。

十 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行すること。

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