衆議院

メインへスキップ



   北朝鮮特定貨物の検査等に関する特別措置法案(内閣提出第六九号)の概要

 本案は、北朝鮮による核実験の実施、大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイルの発射等の一連の行為が国際社会の平和及び安全に対する脅威となっていること、並びにこの状況に対応し、国際連合安全保障理事会決議(以下「国連安保理決議」という。)第千七百十八号が核関連、弾道ミサイル関連その他の大量破壊兵器関連の物資、武器その他の物資の北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止を決定し、国連安保理決議第千八百七十四号が当該禁止の措置を強化するとともに、国際連合加盟国に対し当該禁止の措置の厳格な履行の確保を目的とした貨物についての検査等の実施の要請をしていることを踏まえ、我が国が特別の措置として実施する北朝鮮特定貨物についての検査その他の措置について定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 この法律において「北朝鮮特定貨物」とは、北朝鮮を仕向地又は仕出地とする貨物のうち、国連安保理決議第千七百十八号等により北朝鮮への輸出の禁止、及び北朝鮮からの輸入の禁止が決定された核関連、ミサイル関連その他の大量破壊兵器関連の物資、武器その他の物資であって政令で定めるものとし、「船舶」とは、軍艦等以外の船舶であって、軍艦等に警護されていないものとすること。

二 海上保安庁長官は、我が国の内水にある船舶が北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、海上保安官に、検査をさせることができるものとすること。

三 海上保安庁長官は、我が国の領海又は公海にある船舶が北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、海上保安官に、船長等の承諾を得て、検査をさせることができるものとすること。

四 税関長は、我が国の港にある船舶又は我が国の空港にある航空機(軍用機及び各国政府が所有し又は運航する航空機であって非商業的目的のみに使用されるものを除く。以下同じ。)が北朝鮮特定貨物を積載していると認めるに足りる相当な理由があるときは、税関職員に、検査をさせることができるものとすること。

五 税関長は、保税地域に置かれている貨物のうちに北朝鮮特定貨物があると認めるに足りる相当な理由があるときは、税関職員に、検査をさせることができるものとすること。

六 海上保安庁長官は、二又は三による検査の結果、北朝鮮特定貨物があることを確認したときは、当該船舶の船長等に対し、その提出を命ずることができるものとすること。

七 税関長は、四又は五による検査の結果、北朝鮮特定貨物があることを確認したときは、当該船舶の船長等若しくは当該航空機の機長等又は当該北朝鮮特定貨物の所有者若しくは占有者に対し、その提出を命ずることができるものとすること。

八 海上保安庁長官又は税関長は、六又は七により提出を受けた北朝鮮特定貨物を保管するものとすること。

九 海上保安庁長官は、一定の事由があるときは、船舶の船長等に対し、船舶を、その指定する我が国の港等に回航すべきことを命ずることができるものとすること。

十 公海にある日本船舶に対して外国の当局が二乃至五による検査に相当する検査を行うことについて我が国が当該外国に対し同意をしなかったときは、外務大臣は、国土交通大臣に対し、速やかに、その旨を通知しなければならないものとし、国土交通大臣は、通知を受けたときは、当該日本船舶の船長等に対し、二若しくは四による検査又はこれに相当する外国の当局による検査を受けるために当該日本船舶をその指定する港に回航すべきことを命じなければならないものとすること。

十一 日本船舶以外の船舶で公海にあるものについての三による検査又は六、七若しくは九による命令は、それぞれ、旗国の同意がなければ、これをすることができないものとすること。

十二 関係行政機関は、相互に緊密に連絡し、及び協力するものとし、自衛隊は、このほか、防衛省設置法、自衛隊法その他の関係法律の定めるところに従い、この法律の規定による検査その他の措置に関し、海上保安庁のみでは対応することができない特別の事情がある場合において、海上における警備その他の所要の措置をとるものとすること。

十三 ⑴六又は七による命令に従わなかった者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとし、⑵二、四又は五による立入り、検査、収去若しくは貨物の陸揚げ若しくは積替えを拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者、又は九若しくは十による命令に従わなかった者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとすること。

十四 この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行することとし、国連安保理決議第千八百七十四号の関連部分がその効力を失ったときは、速やかに、廃止するものとすること。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.