(環境委員会)
生物多様性基本法案(環境委員長提出、衆法第一九号)概要
本案は、生物の多様性を確保するための施策を包括的に推進し、その恵沢を将来にわたり享受できる持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出す必要があることから、生物多様性の保全及び持続可能な利用についての基本原則を明らかにしてその方向性を示し、関連する施策を総合的かつ計画的に推進しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 生物の多様性の保全及び持続可能な利用についての基本原則を定めるとともに、この基本原則にのっとり、国、地方公共団体、事業者、国民及び民間の団体について、各々の責務を明らかにすること。
二 政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならないものとすること。また、毎年、国会に、生物の多様性の状況及び政府が生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関して講じた施策等に関する報告を提出しなければならないものとすること。
三 政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「生物多様性国家戦略」を環境基本計画を基本として定めなければならないものとすること。また、都道府県及び市町村は、この「生物多様性国家戦略」を基本として、単独で又は共同して、「生物多様性地域戦略」を定めるよう努めなければならないものとすること。
四 国は、地域の生物の多様性の保全、国土及び自然資源の適切な利用等の推進、地球温暖化の防止等に資する施策の推進、事業計画の立案の段階等での生物の多様性に係る環境影響評価の推進等に必要な措置を講ずるものとすること。
五 この法律は、公布の日から施行すること。
六 政府は、この法律の目的を達成するため、野生生物の種の保存、森林、里山、農地、湿原、干潟、河川、湖沼等の自然環境の保全及び再生その他の生物の多様性の保全に係る法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。