(経済産業委員会)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)概要
本案は、平成十七年独占禁止法改正の施行後における見直しの結果、公正かつ自由な競争の促進を図る観点から、他の事業者を排除することによる私的独占、一定の不公正な取引方法等に対する課徴金制度の導入、企業結合に係る届出制度の見直し等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 課徴金制度の見直し
課徴金の適用対象として、排除型私的独占、不当廉売及び優越的地位の濫用等の一定の不公正な取引方法を追加すること。また、不当な取引制限において、主導的な役割を果たした事業者に対して課徴金算定率を加重する措置を設けること。
二 課徴金減免制度の見直し
減額対象事業者数を拡大するとともに、企業グループ内の事業者による共同申請を認めること。
三 課徴金納付命令等の見直し
違反行為がなくなってからも課徴金納付命令等を行うことのできる期間の上限を三年から五年に延長すること。また、違反行為に係る事業を引き継いだ承継会社等に対しても課徴金の納付等を命ずることができるよう規定の整備を行うこと。
四 企業結合規制の見直し
会社の株式取得について、事前届出制度を導入すること。また、企業結合の届出基準について、国内売上高によるものに改めるとともに、株式取得に係る届出閾値を三段階から二段階に簡素化すること。
五 不公正な取引方法に係る差止訴訟における文書提出命令の特則の導入
侵害行為の立証に必要な書類について、その所持者において提出を拒むことに正当な理由があるときを除き、裁判所が提出を命ずることができるものとすること。
六 その他
事業者団体届出制度の廃止、外国競争当局への情報提供に係る規定の整備、審判手続に係る事件記録の閲覧謄写請求に係る規定の整備、不当な取引制限の罪に対する懲役刑の引上げ等所要の措置を講ずること。
七 施行期日等
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、この法律の施行に伴う所要の経過措置等について規定すること。併せて、審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成二十一年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。