困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案(参議院提出、参法第7号)概要
本案は、女性が日常生活又は社会生活を営むに当たり女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多いことに鑑み、困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図るため、困難な問題を抱える女性への支援のための施策を推進し、もって人権が尊重され、及び女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的として、困難な問題を抱える女性への支援に関する必要な事項を定めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 基本理念として、困難な問題を抱える女性が最適な支援を受けられるようにすることにより、その福祉が増進されるよう、多様な支援を包括的に提供する体制を整備すること等を定めること。
二 国及び地方公共団体は、基本理念にのっとり、困難な問題を抱える女性への支援のために必要な施策を講ずる責務を有すること、また、当該施策を講ずるに当たっては、関係地方公共団体相互間、支援機関と関係機関間の緊密な連携が図られるよう配慮しなければならないこととすること。
三 厚生労働大臣は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本方針を定め、地方公共団体は、基本方針に即して、当該施策の実施に関する基本的な計画を定めることとすること。
四 女性相談支援センターの設置、女性相談支援員の配置及び女性自立支援施設の設置等について規定すること。
五 地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体と協働して、その自主性を尊重しつつ、女性の意向に留意しながら、発見、相談その他の支援に関する業務を行うこととすること。
六 地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関等により構成される支援調整会議を組織するよう努めることとし、支援調整会議は、必要な情報の交換及び支援の内容に関する協議を行うこととすること。
七 国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に関し、教育及び啓発、調査研究の推進、人材の確保等並びに民間の団体に対する援助に努めることとすること。
八 費用の支弁等について、地方公共団体が五の業務を行う場合における民間の団体の活動に要する費用への補助を含めた規定を設けること。
九 この法律の施行に伴い、売春防止法第三章(補導処分)及び第四章(保護更生)を削り、婦人補導院法を廃止すること。
十 この法律は、一部を除き、令和六年四月一日から施行すること。