障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案(参議院提出、参法第8号)概要
本案は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資するため、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、当該施策の基本となる事項を定めること等により、当該施策を総合的に推進しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 基本理念として、障害者による情報の取得等に係る施策の推進は、障害者による情報の取得等に係る手段について、可能な限り、その障害の種類及び程度に応じた手段を選択することができるようにすること、障害者が取得する情報について、可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること等を旨として行われなければならないことを定めること。
二 国及び地方公共団体は、基本理念にのっとり、障害者による情報の取得等に係る施策を策定し、及び実施する責務を有すること。また、国及び地方公共団体は、当該施策が障害者でない者による情報の十分な取得等にも資するものであることを認識しつつ、当該施策を策定し、及び実施するものとし、当該施策を講ずるに当たっては、障害者等の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならないものとすること。
三 国及び地方公共団体は、障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進を図るため、当該機器等に関し、開発及び提供に対する助成その他の支援、規格の標準化、障害者又はその介助を行う者に対する情報提供及び入手の支援その他の必要な施策を講ずるものとすること。また、国は、当該機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に資するよう、関係者による協議の場を設けることその他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとすること。
四 国及び地方公共団体は、障害の種類及び程度に応じて障害者が防災及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得することができるようにするため、体制の整備充実、設備又は機器の設置の推進その他の必要な施策を講ずるものとすること。
五 国及び地方公共団体は、障害者が自立した日常生活及び社会生活を営むために必要な分野において、障害者がその必要とする情報を十分に取得すること等ができるようにするため、障害者とその他の者の意思疎通の支援を行う者の確保、養成及び資質の向上その他の必要な施策を講ずるものとすること。
六 この法律は、公布の日から施行すること。