商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一六号)概要
本案は、商業捕鯨の再開等捕鯨を取り巻く状況を踏まえ、鯨類の持続的な利用の確保を図るため、鯨類科学調査の定義より捕獲の例示を削除するとともに、捕鯨業の適切かつ円滑な実施のための措置等について定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 題名を「鯨類の持続的な利用の確保に関する法律」に改めること。
二 鯨類の持続的な利用の確保は、次に掲げる事項を基本として行われるものとすること。
1 鯨類科学調査が、主として捕鯨業を鯨類の持続的な利用が確保されるように実施するために必要な科学的知見を得ることを目指して実施されること。
2 捕鯨業に関する施策が、次に掲げる事項を旨として講じられること。
㈠ 捕鯨業が、鯨類の持続的な利用のため鯨種ごとに科学的根拠に基づき算出される捕獲可能量の範囲内で実施されること。
㈡ 捕鯨業が、我が国が締結した条約等及び確立された国際法規に基づき実施されること。
㈢ 捕鯨業を取り巻く状況に鑑み、適切な支援により、捕鯨業が円滑に実施されるようにすること。
三 鯨類科学調査の実施体制の整備に必要な措置に、鯨類科学調査の実施に当たっての捕鯨業者の協力の確保を加えること。
四 政府は、鯨類の持続的な利用が確保されるように捕鯨業が実施されるようにするため、捕獲可能量の算出、当該捕獲可能量の範囲内で捕鯨業者が一年間に捕獲することができる頭数の設定、これを超える捕獲が行われないことを確保するための措置その他必要な措置を講ずるものとすること。
五 政府は、捕鯨業の円滑な実施を支援するため、捕鯨業に係る船舶及びその乗組員の確保の支援、鯨類の捕獲、解体及び保蔵に係る技術の開発及び普及の促進その他必要な措置を講ずるものとすること。
六 政府は、鯨類科学調査により得られた科学的知見及び我が国における鯨類の持続的な利用の確保に関する情報の関係する国際機関への提供その他の鯨類の持続的な利用の確保に係る国際協力の推進に努めるものとすること。
七 政府は、法令の規定に違反して捕獲された鯨類の流通を防止するため、捕獲された鯨類の個体識別のための情報の適正な管理、流通に関する調査その他必要な措置を講ずるものとすること。
八 政府は、捕鯨業の円滑な実施の支援、鯨類の持続的な利用の確保のための施策の実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとすること。
九 この法律は、公布の日から施行すること。