農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)概要
本案は、最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、農業経営の安定を図るため、農業収入の減少に伴う農業経営への影響を緩和する保険の事業を創設するとともに、農業共済事業について共済関係の成立に係る方式の変更その他の見直しを行うほか、全国を区域とする農業共済組合連合会の事業及び組織に関する規定の整備等を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 題名の改正
法律の題名を「農業保険法」とすること。
二 農業経営収入保険事業の創設
1 保険資格者は、青色申告を行い、経営管理を適切に行っている農業者とすること。
2 事業は、保険資格者による任意加入制とし、被保険者が自ら生産した農産物(農産物に簡易な加工を施したものを含む。)に係る収入の減少について保険金を交付する仕組みとすること。
3 特約により、保険料に基づく保険金のほか、農業者の積立てに基づく補塡を受けることができるものとすること。
4 国は、保険料の二分の一及び積立方式による補塡の四分の三をそれぞれ負担すること。
5 農業経営収入保険に係る保険責任について政府の再保険を措置すること。
三 農業共済事業の見直し
1 農作物共済の当然加入制を廃止し、他の共済事業と同様の任意加入制に移行すること。
2 家畜共済を死亡廃用共済と疾病傷害共済に分離し、農業者の経営事情に応じて別々に加入できるようにすること。
3 農業者の被害率に応じて共済掛金率を設定する仕組みを全ての農業共済組合に導入すること。
四 全国連合会の設立
農業共済団体は、全国を区域とする農業共済組合連合会を設立し、農業経営収入保険事業のほか、農業共済団体の事業を補完するための共済事業等を行うことができるものとすること。
五 施行期日等
1 この法律は、平成三十年四月一日から施行すること。
2 農業経営収入保険の実施及び農業共済の新制度への切替えは、平成三十一年産からとすること。
3 政府は、この法律の施行後五年を目途として、農業保険の制度の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとすること。