食品表示法案(内閣提出第四四号)の概要
本案は、販売の用に供する食品に関する表示(以下「食品表示」という。)について、基準の策定、不適正な表示に対する措置その他の必要な事項を定めるもので、その主な内容は次のとおりである。
一 食品表示の適正を確保するための施策に関する基本理念
1 消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、並びに消費者に対し必要な情報が提供されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者の自立支援を基本として講ずること。
2 食品の生産等の現況等を踏まえ、かつ、小規模食品関連事業者に及ぼす影響等に配慮して講ずること。
二 食品表示基準の策定等
1 内閣総理大臣は、内閣府令で、食品の名称、保存の方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量及び熱量、原産地その他食品関連事業者等が食品の販売をする際に表示されるべき事項及び表示の方法その他表示をする際に遵守すべき事項を内容とする食品表示基準を定めること。
2 内閣総理大臣は、食品表示基準を定めようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣、農林水産大臣及び財務大臣に協議するとともに、消費者委員会の意見を聴取すること。
三 不適正な表示に対する措置
1 内閣総理大臣、農林水産大臣又は財務大臣は、食品関連事業者に対し、食品表示基準に従った表示をする旨の指示をすることができること。また、内閣総理大臣は、正当な理由なく指示に係る措置をとらなかった者に対し、その指示に係る措置をとるべきことを命ずることができること。
2 内閣総理大臣は、消費者の生命又は身体に対する危害の発生又は拡大の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、食品関連事業者等に対し、食品の回収、業務停止等を命ずることができること。
3 内閣総理大臣、農林水産大臣又は財務大臣は、食品表示の適正を確保するため必要があると認めるときは、食品関連事業者等に対する立入検査等を行うことができること。
四 差止請求及び申出
1 適格消費者団体は、食品関連事業者が、著しく事実に相違する表示行為を現に行い、又は行うおそれがあるときは、当該行為の停止又は予防に必要な措置等をとることを請求することができること。
2 何人も、食品表示が適正でないため一般消費者の利益が害されていると認めるときは、内閣総理大臣、農林水産大臣又は財務大臣に申し出て適切な措置をとるよう求めることができること。
五 施行期日等
1 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
2 政府は、法施行から五年経過の後に、この法律の規定について検討を加え、必要な措置を講ずること。