消費者被害の発生及び拡大の防止並びに消費者の利益の一層の擁護及び増進を図るための消費者契約法等の一部を改正する法律案(柚木道義君外七名提出、衆法第七号)概要
本案は、消費者と事業者との間に情報の質及び量並びに交渉力の格差があることに鑑み、消費者被害の発生及び拡大の防止並びに消費者の利益の一層の擁護及び増進を図るため、事業者の行為により消費者が困惑した場合について契約を取り消すことができる類型として、消費者が合理的な判断をすることが困難な事情を有することを知りながら社会通念に照らして当該消費者契約を締結しない旨の判断を困難にする行為をすることを追加するとともに、二十歳未満の成年者についてクーリング・オフに係る規定の熟慮期間を延長するほか、事業者が消費者に交付する書面の電子化は行わないこととする措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 消費者契約法の一部改正
1 契約を取り消すことができる範囲を拡張するため、第四条第三項第三号及び第四号から「社会生活上の経験が乏しい」要件を、第五号から「加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下している」要件を、それぞれ削除すること。
2 第四条第三項に、つけこみ型勧誘の取消類型の包括規定として、「当該消費者が当該消費者契約を締結するか否かについての合理的な判断をすることが困難な事情を有することを知りながら、当該事情の下において、社会通念に照らして当該消費者の当該消費者契約を締結しない旨の判断を困難にする行為をすること」との一号を追加すること。
二 消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正
消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律において特定商取引に関する法律及び特定商品等の預託等取引契約に関する法律に設けることとされた、事業者が行うべき書面交付の電子化を可能にする規定を削除すること。
三 特定商取引に関する法律等の一部改正
特定商取引に関する法律のほか、十三の法律中のクーリング・オフを定める規定について、二十歳未満の成年者が消費者として契約を締結した場合には、当分の間、熟慮期間を七日間延長すること。
四 施行期日
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、二の規定は公布の日から、三の規定は、民法の一部を改正する法律(平成三十年法律第五十九号)の施行の日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日から、それぞれ施行すること。