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   消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案(内閣提出第六〇号)の概要

 本案は、消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害を集団的に回復するため、特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行することができるよう民事の裁判手続の特例を定めるとともに、特定適格消費者団体の認定及び監督等について所要の規定を整備するもので、その主な内容は次のとおりである。

一 被害回復裁判手続

 1 特定適格消費者団体は、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって、消費者契約に関する請求(契約上の債務の履行の請求、不当利得に係る請求、契約上の債務の不履行による損害賠償の請求、瑕疵担保責任に基づく損害賠償の請求及び不法行為に基づく損害賠償の請求)に係るものについて、共通義務確認の訴え(消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害について、事業者が、共通する原因に基づき金銭を支払う義務を負うべきことの確認を求める訴えをいう。以下同じ。)を提起することができること。ただし、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害及び精神上の苦痛を受けたことによる損害については、共通義務確認の訴えを提起することができないこと。

 2 特定適格消費者団体は、消費者に対し、共通義務確認の訴えに係る訴訟の確定判決の内容等を通知・公告し、共通義務確認の訴えの結果を前提として、個々の消費者からの授権に基づき、裁判所に債権を届け出ること。事業者は、当該債権の内容について、裁判所が定める認否期間内に認否をしなければならないこと。裁判所は、特定適格消費者団体から事業者の認否について争う旨の適法な申出があったときは、簡易確定決定をしなければならないこと。

 3 特定適格消費者団体は、相当多数の消費者の債権の実現を保全するため、民事保全法の規定により、仮差押命令の申立てをすることができること。

二 特定適格消費者団体

 1 内閣総理大臣は、消費者契約法上の適格消費者団体の中から一定の要件を満たしている団体を、その申請に基づき、特定適格消費者団体として認定することができること。

 2 特定適格消費者団体の責務、報酬、弁護士に追行させる義務、他の特定適格消費者団体への通知等、個人情報の取扱い、秘密保持義務、氏名等の明示等について所要の規定を整備すること。

三 施行期日等

 1 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、法施行前に締結された消費者契約に関する請求に係る金銭の支払義務には適用しないこと。

 2 政府は、法施行から五年経過後に、法施行状況について検討を加え、所要の措置を講ずること。

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