消費者団体訴訟法案(小宮山洋子君外二名提出、衆法第九号)の概要
本案は、消費者の被害の発生又は拡大を防止すること及び消費者に被害が発生した場合において適切かつ迅速な救済を行うことの重要性にかんがみ、消費者の被害の救済を図るため適格消費者団体が損害賠償等団体訴訟を追行することができることとするとともに、適格消費者団体の消費者権利官による登録等の制度並びに差止請求及び損害賠償等団体訴訟に係る訴訟手続等について所要の規定を整備するものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 適格消費者団体の登録等
差止請求関係業務又は損害賠償等団体訴訟(共同の利益を有する多数の消費者のために事業者等に対し損害賠償請求権その他の金銭債権に係る給付を求める訴えであって、当該消費者の意思に基づくことなく提起されるものをいう。以下同じ。)関係業務を行おうとする消費者団体は、消費者権利官の登録を受けなければならないものとすること。また、適格消費者団体の経理、監督等に関し所要の規定を整備すること。
二 差止請求に係る訴訟手続等の特例
差止請求に係る訴訟手続等に関し、書面による事前の請求、訴訟の目的の価額、管轄及び間接強制の支払額の算定の特例について所要の規定を整備すること。
三 損害賠償等団体訴訟に係る訴訟手続の特例等
適格消費者団体は、共同の利益を有する多数の消費者の被害の救済を図るため、裁判所の許可を得て、自己の名をもって損害賠償等団体訴訟の追行をすることができること。また、訴訟手続及び仮差押命令手続の特例並びに配当手続について所要の規定を整備すること。
四 罰則
所要の罰則を設けること。
五 施行期日
この法律は、一部を除き、消費者権利院法の施行の日から施行すること。
六 消費者契約法の一部改正
1 適格消費者団体が行う差止請求の対象を拡大し、公序良俗違反により無効とされる契約の意思表示、詐欺行為又は強迫行為を含む勧誘行為等についても差止請求をすることができること。
2 差止請求は、当該差止請求と内容及びその相手方が同一である他の適格消費者団体を当事者とする差止請求に係る確定判決が既に存在するときであっても、することができること。