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   消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)の概要

 本案は、消費者契約に関する消費者と事業者との間の交渉力等の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を図るため、事業者の行為により消費者が困惑した場合について、消費者が契約の申込み又はその承諾の意思表示(以下「意思表示」という。)を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型を追加するとともに、無効となる不当な契約条項の類型を追加する等の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 事業者による消費者契約の勧誘に際し、消費者が困惑し、それによって意思表示をした場合には、その意思表示を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型として、次に掲げる行為を追加するものとすること。

 1 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、進学、就職、結婚、生計等の社会生活上の重要な事項や容姿、体型等の身体の特徴等に関する重要な事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、正当な理由がある場合でないのに、消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。

 2 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情等を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。

二 事業者が、消費者契約の勧誘に際し、消費者に対して重要事項等について利益となる旨を告げ、かつ、不利益となる事実を故意に告げなかったこと(不利益事実の不告知)により、当該消費者が当該事実は存在しないと誤認し、それによって意思表示をした場合には、その意思表示を取り消すことができるとされる現行規定において、「故意」に告げなかったこととされている要件を、「故意又は重大な過失」によって告げなかったこととすること。

三 無効となる不当な契約条項の類型として、消費者が後見等開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を事業者に付与する条項、事業者の損害賠償責任の有無及び責任の限度を決定する権限を当該事業者に付与する条項、消費者の解除権の有無を決定する権限を事業者に付与する条項を追加するものとすること。

四 消費者契約の勧誘に際して事業者に課されている努力義務について、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で、消費者契約の内容についての必要な情報を提供することを明示するものとすること。

五 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を経過した日から施行すること。

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