特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)の概要
本案は、相手方を訪問して物品を購入する取引に伴う被害が増加している状況に鑑み、その取引を公正なものとし、取引の相手方の利益の保護を図るため、物品の訪問購入を行う購入業者について、不当な勧誘行為の禁止等の規制を設けるとともに、取引の相手方による契約の申込みの撤回を認める等の措置を講ずるもので、その主な内容は次のとおりである。
一 訪問購入の定義
「訪問購入」とは、物品の購入を業として営む者(以下「購入業者」という。)が営業所等以外の場所において、売買契約の申込みを受け、又は売買契約を締結して行う物品(原則として全ての物品)の購入をいうこと。
二 購入業者に対する不当な勧誘行為等の禁止等の規制
購入業者は、訪問購入に係る売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において、当該売買契約の締結について勧誘等をしてはならないこと。また、購入業者は、訪問購入に係る売買契約の締結、契約の解除の妨害等のため、不実のことを告げる行為、威迫して困惑させる行為等の不当な行為をしてはならないこと。
三 書面の交付
購入業者は、訪問購入に係る売買契約の内容を明らかにする書面等を交付しなければならないこと。
四 契約の申込みの撤回等及び物品の引渡しの拒絶
訪問購入に係る売買契約について、当該売買契約の相手方は、書面を受領した日から起算して八日を経過した場合を除き、当該売買契約の申込みの撤回又は解除を行うことができ、また、訪問購入に係る物品の引渡しを拒むことができること。
五 訪問購入に係る差止請求権
適格消費者団体は、購入業者に対し、訪問購入に関し、不特定かつ多数の者に対して不実のことを告げる等の行為の停止等を請求することができること。
六 施行期日等
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
2 政府は、申込者等が訪問購入に係る売買契約の解除をした場合において当該申込者等が訪問購入に係る物品の占有を確実に回復し又は保持することができるようにするための制度について検討を加え、所要の措置を講ずること。