特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)の概要
本案は、高齢化の進展を始めとした社会経済情勢の変化等に対応して、特定商取引における取引の公正及び購入者等の利益の保護を図るための措置を講ずるもので、その主な内容は次のとおりである。
一 指定権利の見直し
訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売において規制対象となる権利について、社債その他の金銭債権及び株式会社の株式等を加えるとともに、その名称を指定権利から特定権利に改めること。
二 電話勧誘販売に係る過量販売契約等の申込みの撤回等の制度の創設
電話勧誘販売に係るその日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等の申込者等は、その売買契約等の申込みの撤回等を行うことができること。ただし、申込者等に当該契約を必要とする特別の事情があったときはこの限りでないこと。
三 指示制度の整備
主務大臣が違反行為を行った販売業者等に対して指示することのできる措置として、当該違反行為の是正のための措置及び購入者等の利益の保護を図るための措置を例示すること。
四 業務停止命令制度の強化
主務大臣が販売業者等に対して業務の停止を命ずることができる期間の上限を一年から二年に改めること。
五 業務禁止命令制度の創設
主務大臣は、販売業者等に対して業務の停止を命ずる場合において、当該命令の理由となった事実及び当該販売業者等の役員等が有していた責任の程度を考慮して、当該停止を命じた取引類型に関する業務を制限することが相当と認められるときは、当該役員等に対し、当該停止を命ずる期間と同一の期間を定めて、当該停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること等の禁止を命ずることができること。
六 送達制度の整備
主務大臣は、指示又は命令に関する書類の送達を受けるべき者の住所等が知れない場合等において、主務大臣の事務所の掲示場に処分書を交付する旨を掲示することにより、公示送達をすることができること。
七 罰則
罰則の引上げを行うことその他所要の改正を行うこと。
八 施行期日
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。