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離島の振興に関する件

 

 離島は四方を海等に囲まれ、人口の減少が長期にわたり継続し、かつ、高齢化が急速に進展する等、他の地域に比較して厳しい自然的社会的条件の下にある。このため、離島における安全で安心な島民の生活を確保し、定住の促進を図ることは喫緊の課題であり、政府は、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺漏なきを期するべきである。

 

一 今回の改正離島振興法の最大の特徴の一つであるソフト事業支援施策については、介護、自然環境、再生可能エネルギーをはじめ、交通・情報通信、産業・雇用、医療・福祉、教育、防災・減災の分野といった多岐にわたるものであり、具体的かつ充実した施策の実施に努め、離島住民の定住に資するものとすること。例えば、人の往来及び物資の流通に要する費用の低廉化に資するための施策の充実等について検討を加え、所要の措置の実現を図ること。とりわけ新しく創設した離島活性化交付金制度については積極的かつきめ細やかな活用を図ること。

 

二 改正後の離島振興法第七条の二の規定による離島活性化交付金等事業計画に記載する事業等として、離島漁業再生支援交付金、携帯電話等エリア整備事業、へき地保健医療対策費、医療施設等設備整備費、医療施設等施設整備費、離島流通効率化事業及び離島高校生修学支援事業を盛り込むとともに、離島の妊婦の健康診査の受診及び出産に対する支援等新たな国の離島活性化に資するソフト事業についても盛り込むこと。

  また、改正後の離島振興法第七条の四の規定により公表することとする事業等としては、地域公共交通確保維持改善事業及び離島ガソリン流通コスト支援事業を盛り込むこと。

 

三 離島航路・航空路は離島住民の生活にとって欠かせない生命線であり、いわゆる「海の国道」として重要な役割を担っている航路もあることを踏まえ、必要な支援を行うこと。また、離島航路・航空路の安定的な維持が離島における定住の促進に欠かせないことから、その支援に関して必要となる新たな法制の整備を含め支援のあり方について検討すること。併せて、国と地方の適切な役割分担も踏まえて、離島の道路の国道指定について柔軟な運用を図ること。

 

四 政府において、災害時多目的船(病院船)を導入・運用する際は、災害時等以外の平時における離島住民の検診・医療等への活用について検討すること。また、災害時の離島の孤立防止等のため、離島における飛行艇の定期的な活用も併せて検討するとともに、ヘリポートの整備を推進すること。

 

五 学校は離島定住促進の条件として極めて重要な施設であることに鑑み、こうした教育施設の維持及び存続について国は可能な限り支援すること。

 

六 離島特別区域制度について、政府はその制度の詳細設計を定めた新たな法制の整備を早急に検討すること。その際、既存の復興特別区域制度等を参考とし、厳しい自然的社会的条件の下にある離島の活性化と定住の促進に資する規制の特例措置、金融・財政上の措置などを盛り込むこと。

 

七 政府は、離島振興の成功事例を収集し、離島関係自治体への周知の徹底に努めること。

 

八 本委員会は、附則第五条に規定する「早急に」は、一年以内と認識する。

 

 右決議する。

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