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   豚コレラをはじめとする家畜伝染病対策に関する件

 

平成三十年九月、我が国において二十六年ぶりに豚コレラの患畜が確認され、その後の感染拡大により、発生農場のみならず、疫学関連農場・施設や発生農場のある地域は深刻な被害を受けている。現在、政府は、豚コレラの発生農場等における防疫措置や経営支援対策を講じているところである。しかしながら、近隣諸国では、畜産業に深刻な影響をもたらす家畜伝染病の発生が多数報告されており、特に、中国、モンゴル、ベトナム等では、病原性が強くワクチンや治療法のないアフリカ豚コレラが発生している。こうした情勢を踏まえ、我が国の畜産業の将来を見据え、早急に飼養衛生管理体制や水際対策を強化することが喫緊の課題となっている。

よって政府は、左記事項の実現に万全を期すべきである。

                 記

一 発生農場については一日も早く経営を再開することができるよう、また、移動制限区域内・搬出制限区域内の農場や監視対象となった農場の経営が維持できるよう、万全の支援を行うこと。

二 今般の発生及び感染拡大の原因を究明・分析した上で、発生予防対策及び防疫対応の改善を図るとともに、飼養衛生管理体制の強化を行うこと。また、あらゆる手段を行使し、一刻も早い事態の終息に努めること。

三 豚コレラ等の法定伝染病については、早期の通報と迅速な初動対応の必要性についての認識を関係者間で共有し、法定伝染病が疑われる患畜についての早期通報の徹底を図ること。また、家畜伝染病の検査・分析を担う国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の体制を強化すること。

四 飼養衛生管理の徹底、交差汚染の防止、野生動物からのウイルスの侵入防止等のために必要となる施設・機器等の導入に係る資金について、金利の優遇等の的確な支援を行うこと。

五 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会も目前に迫る中、訪日外国人旅行者や邦人海外旅行者等による輸入禁止畜産物の持込み等に対する水際対策の強化が必要であることに鑑み、輸入禁止畜産物の違法な持込みについては、罰則の周知、罰則の厳格な適用、罰金の引上げなど厳罰化の検討を早急に行うこと。また、家畜防疫官の増員や検疫探知犬の増頭を行い、旅行者の携行品、国際郵便物や国際宅配物による輸入禁止畜産物の違法な持込みに対する監視を強化するとともに、各空海港における靴底消毒及び車両消毒を徹底すること。

六 豚コレラの発生により狩猟が禁止されている地域におけるジビエ関係者、関連産業等への影響を早急に把握し、必要な支援策を講じること。

七 家畜伝染病について、風評被害防止等の観点から、各空海港における靴底消毒の重要性や人には感染しないことなど国民に対して正確な情報を分かりやすく迅速に伝えること。

 右決議する。

 

 

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