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   我が国の農林水産物・食品の輸出拡大に関する件

 

我が国では、少子高齢化等により農林水産物・食品市場が縮小傾向にある。一方、世界に目を転じると、我が国の農林水産物・食品は諸外国から高い評価を得ており、アジアを始めとした経済発展に伴う富裕層の増加や人口増加により、今後拡大が予想される有望なマーケットが広がっている。

こうした中、我が国の農林水産業・食品産業を発展させていくためには、世界の経済成長を好機と捉え、日本食文化を広め、農林水産物・食品の輸出拡大に取り組んでいくことが喫緊の課題である。

しかしながら、近年、我が国の農林水産物・食品の輸出額は頭打ちの状況にあることに加えて、一昨年の原発事故を受け、多くの国・地域において、日本産農林水産物・食品の輸入停止や放射性物質の検査証明書等の要求、検査強化といった輸入規制措置が実施されている等、厳しい状況にある。

 よって、政府は、農林水産物・食品の輸出拡大に取り組むに当たっては、左記事項の実現に万全を期すべきである。

               記

一 関係者の長年の努力により、本年五月に牛海綿状脳症(BSE)の清浄性が国際的に認められたところであり、我が国の食肉の安全性を国際的に発信し、輸出解禁に向けた衛生協議を加速化するとともに、相手国の衛生条件に対応した食肉処理施設の整備に対する支援を充実すること。

二 世界的に需要が増大している、養殖生産物を始めとする水産物の輸出については、日本の魚のブランド化を促進するとともに、対米・対EU向けHACCP取得の促進等品質管理体制の確立と迅速な衛生証明書発給体制の構築を図ること。

三 日本産農林水産物・食品の利用拡大を円滑に進めるため、世界人口の四分の一弱を占める旺盛な食の市場であるイスラム圏においてハラール認証を取得しようとする取組のほか、GLOBALG.A.P.等、世界の食市場において通用する認証を取得しようとする取組に対し、十分かつきめ細やかな支援措置を講ずること。

四 野菜・果実等に対する検疫等の制限に対しては戦略的に対応することとし、現在、相手国においてリスク分析を実施中のものについては、科学的根拠に立ったリスク分析の促進を相手国に強く働きかけること。また、野菜・果実等の植物検疫等の輸出に必要な手続を卸売市場で行うことにより、迅速な輸出を実現するとともに、産地間連携による日本の農林水産物を年間を通じて安定的に供給できる体制の構築を実現すること。

五 急成長する新興国等の市場への食品産業の更なる展開を推進するため、情報提供を始め、商談会、海外でのマッチングの場、各種イベントへの支援等総合的なサポート体制を充実・強化すること。また、原材料の国産化による付加価値の向上等国内農林漁業との連携強化を通じた食品産業の成長発展が図られるよう、日本産農林水産物・食品の地理的表示の保護制度を確立すること。

六 原発事故に伴う輸入規制措置の緩和・撤廃に向けて、諸外国・地域に正確な情報を提供した上で、科学的根拠に立った対応を強く要請すること。

 右決議する。

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