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 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関する件

 

 農山漁村地域において鳥獣による農林水産業等への被害が依然として深刻な状況にあり、これに対処することが農林水産業の発展及び農山漁村地域の振興に際して継続的かつ喫緊の課題となっている。

よって、政府は、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律」の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

                記

一 被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲等の拡充に当たっては、鳥獣被害対策実施隊の更なる設置数の増加を図るとともに、狩猟者の実施隊員への移行・加入の促進等、必要な措置を的確に講じること。また、実施隊における多様な人材の活用への配慮に当たっては、実施隊の活動と連携して農業者や農林業団体が積極的かつ効果的に被害防止施策に取り組む優良事例がみられる実情等を十分に踏まえるよう、市町村に対し周知徹底を図ること。

二 都道府県が広域的な捕獲活動を実施するに当たっては、改正後の法第七条の二等に規定する「被害の防止に関し必要な措置」として、個体数調整のための捕獲等を行うことができることを十分に認識するよう、都道府県に対し適切に指導・助言を行うこと。

三 鳥獣の生息状況及び生息環境等に関する調査については、鳥獣の個体数等の正確な把握に努め、その調査結果に基づき、農林水産業等に係る被害を防止する上で適正と認められる個体数等の目標水準を設定するとともに、実績について正確な分析及び検証を行う等、効果的かつ効率的な運用を行うこと。その際、人獣共通感染症対策の観点にも留意し、必要な措置を講じること。

四 捕獲等をした鳥獣についての有効な利用の促進に当たっては、食品、愛玩動物用飼料又は皮革としての利用促進と併せて、動物園での飼料としての利用、油脂や骨の加工製品化等、幅広く多様な利用の在り方について引き続き検討し、その促進のために必要な措置を講じること。その際、一層の利用拡大を図るためには、捕獲から処理、加工、流通又は販売を行う事業者等からなる、強固で持続的な流通ネットワークによる安定供給が重要であることを認識し、その環境整備のために必要な支援を行うこと。

五 安全・安心なジビエの提供に向けた野生鳥獣肉の衛生管理に当たっては、平成三十年五月に制定された国産ジビエ認証制度の趣旨及び目的を踏まえて、同制度の普及促進を図るとともに、認証に取り組む事業者に対するきめ細かな支援を行うこと。また、衛生管理の基準等については、豚熱、高病原性鳥インフルエンザ等に係る最新の家畜防疫対策の状況を踏まえるとともに、人獣共通感染症予防の観点にも留意し、適宜、適切な見直しを検討すること。

六 東日本大震災から十年余が経過するに至っても、未だに鳥獣の捕獲等又は捕獲等をした鳥獣の利用が困難となっている地域があることに鑑み、平成二十八年改正で設置された鳥獣被害対策推進会議が中心的な役割を担い、関係行政機関が相互に連携して、一体的かつ効果的な支援を継続的に実施すること。

七 鳥獣の捕獲等を推進する一方で、動物愛護やアニマルウェルフェアの観点及び国際的なOIEコードの関連条項等に留意し、保護すべき動物の錯誤捕獲の防止策、捕獲鳥獣の適切な処理方法の在り方等について、厳格な指導・監督を行うとともに、必要に応じて運用マニュアルの見直し等の検討を行うこと。

八 被害防止施策の実施に当たっては、シカを仲介したヤマビルによる地域住民等への被害等、鳥獣に係る二次的な被害状況を踏まえ一体的な対策を講じるなど、地域の実情に即した取組が進められるよう、市町村に対し適切に指導・助言を行うこと。

九 銃砲刀剣類所持等取締法に基づく技能講習の免除措置を受ける者に対しては、事故防止のための指導を的確に実施するとともに、猟銃に係る技能向上及び安全確保が確実に図られるよう、地域の実情に即した射撃場の整備及び適切な配置等、必要な措置を講じること。

 右決議する。

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