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沖縄の本土復帰五十年及び沖縄問題の解決促進に関する件

 

 本委員会は、本年五月の沖縄の本土復帰五十年の節目にあたり、沖縄問題に関する対策の樹立を使命とする特別委員会として、ここに改めて、沖縄が抱える問題の解決に向けて最大限の努力を払う決意を表明する。

 

 昭和四十七年五月の沖縄の本土復帰以来、沖縄振興特別措置法等に基づく五次にわたる振興策の実施と、県民の不断の努力とによって、特に、社会資本整備の面で本土との格差是正が図られるとともに、観光リゾートや情報通信関連分野における産業の振興等、沖縄の経済社会は、総体として発展してきた。

 

 しかしながら、国土面積〇・六%の沖縄に、今なお米軍専用施設面積の七〇・三%が集中していることに加え、一人当たり県民所得は全国平均の七割程度であり、子どもの貧困や労働生産性の低さなど、沖縄には解決すべき課題が残されている。政府においては、引き続き、沖縄における米軍施設・区域の整理縮小及び早期返還の実現に努めるなど、これらの課題の解決に取り組むとともに、新たな沖縄振興特別措置法等に基づく振興策において、沖縄の自立的発展と県民の生活向上に資するよう、地元の意思を十分尊重して推進することを求める。

 

 

 また、政府は、新型コロナウイルス感染症等の指定感染症・検疫感染症の流行時においては、地域の経済社会活動への影響を最小限にとどめるため、沖縄県等の要望を踏まえ、在日米軍に対し感染拡大防止措置の徹底など、米軍基地から派生する諸問題の解決のため、事態の抜本的改善に取り組むべきである。

 

 平成十二年の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の世界遺産への登録等によって、琉球王国の歴史や貴重で魅力ある琉球文化は世界的にも高く評価されており、その象徴たる首里城は、まさしく県民の心の拠り所である。政府においては、その復興を推進するとともに、沖縄県等とも連携し、沖縄独自の歴史・文化の継承や保存を図り、あわせて国内外への積極的な発信を促進することを求める。

 

 沖縄が有する地理的特性は、長らく特殊事情として克服すべき条件不利性とされてきた。しかし、成長著しい東アジアの中心に位置する優位性として、沖縄の潜在力を最大限に引き出す可能性を秘めている。沖縄が、文化、教育、経済、外交等の様々な分野における多元的交流の推進や世界に広がるウチナーンチュのネットワークを基軸とした人的基盤を通じて、二十一世紀の「万国津梁」を形成し、沖縄の自立的発展のみならず、我が国ひいてはアジア・太平洋地域の持続的発展、信頼醸成にも貢献するよう、政府においては最大限の努力をもって、その実現に努めるべきであり、我々もまた、その一翼を担うものである。

 

右決議する。

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