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原子力規制委員会設置法案の起草案 趣旨説明

 

原子力規制委員会設置法案の起草案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨及び内容についてご説明申し上げます。

平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故は、今なお多くの方が困難な避難生活を余儀なくされているなど、国民の生活に深刻な影響をもたらしました。

この事故では、原子力を推進する経済産業省に原子力安全・保安院が属するなど、規制機関の独立性が欠如していたことや原子力規制機関に専門的知識を有した人材も能力も欠落していたことなど、我が国の原子力に関する行政についての問題点が次々と明らかとなり、国内外の信頼は、大きく損なわれました。

今回の事故の深い反省に立ち、このような事故を二度と起こさないためにも、また、損なわれた信頼を回復するためにも、原子力の安全に関する行政の体系の再構築は、喫緊の課題であります。

このような認識の下、私ども三会派は、精力的に協議を行った結果、本起草案をまとめた次第であります。

以下、その主な内容をご説明いたします。

第一に、この法律の目的として、原子力の安全規制は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するものであることを明確にしております。

第二に、新たな原子力安全規制組織には、環境省に、国際基準に則った、独立性が高い三条委員会の原子力規制委員会を設置することとし、その下に原子力規制庁と称する事務局を置くこととしております。

原子力規制委員会には、原子力安全・保安院及び原子力安全委員会の事務のほか、放射線モニタリングや核テロの事務なども一元化することとしております。

 第三に、原子力規制委員会は、委員長及び委員の職務の中立公正に関し国民の疑惑又は不信を招くような行為を防止するため、委員長又は委員の研究に係る原子力事業者等からの寄附に関する情報の公開、委員長又は委員の地位にある間における原子力事業者等からの寄附の制限その他の委員長及び委員が遵守すべき内部規範を定め、これを公表しなければならないこととしております。

 第四に、原子力規制委員会は、国民の知る権利の保障に資するため、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保しなければならないこととしております。

第五に、原子力規制庁については、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、全ての職員に、原子力推進官庁へのノーリターンルールを適用することとしております。

 第六に、一体的な原子力安全規制行政の確保の観点から、原子力安全規制の専門技術的事務を担う独立行政法人原子力安全基盤機構が行う業務を原子力規制委員会に行わせるため、可能な限り速やかに同機構を廃止・統合するものとし、このために必要となる法制上の措置を速やかに講じるものとしております。

 第七に、平時における原子力防災対策のうち、関係機関の調整等を行う組織として、内閣総理大臣を議長とし、環境大臣や原子力規制委員会委員長などを副議長とする原子力防災会議を設置することとしております。

 第八に、原子力安全のための規制や制度の見直しとして、シビアアクシデント対策の強化、既存の発電用原子炉施設等に最新の知見を適用するバックフィット制度の導入や発電用原子炉の運転期間の制限など、原子炉等規制法の改正を行うものとしております。

 なお、改正後の原子炉等規制法の規定については、その施行の状況を勘案して速やかに検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じることとしております。

 第九に、原子力災害対策特別措置法の改正として、原子力災害予防対策の充実、原子力緊急事態における原子力災害対策本部の強化、原子力緊急事態解除後の事後対策の強化及び原子力災害対策指針の法定化などの措置を行うこととしております。

 また、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣の緊急事態応急対策の実施に係る指示の対象事項から、原子力規制委員会がその所掌に属する事務に関して専ら技術的及び専門的な知見に基づいて原子力施設の安全の確保のために行うべき判断の内容に係る事項を除くこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。

 何とぞ速やかにご賛同くださいますようお願い申し上げます。

 

 

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