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平成十二年七月六日提出
質問第五号

建設省汚職事件の真相解明と亀井静香自由民主党政務調査会長の石橋産業事件捜査への干渉疑惑に関する質問主意書

提出者  前原誠司




建設省汚職事件の真相解明と亀井静香自由民主党政務調査会長の石橋産業事件捜査への干渉疑惑に関する質問主意書


 自由民主党の中尾栄一元建設大臣が、建設大臣在任中に建設業者から賄賂を受け取り、公共工事の受注増のために便宜を図ったとして、受託収賄容疑で東京地方検察庁に逮捕された。今回の建設省汚職事件の背景には、公共事業を食い物にする政府与党一体の利権構造があり、職務権限が明白な「大臣の犯罪」は、職務権限があいまいなために現行法では罪に問われていない与党政治家による構造汚職の「氷山の一角」にすぎない。イトマン事件や石橋産業事件の被告である許永中被告によって、二十億円もの巨額の政界工作資金が、与党の有力政治家などに流れた疑惑も浮上している。また、一連の事件捜査の過程で、捜査対象の政治家が、検察庁に働きかけて、捜査に干渉したり、検察庁の捜査情報が捜査対象者に漏れていた疑いも浮かんでいる。建設省汚職事件などの真相を解明するとともに、構造的な「汚職の温床」となっている公共事業の発注システム、入札制度などの問題点を明らかにするため、以下の通り質問する。

一 イトマン事件の許永中被告が設営したとされる平成八年五月、東京・向島の料亭「なみむら」で開かれた中尾栄一元建設大臣の就任祝いの宴会には、竹下登元総理大臣と実弟の竹下亘秘書、画商の福本邦雄氏、若築建設の石橋浩会長、石橋産業の林雅三相談役らが出席し、建設省から当時の藤井治芳事務次官、豊田高司建設技監、伴襄官房長、橋本鋼太郎道路局長、松田芳夫河川局長、小鷲茂経済局長、梅野捷一郎住宅局長、近藤茂夫都市局長、西脇隆俊大臣秘書官が参加したと報道されているが、これは事実か。その他に、建設省職員で出席した職員がいればその氏名と役職、同席した政府系金融機関職員の氏名と当時の役職も併せて明らかにされたい。建設省の内部調査では、この会合が開かれた日時はいつか。また、この宴席に参加した建設省職員への案内通知は誰が行ったのか。
二 中尾栄一元建設大臣就任祝いの宴席の費用は、いくらかかったのか。それは誰が負担したのか。建設省から出席した職員はそれぞれ会費を支払ったのか。大臣が会費を支払った場合は、個人で負担したのか、大臣交際費から公費を支出したのか。
三 建設省の新旧事務次官交代に伴い伴襄事務次官の就任祝いを名目に、平成八年七月、東京・向島の料亭「なみむら」で開かれた若築建設主催の宴会に、竹下登元総理大臣と実弟の竹下亘秘書が出席し、建設省からは退任した藤井治芳前事務次官、伴事務次官、小野邦久官房長、西脇隆俊大臣秘書官が参加したと報道されているが、これは事実か。その他にも同席した建設省職員がいれば、その氏名と当時の役職、同席した若築建設並びに石橋産業関係者の氏名と当時の役職を明らかにされたい。建設省の内部調査では、この会合が開かれた日時はいつか。また、この宴席に参加した建設省職員への案内通知は誰が行ったのか。この宴席の費用は、いくらかかったのか。それは誰が負担したのか。建設省から出席した職員はそれぞれ会費を支払ったのか。大臣が会費を支払った場合は、個人で負担したのか、大臣交際費から公費を支出したのか。
四 平成八年八月に東京・向島の料亭「なみむら」で、若築建設が主催して催された宴会に、中尾栄一元建設相とともに出席していた建設省職員全員の氏名と当時の役職を明らかにされたい。建設省の内部調査では、この会合が開かれた日時はいつか。この宴席が持たれた目的は何だったのか。また、この宴席に参加した建設省職員への案内通知は誰が行ったのか。この宴席の費用はいくらかかったのか。それは誰が負担したのか。建設省から出席した職員はそれぞれ会費を支払ったのか。大臣が会費を支払った場合は、個人で負担したのか、大臣交際費から公費を支出したのか。
五 中尾栄一元建設大臣が、平成八年当時、建設省の幹部職員に若築建設に建設省のOBを天下りさせることを検討するように指示した事実はあるか。建設省内でそれを受けて、建設省出身者の若築建設への再就職を検討した事実はあるか。建設省出身者を実際には、若築建設に派遣しないという判断をした理由は何か。
六 中尾栄一元建設大臣が、平成八年当時、建設省の幹部職員に、若築建設の公共工事受注のためのランクを引き上げるように働きかけたと報道されているが、これは事実か。建設省内でそれを受けて、具体的に、若築建設の格付けを引き上げることを検討した事実はあるか。
七 若築建設の過去七年間の建設省発注公共工事の受注実績(件数、件名、金額)の推移について、明らかにされたい。
八 中尾栄一元建設大臣が、平成八年十月九日に若築建設から受け取ったとされる一千万円分の銀行振出小切手には、「東京山栄会会長 中尾栄一」という裏書がされていたか。その小切手を換金して中尾栄一元建設大臣の資金管理団体「東京山栄会」の口座に入金していた事実は確認されているか。
九 政治家が、自らの資金管理団体を通じて、一つの企業から一千万円もの献金を受け取ることは、それだけでも政治資金規正法の政治献金の量的制限違反に該当する。また、中尾栄一元建設大臣は、平成八年分の政治資金収支報告書や国会議員の所得等報告書に、若築建設から受け取った合計七千万円を記載していない。中尾栄一元建設大臣が若築建設から受け取ったとされる七千万円が政治献金でない場合は、個人の所得として報告されておらず、所得税法違反に該当すると思料する。検察庁は、中尾栄一元建設大臣を受託収賄罪のみならず、政治資金規正法違反並びに所得税法違反の容疑で捜査し、再逮捕するべきと考えるが、検察庁は、この問題にどのように対処する方針か。
十 石橋産業の石橋浩元会長の義兄である林雅三石橋産業相談役が検察庁に提出した上申書において、平成八年五月に「亀井静香(三千万)・竹下登等との会食をセットされた。」との記述はあるか。検察庁は、この記述に示された金銭授受の事実関係の裏付け捜査を行っているか。
十一 林相談役が検察庁に提出した上申書において、平成八年五月に「向島の料亭で竹下登(三千万)・中尾栄一(二千万)建設省の官僚等との会食。」との記述はあるか。検察庁は、この記述に示された金銭授受の事実関係の裏付け捜査を行っているか。
十二 亀井静香自由民主党政務調査会長は、七月二日に出演したテレビ番組の中で、「私をひいきにしている人が検察に尋ねたところ、検察は絶対『それ(事情聴取)はない』と言っている」と発言した。亀井氏の発言の通りに、検察庁幹部が捜査中の刑事事件について、捜査対象の本人やその関係者に捜査状況や捜査の方針を伝えていたとすれば、刑事事件捜査の鉄則に反し、司法の信頼を失墜する行為と言わざるをえない。検察庁の職員が、亀井氏本人または亀井氏の依頼を受けた関係者から電話を受けた事実はあるか。その電話の中で、石橋産業事件の捜査状況について、亀井氏への事情聴取の有無など捜査に関する具体的な話をした事実はあるか。
十三 第一次森内閣もしくは、第二次森内閣の閣僚・政務次官で、過去五年間に若築建設もしくは石橋産業の関係会社から政治献金を受けていたものはいるか。該当者は、日時、献金企業名、金額を明らかにされたい。
十四 第一次森内閣もしくは、第二次森内閣の閣僚・政務次官で、許永中被告と面識のあるものはいるか。面識のあるものは、何時ごろからどういう付き合いをしているのか。第一次森内閣、第二次森内閣の閣僚・政務次官で、過去五年間に許被告もしくは許被告の経営する企業から政治献金や便宜供与を受けたものはいるか。該当者は、日時、金額を明らかにされたい。
十五 過去十年間に民間企業に再就職した建設省職員全員について、氏名と最終官職、再就職先企業名、再就職日時、再就職時と現在の役職を明らかにされたい。
十六 過去十年間に建設省職員が、公共工事を受注する企業に再就職していた場合は、すべての再就職先企業について、再就職前三年間と再就職後五年間の建設省発注公共工事受注実績の推移を明らかにされたい。
十七 道路工事、ダム建設など公共工事の類型別に、土地代を除く公共工事代金の平均単価について、日本と欧米各国の実績の比較を明らかにされたい。(例=道路一キロメートル当たり建設費など)また、日本の公共工事の平均単価が、欧米諸国における同様の工事単価より高い理由をどのように分析しているのか。
十八 過去十年間の日本の建設会社総数とそのうち建設省発注の公共工事の入札に参加する資格を有する建設会社数の推移と下請け企業に発注している元請企業数とその公共事業発注総額の過去十年間の推移も明らかにされたい。
十九 建設省発注の公共工事代金について、@元請け収益、A下請け収益、B工事経費の三項目に費用を分類し、工事類型別にその過去十年間の実績の推移について明らかにされたい。
二十 過去十年間の建設省発注工事について、下請け企業へのいわゆる「丸投げ」が行われたケース全てについて、元請け企業名、当該工事の事業名と受注額、受注金額と下請け企業への発注額の差額を明らかにされたい。
二十一 建設業法に違反して「丸投げ」等の不法行為を行っていた建設会社に対して、国は、指名停止などの行政処分だけではなく、不当利得返還請求訴訟を提起すべきと考えるが、過去にそのような不当利得返還訴訟を行い、不当利得の返還を受けた実績はあるか。なぜ、国は工事もせずに税金を不当に搾取するこうした行為を放置しているのか。
二十二 過去十年間の建設省発注公共工事全体に占める一般競争入札の比率(件数、金額)の推移を明らかにされたい。工事類型別に、随意契約、指名競争入札、一般競争入札それぞれの平均工事単価の実績を示されたい。
二十三 過去十年間の建設省発注公共工事の予定価格に対する入札制度別(随意契約、指名競争入札、一般競争入札)の落札率の推移について、明らかにされたい。
二十四 新井組のように、許永中被告のような詐欺事件の常習犯に株式を買い占められた建設会社は、一定期間公共工事の受注対象からはずすべきと考えるが、政府はどのように考えるか。

 右質問する。



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