衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十二年八月九日提出
質問第一九号

死刑と無期懲役の格差に関する質問主意書

提出者  保坂展人




死刑と無期懲役の格差に関する質問主意書


 六月から七月にかけて相次いだオウム真理教事件の判決で、死刑を求刑された被告人の一人が無期懲役となった。報道によると、この被告人が若いこともあり、被害者側からは「二十年程度で社会に復帰するのは、納得できない」との声が聞かれたという。国家が生命を奪う死刑と二十年程度で仮出獄できる無期懲役の間には、あまりに大きな格差がある。この格差とそれを埋めるための方策などについて、以下質問する。七月六日提出「新内閣にあらためて死刑の是非を問う質問主意書」(以下「前回主意書」とする)に対する同月二十八日付け答弁書(以下「前回答弁書」とする)についても、一部再質問する。

一 無期懲役

 (1) 無期懲役という刑罰の淵源を説明されたい。
 (2) 日本に無期懲役という刑罰が導入された時期とその経緯を明らかにされたい。
 (3) 戦後、無期懲役が確定した受刑者は何人いるか。各年の平均服役期間をそれぞれ明らかにされたい。
 (4) 戦後、無期懲役が確定し、恩赦で減刑された受刑者は何人いるか。
 (5) 無期懲役が確定した受刑者が仮出獄する際の要件、手続きについて、説明されたい。
 (6) 仮出獄を認める際の判断基準について、説明されたい。
 (7) 八月一日現在、無期懲役が確定し、服役している受刑者は何人いるか。服役している矯正施設名、性別、服役期間をそれぞれ明らかにされたい。
 (8) 無期懲役の受刑者が仮出獄中、強盗殺人や殺人事件を起こし、再び有罪判決を受けたケースは戦後何件あるか。それぞれについて、仮出獄までの服役期間、仮出獄中の事件の判決内容と検察官上訴、確定の有無を明らかにされたい。
 (9) 無期懲役の受刑者が仮出獄中、強盗殺人や殺人事件を起こしたケースについて、政府はどのように考えるか。
 (10) 無期懲役が確定した事件の被害者感情について、調査したことはあるか。調査したことがあるとすれば、被害者感情はどういうものだったか。
 (11) 無期懲役受刑者は十年服役後に仮出獄を許すことができると定めた刑法二十八条の立法趣旨、立法の経緯を説明されたい。
 (12) 死刑と無期懲役の格差を埋めるため、仮出獄を許すことができるまでの期間は判決に含めるように改正するという意見があるが、政府はどのように考えるか。
 (13) 政府は死刑と無期懲役には大きな格差があり、新しい刑罰の導入などで見直す必要があると考えているか。それとも格差はやむを得ないと考えているか。

二 終身刑

 (1) 公明党は終身刑のプロジェクトチームを発足させ、法務省の上田勇総括政務次官もメンバーと報道されているが、政府は終身刑について、どのように考えるか。
 (2) 日本に終身刑が導入された歴史はあるか。終身刑の淵源について、説明されたい。
 (3) 終身刑を導入している諸外国の例、導入された経緯をそれぞれ明らかにされたい。
 (4) 終身刑が導入されている国、州において、終身刑受刑者に対する処遇がどのように行われているか。具体的に説明されたい。

三 死刑

 (1) 死刑の淵源を説明されたい。
 (2) 日本で死刑が始まったのはいつか。
 (3) 前回主意書で、日本が死刑を廃止していた歴史的事実について尋ねたが、前回答弁書「二の(一)、(三)及び(四)について」は「死刑制度について様々な意見があることは承知している」として、歴史的事実に対する見解を明らかにしていないので、もう一度質問する。「死者また生くべからず」(罪人を処刑しても死者は生き返らない)として、死刑を廃止した聖武天皇の施策について、政府はどのように考えるか。
 (4) 日本は「神の国」か。
 (5) 前回主意書で「天皇でなければ、死刑は廃止できないのか」と尋ねたが、具体的な答弁がなかったので、もう一度質問する。日本で死刑を廃止したことがあるのは天皇だけ。「神の国」だから、天皇でなければ、死刑は廃止できないのか。だとすれば、天皇の権限が国事行為に限定されている現憲法下では、国民世論にかかわらず、死刑は廃止できないのか。
 (6) 前回答弁書「二の(二)について」によると、聖武天皇らによる死刑廃止の歴史的事実を確認するため、政府は「我が国の刑罰等に関する文献について可能な範囲で調査を行った」としているが、日本書紀や各天皇の伝記など歴史にかかわる文献も調査したのか。新たに調査範囲を広げて、聖武天皇らによる死刑廃止について、明らかにされたい。
 (7) 前回答弁書「三の(二)について」によると、死刑執行に当たる刑務官の心情について、政府はアンケートや面接などによる調査を組織的に実施したことはないとしているが、なぜ組織的に調査しないのか。
 (8) 前回答弁書「四の(二)及び(三)について」によると、必要に応じ、法務大臣やその命を受けた法務総括政務次官が自ら死刑執行対象者の記録を精査することもあり得るとしているが、これまでに法務大臣や総括政務次官が自ら記録を精査したケースはなかったのか。
 (9) 法務大臣や総括政務次官が自ら記録を精査する必要が生じるのはどういうケースか。
 (10) 法務大臣や総括政務次官は死刑執行に当たる刑務官から、その心情や意見を聴取する意向はあるか。「ある」「ない」の二者択一で答弁されたい。
 (11) 戦後、被告人の死刑判決が上告審か再審で破棄され、無罪判決が確定した「免田事件」など六事件について、検察庁が捜査、公判を検証した文書があるとされるが、法務大臣や総括政務次官はこの文書を読んだか。
 (12) 法務大臣と総括政務次官は「死刑を執行した者の中には誤判による無実の者が含まれていることはない」(これまでの政府答弁書)と確信しているか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.