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平成十二年十月二十七日提出
質問第二三号

日朝交渉等に関する質問主意書

提出者  西村眞悟




日朝交渉等に関する質問主意書


 日朝交渉は、本年六月の南北首脳会談をきっかけとする宥和ムードをうけて国交正常化にむけた具体的な進展が期待されているところ、二国間の法的枠組みの決定は、両国関係および両国国民の将来の友好関係を左右する重要事項であることは論ずるまでもない。
 しかるに、現在においても北朝鮮側からは「植民地支配による人的物的被害に対する謝罪と補償」という要求が既定のことのように発せられて国内に報道されるのみで、これに対する我が国の法的認識は一向に明らかにされていない。
 時あたかも、米朝関係の進展等の背景のもとに第三回日朝交渉が始まろうとしているとき、日朝二国間の法的枠組みに関する政府の態度を国民に明確にせずして対処することは極めて憂慮されるべき事態を招来しかねず、政府が速やかに以下の諸点について見解を明確にすることは緊急を要することであるとともに、関連して朝鮮半島との関係において将来の友好のために明確にしておくべき事項が存在すると思料する。
 よって、次の事項について質問する。

一 本年四月に再開された日朝交渉で北朝鮮側は日本政府に「植民地支配による人的物的被害に対する謝罪と補償」をまず為すべきであると主張したものであるが、政府は、我が国の朝鮮統治に関する日韓併合条約を有効とする法的前提を堅持して、平成七年一〇月五日に村山内閣総理大臣も参議院本会議において「日韓併合条約は当時、法的に有効に締結された」旨確認しているところである。

1 政府は日朝交渉においても北朝鮮に対してこの「日韓併合条約は法的に有効」との法的見解を維持しているのか、今後も維持するのか否か明らかにされたい。
2 朝鮮統治を規定した日韓併合条約が法的に有効であれば、法的に有効な条約による統治が「補償責任」発生の原因になるはずはないと思料するが、政府の見解を明らかにされたい。
3 また、政府は、韓国にたいし、「植民地支配による人的物的被害に対する謝罪と補償」を行ったのか否か、明らかにされたい。

二 サンフランシスコ講和条約第四条は、日本にたいし「領土の分離分割に伴う財政上および民事上の請求権解決」を韓国との直接交渉で行うことを定め、政府はこれを受けて、日韓国交交渉において韓国にたいし事実関係が証明できる債務だけを支払うとの姿勢を貫くとともに、戦後アメリカ軍が没収して韓国政府に引き渡した日本国民の民間財産については、ハーグ陸戦法規第四十六条の規定により日本国民である原権利者に報償請求権があると主張した。

1 政府は、日朝交渉においてこの韓国との戦後処理の法的枠組みを維持するのか否か明らかにされたい。
2 仮に維持しないなら、如何なる法的理由によって韓国と北朝鮮との差異を設けることができるのかその理由を明らかにされたい。
3 政府が韓国との戦後処理の法的枠組みを維持すれば、北朝鮮に対しても「植民地支配による人的物的被害に対する謝罪と補償」には応じられず、事実関係が証明される債務の支払いには応じる姿勢を貫くことになるが、政府はそのように対処するのか否か明らかにされたい。
4 さらに、戦後ソ連軍が没収して北朝鮮政府に引き渡した日本国民の民間財産についてはハーグ陸戦法規第四十六条の規定により日本国民たる原権利者に報償請求権があるのであるが、政府はこの報償請求権の総額を把握しているのか、把握しているとすれば総額いくらか明らかにされたい。
5 把握していないとすれば、日本国民の財産を守ることを本義とする政府において速やかに把握すべきであると思料するので交渉が始まっている現在何時までに把握できるのか明らかにされたい。
6 また、政府が北朝鮮に支払う金額を算定するに当たり、当然この日本国民の民間財産の総額を相殺しなければならないが、政府は北朝鮮にそのように主張するのか、主張しないのか明らかにされたい。

三 昭和四十年の日韓条約で、日本は韓国に有償無償合わせて五億ドルの経済協力を実施し、その結果として請求権問題を解決した。但し、この五億ドルには債務の支払い分だけではなく冷戦下に同じ自由主義陣営に属する友好国である韓国に対する経済協力資金が含まれていた。
 ところで、北朝鮮は、横田めぐみさんを始めとする日本人を拉致するという日本国の主権を著しく侵害するという犯罪を繰り返し、未だそのことを認めようとせず拉致した日本人を解放していないのであって極めて反日的な国家であり続けており、しかも自国民が飢餓に苦しむのを尻目に核とミサイルの開発を継続してきており我が国に照準を当てたノドンミサイルの実戦配備も完了しているのであって、我が国に脅威となる軍備増強と人権抑圧また政治の独裁体制等、およそ我が国の経済協力の対象国にはなり得ないのである。
 したがって、北朝鮮が拉致した日本人を解放する等の態度変更を明確にするならばともかく、現状では昭和四十年当時韓国が友好国であるから行った経済協力分に関しては、対北朝鮮支出から除かれるべきであり、対北朝鮮支払額は韓国に支出した五億ドルを大きく下回らねばならないと思料されるが、政府の見解を明らかにされたい。
四 本年五月三十一日、「国籍離脱戦没遺族等弔慰金支給法」が成立した。この法律は大東亜戦争において日本軍の軍人、軍属として働いた韓国・朝鮮・台湾人のうち、戦後も帰国せずに日本に残っていた者に対して戦傷病者本人には見舞金として二百万円と老後生活設計支援特別給付金二百万円の合計四百万円を、戦死者や戦傷病者の遺族には弔慰金二百六十万円をそれぞれ支給するもので、政府は人道的措置であって補償ではないと説明している。
 では、人道的措置であるならば同じく元日本軍人・軍属であった韓国国籍者のうち、なぜ戦後も帰国せず日本に住み続けた者にのみにこの人道的措置が限られ、韓国に住む同じ境遇の者にその人道的措置が及ばないのか、統一方針なく恣意的行き当たりばったりでは日本国の評価を毀損し日本国民の善意を伝え得なくするとの危惧が拭えないので、この際その合理的理由を明らかにされたい。
五 現在、外国人参政権付与法案が提出され議論が為されているが、与党幹部から、いわゆる日本政府によって「強制連行」されて日本に在住する韓国・朝鮮人にたいしては参政権を与えるべきであるとの意見が表明されているのは公知のことである。

1 そこで、現在約五十二万人の特別永住資格をもつ韓国・朝鮮人のうち昭和十四年から開始された朝鮮人内地移送計画により渡日した者とその子孫は何人か、参政権付与問題は我が国政治にとって重大問題であることは自明のことであるので、この際政府において明らかにされたい。
2 また、右朝鮮人内地移送計画は、如何にして実施されたのか説明されると共に、そもそもこれが強制連行であるのか否か、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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