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平成十三年五月二十八日提出
質問第七五号

千鳥ヶ淵戦没者墓苑の遺骨収容施設の改善に関する質問主意書

提出者  保坂展人




千鳥ヶ淵戦没者墓苑の遺骨収容施設の改善に関する質問主意書


 五月二十八日、午前十一時より四十五分間、厚生労働省主催による「千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式」がとりおこなわれた。「政府が派遣した戦没者遺骨収集団等により、旧ソ連、フィリピン、硫黄島等において収集しました氏名不詳の戦没者の遺骨千四十二柱が同墓苑に納骨されます」と厚生労働省社会・援護局は説明している。モンゴル・ビルマ・タイ・パプアニューギニアから収集された遺骨もここに含まれている。
 六角堂にむけて拝礼を終えた後に、私は思わぬ事実を戦没者遺族から知らされた。実は十年ほど前に、六角堂はすでに遺骨で満杯となっており、その後の遺骨は本年の納骨分も含めて、六角堂の裏の垣根に囲まれたコンクリートの地下収容施設に入れられているということだった。早速、六角堂の裏手にまわると、何人かの遺族の方々が持ち寄った花瓶に生けられた花をその前に添えて、拝礼をする姿があった。
 そこには、厚生労働省が昨年に建てたという看板があった。「納骨堂はこちら側にもございますので、立ち入りは御遠慮願います」というものだ。遺族の方々の話によると、以前はコンクリートが地表に出ているだけで、「浄化槽」のようなものにしか見えず、何も知らない人々がビニールシートをしいて花見をする姿も認められたという。
 雨露をしのぐ屋根もなく、献花台もない。しかも、墓苑のパンフレットにも案内板にもいまだに六角堂以外に納骨施設があることを表示もしていない。驚いて遺族の話を聞く私の傍らに、「まさか、そんなことが」と初めてこの事実を知る遺族の人たちが何人もいた。
 国は、戦没者の慰霊のために最大限の配慮をすることを、ことあるごとに明らかにしているが、今日の遺骨収容施設の現状は早急な改善が必要ではないか。長きにわたって千鳥ヶ淵戦没者墓苑に通い続けてきた戦没者の遺族の方々にとり、国民全体にとっても、放置することの出来ない重大な問題につき国会法所定の期間内に答弁を頂きたい。

一 「こちら側の納骨堂」の正式名称は何と呼ぶのか。
二 「こちら側の納骨堂」に屋根がないのはなぜか。
三 「こちら側の納骨堂」は納骨堂と呼べるような建造物は存在せず、納骨保管施設ではないのか。
四 「こちら側の納骨堂」に拝礼をするための献花台がないのはなぜか。
五 「こちら側の納骨堂」が、墓苑の案内版・パンフレットに掲載されていない理由は何か。
六 「こちら側の納骨堂」に過去十年間、氏名不詳ならぬ身元が判明している遺骨が納骨されていると聞く。その数を明らかにされたい。
七 六角堂要領図には「第一室本土周辺」「第二室満州」「第三室中国」「第四室フィリピン」「第五室東南アジア」「第六室太平洋・ソ連」と六つ地下納骨室の存在が記されている。その表示通りに納骨をしていたのは何時までか。その後には、厳密に区分できずに納骨されていると遺族は指摘するが本当か。また、「こちら側の納骨堂」の方は方面別の区分はされているか。
八 政府は六角堂と「こちら側の納骨堂」は一体の施設だと説明を求める遺族に対して答えているが、道で隔てられて雨露をしのぐ屋根もないコンクリートの地下施設を目のあたりにして、遺族感情をふまえ適切な主張と言い切れるか。
九 六角堂を拝礼しても、その奥にひそかにある「こちら側の納骨堂」を拝礼したことにはならない。肉親の遺骨が「こちら側の納骨堂」にあるなら、そこに献花して拝礼したいという遺族の訴えにどう答えるか。
十 千鳥ヶ淵戦没者墓苑にまつわる以上の経過を国民の前に公表し、遺骨収容施設の現状の改善など、改めるべきところは改める決意はあるか。

 右質問する。



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