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平成十三年六月八日提出
質問第九二号

じん肺根絶のための政府の対策に関する質問主意書

 提出者
 小沢和秋    木島日出夫





じん肺根絶のための政府の対策に関する質問主意書


 一九六〇年にじん肺法が施行されてから四十一年が経過しているが、未だに我が国におけるじん肺患者の発生は多数にのぼっている。ILO・WHOは、一九九五年に「二〇〇五年までに全世界でじん肺を大幅に減少させ、二〇一五年には全世界からじん肺を根絶するべきである。そのために、各国政府はじん肺根絶計画を策定するべきである」と提起している。最も古く、かつ科学が発達した今日においても根絶できずに労働者を苦しめている職業病として、一刻も早い国家的対応が求められている。
 よって、次のとおり質問する。

一 一九九五年の提言を行ったILO・WHOの我が国における担当窓口の厚生労働省として、上記提言を基本的にどのように受けとめているのか。
二 上記提言にある「じん肺根絶計画」については、どのような方針の下で、現時点ではどのような計画が策定されているのか。あるいは今後どの部署が、どのような方針の下で計画の策定を検討しているか。
三 現在ないしこれまでの我国におけるじん肺予防の諸施策をもってしても、じん肺多発を実際には防ぎ得なかった原因について、厚生労働省としてはどのように認識しているのか。すなわち、どの点が不十分であり、あるいは不備があったと認識しているか。
四 労働基準監督官の粉じん作業を伴う事業所への立ち入り検査の実態は、これまでどのようなものであったか。業種別、地域別に明らかにされたい。
五 現時点において採用され実行されているじん肺予防の諸施策は、今後のじん肺予防を実現できるものという評価をしているか。そうであるならば、現行の諸施策とそれ以前の諸施策との相違点は何か。すなわち、どの段階で何が改善された結果、そのような変化が生じたと言いえるのか。
六 じん肺予防の施策の重要な一つとして、粉じん作業の労働時間の短縮が重要であると思われるが、それについて改善策を検討しているか。また、粉じん暴露総労働時間の制限を設ける方策は検討しているか。
七 昨年十二月に公表された「ずい道等建設工事現場における粉じん対策に関するガイドライン」について、実効性を持たせるためにどのような施策の実施を予定しているか。発注者、施工者に対する説明会が計画、実施されているが、作業従事者に対するガイドラインの周知徹底の必要性は認識しているか。また、そのためにどのようなことを検討、計画しているか。
八 すべての粉じん職場における粉じん測定を法的義務とすることが必要であるという認識をしているか。これについて厚生労働省は、どのような方針、計画を策定しているか。
九 じん肺症の発症自体を未然に防止するための法制度の整備、改善の他、現在も相当数のじん肺患者が毎年発生し続けていることにかんがみると、じん肺症の重症化を極力防止することも重要であり、十分な健康管理を行う必要がある。具体的には、常時粉じん職場に従事している者だけでなく、粉じん作業離職者に対して、比較的軽症のじん肺患者(管理区分二の者)や、じん肺所見のない者であっても、すべて一年に一回の定期的なじん肺健康診断を実施するべきである。しかも、それを実質的に保障するためには、健康管理手帳を交付する対象者を抜本的に拡大して、粉じん職場従事者にはすべて健康管理手帳を交付すること、ならびに粉じん職場在職中は事業者の負担でじん肺健康診断を実施し、その離職者に対しては国の負担で健康診断を継続して実施するべきであると考える。以上の諸点について、厚生労働省としては、どのような認識を有しているか。また、仮に上記の改善が早急にできないとしたらその理由は何か。
十 じん肺管理区分二及び三の者で労災保険の支給を受けていない者に対しては、なるべく早期に他の適切な職場を確保しつつ粉じん職場から離脱させることが望まれる。じん肺中、軽症患者の生活や就業場所を確保しつつじん肺の進展を防止するために、どのような対策を検討しているか。
十一 じん肺に合併した原発性肺がんについて、昨年十二月に労働省から「じん肺症患者に発生した肺がんの補償に関する専門検討会報告書」が出されているが、今後、管理二、三のじん肺患者に合併した原発性肺がんの患者をも労災補償の対象とすることに向けて、今後具体的にどのような方策を取られるのか明らかにされたい。
十二 結晶性シリカの発がん性について、IARC(国際がん学会)は既に一九九六年に発がん性ありとしており、また日本産業衛生学会も同様に発がん物質であるとの見解を表明している。厚生労働省としてはこの点についてどのように認識しているか。

 右質問する。



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