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平成十三年六月十一日提出
質問第九三号

「秘密漏えい事件調査報告書」に関する再質問主意書

提出者  金田誠一




「秘密漏えい事件調査報告書」に関する再質問主意書


 「衆議院議員金田誠一君提出『秘密漏えい事件調査報告書』に関する質問に対する答弁書」(平成十三年三月二十三日答弁。以下「答弁書」という。)における不明な点につきさらに質問する。

一 漏洩の定義について
 答弁書において自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密を漏らしてはならない」とは、「当該秘密に接する権限のない者に秘密を漏らしてはならないことであると解される」としているが、こうした政府の解釈が判例を根拠とするものであればその判例を明示されたい。
二 学生らが取扱者に該当したかについて
 答弁書によると平成六年八月から平成七年八月までの幹部中級艦艇用兵課程並びに幹部中級射撃課程の学生全員は、「戦術概説(改訂第三版)」に関して「秘密保全に関する訓令」(昭和三十三年防衛庁訓令第百二号。以下「訓令」という。)第二条第三項3に定める取扱者に指定されていたとのことである。そこで以下の点を明らかにされたい。

 1 訓令第二条第三項3は、取扱者を「当該秘密に係る起案、運用、調査研究等の事務を命じられたもの」と定めているが、取扱者に指定されるに当たって当該学生に任された事務の内容を明らかにされたい。
 2 当該学生らが当時、取扱者に指定されていたのであれば、その事項について秘密関係職員指定簿(「秘密保全に関する達」(昭和四十三年海上自衛隊達第七十六号。以下「達」という。)別記様式第一)に記載されたことと思われるが念のため確認する。
 3 当該学生らがその取扱者に指定された年月日と解除された年月日をそれぞれ明らかにされたい。

三 海自三佐が関係職員に該当したかについて

 1 答弁書によれば同三佐は当時、「将来の海上自衛隊通信のあり方(中間成果)」(以下「中間成果」という。)に関して訓令に規定する関係職員であったとのことであるが、それについて以下の点を明らかにされたい。
 @ 同三佐は訓令第二条のいずれに該当する関係職員だったのか明らかにされたい。
 A 同三佐が当時、関係職員であったのであれば、その事項について秘密関係職員指定簿に記載されたことと思われるが念のため確認する。
 B 同三佐がその関係職員に指定された年月日と解除された年月日をそれぞれ明らかにされたい。
 2 「秘密漏えい事件調査報告書」(平成十二年十月二十七日 特別調査チーム)によれば同三佐は、「R委員会資料ファイル」を受け取ったとのことである。同ファイルに多数の秘密指定文書が綴られていたことは答弁書が明らかにしている。そこで以下の点を明らかにされたい。
 @ 同ファイルに綴られた秘密指定文書それぞれに関して同三佐は関係職員に該当していたのか。該当していたのであれば、訓令第二条のいずれに該当したのか明らかにされたい。
 A 同三佐が当時、関係職員であったのであれば、その事項について秘密関係職員指定簿に記載されたことと思われるが念のため確認する。
 B 同三佐がその関係職員に指定された年月日と解除された年月日をそれぞれ明らかにされたい。
 3 右報告書によれば、「中間成果」が「R委員会資料ファイル」に綴られた経緯は、「R委員会に出席した調査部長が持ち帰ったものを調査課調査第1班長が受け取り、部内に回覧した後、業務上の参考になると思い、G3佐に保管を指示したものである」(同報告書九頁)という。
 達第三十三条では秘密指定文書の集中保管が定められており、また同第三十四条ではその貸出しの厳格な手続が定められており、報告書がいうように秘密指定文書をR委員会に出席した調査部長が持ち帰るということは本来あり得ないと考える。
 そこで以下の点を明らかにされたい。
 @ 調査部長が持ち帰って部内に保管されるまでの経緯について、訓令及び達に定める手続に従って明らかにされたい。
 A 答弁書(三の2について)は、「中間成果」がG三佐のファイルに綴られたのは「訓令等に定める手続に従わず」に行われたものと認めているが、その具体的な経緯について明らかにされたい。
 4 答弁書(四の1について)によると、フロッピーディスクに含まれていた秘密に関して、同三佐は関係職員に該当したとのことであるが、それについて以下の点を明らかにされたい。
 @ 同三佐は訓令第二条のいずれに該当する関係職員だったのか明らかにされたい。
 A 同三佐が当時、関係職員であったのであれば、その事項について秘密関係職員指定簿に記載されたことと思われるが念のため確認する。
 B 同三佐がその関係職員に指定された年月日と解除された年月日をそれぞれ明らかにされたい。
 5 答弁書(四の2について)によると、光磁気ディスクに含まれていた秘密に関して同三佐は関係職員に該当したとのことであるが、それについて以下の点を明らかにされたい。
 @ 同三佐は訓令第二条のいずれに該当する関係職員だったのか明らかにされたい。
 A 同三佐が当時、関係職員であったのであれば、その事項について秘密関係職員指定簿に記載されたことと思われるが念のため確認する。
 B 同三佐がその関係職員に指定された年月日と解除された年月日をそれぞれ明らかにされたい。

四 答弁書(三の4について)においてその名称等を明らかにできなかったものがあれば、その件数を明らかにされたい。
五 答弁書(四の3について)においてその名称等を明らかにできなかったものがあれば、その件数を明らかにされたい。
六 「戦術概説(改訂第三版)」及び「中間成果」の漏洩に関して達第七条の二に基づく報告が、海上幕僚長に対して行われたことと思われるので、これについて以下の点を明らかにされたい。

 1 それぞれの漏洩に関する報告者の官職と氏名。
 2 海幕長にそれぞれ報告された日時。
 3 それぞれ報告された内容(ただし自衛隊法第五十九条で定める秘密に該当する部分を除く)。

七 この秘密漏洩事件に関し以下の点について政府の見解を明らかにされたい。

 1 我が国の防衛に与えた損害について具体的に明らかにされたい。
 2 その回復のために政府が採った具体的な措置について明らかにされたい。
 3 その回復のために必要とされると政府が見込んでいる期間を明らかにされたい。

八 この秘密漏洩事件に関する東京地方裁判所判決(平成十三年三月七日)は「量刑の理由」において、「本件犯行の結果、これらの秘密が外国の軍事関係者に漏れたことによって、場合によっては、戦術や将来にわたる通信システム整備計画の見直しの必要も生じかねず、その影響には深刻なものがある」と指摘している。この点に関し、以下政府の見解を明らかにされたい。

 1 本件犯行の結果、現在防衛庁では「戦術や将来にわたる通信システム整備計画の見直し」を行うつもりがあるのか。
 2 右の見直しを行うつもりがないなら、その理由。

九 答弁書(二の6について)において「お尋ねの『管理者』等の氏名については、これを明らかにすると個人の権利利益が害されるおそれがある」と述べているが、それについて以下の点を明らかにされたい。

 1 答弁書でいう「権利利益」とは具体的にいかなる権利を指しているのか。
 2 その権利利益の根拠となる法令は何か。

十 答弁書(一について)において海自三佐は、防衛研究所の所員として学位授与機構への提出論文の作成を職務として遂行していたとのことであるが、当時その提出論文の作成を職務としていたのであれば、その法令上の根拠を明らかにされたい。
十一 防衛庁において「指定前秘密」に関する規定があればそれぞれの件名・発簡番号・制定年月日を明らかにされたい。
十二 答弁書(六の3について)では、「防衛庁においては、平成十二年九月、秘密文書等の作成部数の限定、適時適切な廃棄等秘密文書の削減の促進について、管理者、保全責任者等を通じ、職員に指導を行った」とあるが、その具体的な成果について明らかにされたい。

 右質問する。




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