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平成十三年六月二十二日提出
質問第一〇七号

廃棄物処理法の弾力的運用に関する質問主意書

 提出者
 阿部知子    原 陽子




廃棄物処理法の弾力的運用に関する質問主意書


 環境省が全国の里山保全状況を調査した結果が明らかになった。里山が抱えている問題の一割弱は、ゴミの不法投棄であるという。また、六月十八日の朝日新聞によれば、業界団体の価格動向調査で、産業廃棄物最終処分場が減少したため、埋立て料金がこの三年で近畿で約二倍、関東で約五倍、増加しているという。さらには、開発の抑制された市街化調整区域と市街化区域との地価の格差を背景に、市街化調整区域における遊休地を不用意に業者に貸す地主は後を断たないと言われる。
 以上のような背景もあり、神奈川県相模原市では、廃棄物の収集運搬業者などが、農地法や都市計画法に違反して農用地や市街化調整区域で、廃棄物の焼却や保管などを行う事例が多数あり、平成十二年度までに農地法違反三百三十八件、農業振興地域の整備に関する法律違反百二件、都市計画法違反四百三十五件が報告されている。
 このような事態は都市近郊で共通する全国的な現象ではないかと推測するが、「農地法などの地方公共団体における運用に関する質問主意書」(衆一五一第六一号)による答弁では、国ではそのような調査を行っていないという。
 しかし、神奈川県知事や相模原市長に対する質問状への回答で明らかになったように、市が県に報告をしても、権限を行使すべき県がこれらの法に基づく権限を行使しないまま時効になったり、中止命令や原状回復命令に時間をかけ、刑事告発などの厳正な対応が迅速にできなかったりする事例が多数ある。またこれらの法令違反に対する罰則が緩すぎるという指摘もある。
 すべての状況を考え合わせれば、今後も都市近郊における市街化調整区域や農用地で不法投棄や不法焼却などが行われる潜在性はますます高い。
 にもかかわらず、現在は、廃棄物処理法に基づいて許可を受けている廃棄物収集運送業者や処分業者が、農地法や都市計画法や農振法に違反して廃棄物処理をおこなっても、直接の廃棄物処理法違反でないとして、廃棄物処理法に基づく業者の許可取消しなどの法的措置が取れない。
 しかし、廃棄物を適正に処理する法の主旨から言えば、このような場合、廃棄物処理法に基づく業者の許可の取消しを行える方が、業者にとって抑止効果があるのは言うまでもない。
 よって、以下質問する。

一 廃棄物処理に関連した農地法や都市計画法など他法令違反を犯した業者に対して、廃棄物処理法に基づく収集運搬、処理業の許可の取消しが可能となるよう、廃棄物処理法の弾力的な運用について、環境省、農水省、国土交通省の間で検討を行うべきではないか。
二 農地法や都市計画法に基づいて持っている権限を市町村に下ろす検討が必要ではないか。
三 相模原市で起きているような不法状態を未然に防ぐためには、地主に対する啓蒙活動が重要である。例えば、講習会の開催やパンフレットの発行により積極的な啓蒙活動を行うよう、国は、地方公共団体に指導し、そのための予算も確保すべきではないか。
四 都道府県警察が迅速な対応を取ることができるように、講習会開催やパンフレット発行を行うよう、国からの指導や助言が必要ではないか。

 右質問する。



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