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平成十三年六月二十七日提出
質問第一一八号

千鳥ヶ淵戦没者墓苑の改善と国立墓苑に関する質問主意書

提出者  保坂展人




千鳥ヶ淵戦没者墓苑の改善と国立墓苑に関する質問主意書


 一九五三年一二月一一日、内閣は『無名戦没者の墓に関する件』で閣議決定を行なっている。「遺族に引き渡すことのできない戦没者の遺骨を納めるため、国は『無名戦士の墓』を建立する」「墓の維持管理は、国の責任において行なうものとする」ことを決めた。国立国会図書館を通して諸外国の事例を調査し、また敷地をどこにするかの議論の中で、靖国神社崇敬者総代表から「靖国神社の境内の一部を墓の敷地に当てる案」が熱心に要求されてきたが、憲法上の問題もあり多数の賛同が得られなかった。また、諸外国の無名戦士の墓と比較して遜色のないものとしたいという声を受けて、郊外の広大な敷地の検討もされたものの「千鳥ヶ淵」に決定したのは一九五六年一二月四日の閣議だった。さらに、「無名戦没者の墓」と呼ばれてきた施設の正式名称を「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」とすることとなり、一九五九年三月一三日の閣議に報告された。以上は、厚生省監修の『援護五十年史』を要約した千鳥ヶ淵戦没者墓苑の構想段階からの経過である。
 土井党首が党首討論でも短い時間ながら、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を外国から賓客が堂々と訪問・献花できる国立墓苑として整備するように小泉総理に求めたが、明快な回答を得ることは出来なかった。だが、総理は最近になって「国立墓地設立構想」を示唆するような発言をしたとの報道もされている。
 あらためて「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」とは何か。内閣に見解を求めたい。

一 千鳥ヶ淵戦没者墓苑を管理する財団法人千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会のパンフレットには「国立の墓苑」と明記されている。間違いなく同所は国立墓地と考えるが相違はないか。
二 靖国神社と千鳥ヶ淵戦没者墓苑の違いはどこにあるのか。
三 「アーリントン墓地のような海外からの来賓が必ずそこに行けるような場所があった方がいい」との国会での議論を受けて、小泉総理は「造るんだったらいいものを造りたい」との所感を述べたと伝えられている。そもそも、千鳥ヶ淵戦没者墓苑の構想・設計段階において、アーリントンも含めた諸外国の事例は十分に研究され、参考にされたことを幾多の文献は示している。なぜ、せっかく出来上がった国立墓地に海外からの来賓が出向けないような事態が生じたのか。
四 外国の賓客が千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れることを計画し、途中で中止となった例は過去にどれだけあるか。それぞれの時期と中止理由を述べられたい。
五 外国の賓客が千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪問することに対して、国会などで反対意見が表明されたことはあったか。その時期と主張内容を示されたい。
六 国立墓地に関して「造るんだったらいいものを造りたい」との総理の発言が本当だとしたら、千鳥ヶ淵戦没者墓苑は「いいもの」とは言えないのか。「よくない」のなら改善の努力を考えているのか発言の真意を問いたい。
七 千鳥ヶ淵戦没者墓苑の設立に至る文献に目を通すと、先人たちの大変な努力と協議で国立墓苑が出来上がっていく様子が描かれている。当時の政府は、「造るんだったらいいものを造りたい」と考えて全力を尽くしたのではないか。
八 政府が全力を尽くして造りあげた千鳥ヶ淵戦没者墓苑に外国からの賓客の公式訪問が実現しないのは、靖国神社との関係が最大の理由なのか。だとすれば、総理の言う「新しくいいものを造る」とこの点はどのように解決されるのか。
九 千鳥ヶ淵戦没者墓苑の現状は、およそ先人たちの掲げた理想にはほど遠く、遺族感情からも耐えられないような事態を長年にわたって放置し続けている。前回、質問主意書で指摘したような納骨仮施設の扱いを、いつまでに改善するのか。「いいものを造る」ことをあれこれ議論する前に現状を改善することが最優先されなければならないと考えるが、どうか。
十 総理や閣僚が訪問国における戦没者墓苑を訪問したことに対し、返礼として日本の国立墓地を訪れたいとの要望が相手国から出てきた時、政府はどこに案内するのか。これまで、外交儀礼として賓客の国立墓地訪問の検討がなされた場合に、どのような理由と事情によって実現に至らなかったのか。相手国に対しての説明はいかにあったか。

 右質問する。



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