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平成十四年七月三十日提出
質問第一八二号

医薬品・医療機器の安全確保に関する質問主意書

提出者  川田悦子




医薬品・医療機器の安全確保に関する質問主意書


 医薬品の市場規模としては米国に次いで世界第二位の我が国では年間約六兆円の医薬品が消費されており、その安全性を監視し、国民の健康保護に努めることは国の重要な責務である。今回の薬事法改正により、医薬品・医療機器の承認審査制度が大きく転換し、製造承認から製造販売承認に変更されることによって製薬企業は製造部門の外部委託、分社化などが可能になった。これについては医薬品等の製造部門の下請化が進み、コスト削減を優先するあまり安全管理が手薄になるのではないか、という指摘も出ている。
 現在、医薬品・医療機器の審査に係る業務については、(認)医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(以下、医薬品機構)、(財)医療機器センター、国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センターの三つの機関が行っており、医薬品の審査等に従事している人員は厚生労働省本省と併せても二百十名、医療機器の審査に関しては三十一名とされている(二〇〇一年)。一方、米国の食品医薬品庁(FDA)では審査官が医薬品部門だけで約二千六百名、医療機器に関しても約八百五十名が配置されている(一九九九年)。薬害エイズ事件の事例では、旧厚生省はFDAの加熱血液製剤への勧告から二年四ヶ月後に加熱製剤の認可をし、薬害ヤコブ病事件におけるヒト乾燥硬膜(ライオデュラ)の事例ではFDAの承認取り消しからおよそ十年後に旧厚生省として販売中止・使用禁止などの措置を取るに至っており、さらにフィブリノゲン製剤による肝炎感染問題でも同様に対策の遅れが指摘されているところである。事情の異なる米国との単純な比較はあたらないとしても、承認審査体制と危機管理機能の脆弱さが被害を拡大させた点は明らかである。
 これらの重大な被害を経験した我が国において、医薬品・医療機器の安全確保の施策は急務であるとの見地から、以下質問する。


(一) 去る七月二十四日の衆議院厚生労働委員会で、宮島彰医薬局長は審査官を百名程度は増員する意思があるとの答弁であったが、増員を百名とする根拠は何か。また、審査官の任命の際、どのような基準(資格、経験)で誰が人選を行うのか、また待遇(給与)、職務上の義務等についても具体的に明らかにされたい。
(二) 審査関係機関の独立行政法人化により財源の問題が重要になるが、体制拡充に必要な財源の確保について具体的な方策と収支の見通しを示されたい。
(三) 審査関係機関の統合により、同一組織内に安全性を審査する部門と研究開発振興・産業育成の部門が存在することとなるが、旧厚生省が天下り先の企業の利益を優先して危険な製剤を放置した薬害エイズの事例があり、安全性を第一とした運用がなされるか懸念を抱く。現時点においても医薬品機構、医療機器センターにおいては研究開発振興と医薬品の審査業務が行われているが、当該独立行政法人の行う審査業務の公正・中立性を担保し、国民の健康保護を最優先する組織・機能とするための具体的方策(業務上関係の深い企業への審査官の転職や、関係企業からの審査官の採用の制限等)を示されたい。

 右質問する。



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