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平成十四年十二月十二日提出
質問第三七号

遺伝子組み換え技術応用の植物等に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




遺伝子組み換え技術応用の植物等に関する質問主意書


 遺伝子組み換え技術が植物や動物に応用されるようになり、それまで無理だとされていた種の壁を超えた交配育種が進められています。しかし、生命を操る領域は、遺伝子の解析が盛んに行われている現在でも、遺伝子座が分かったところで、それぞれの遺伝子の働きが分かっているわけではありません。まして、相互に影響し合う実態を把握することはできていません。にもかかわらず、すでにこの技術は、食用、飼料用に応用されています。今では、薬品用、補助栄養用、クローン動物・人間等への遺伝子組み換え技術の応用も研究レベルから十分な影響評価もされないまま商業用として私達の身近なところに迫ってきています。
 遺伝子の改変は、何代も影響を及ぼし、交雑によって水平的にも拡散するもので、その影響は時代を超え、国を超えるものです。影響評価不十分な段階での性急な商業的応用が、現在様々な問題を生んでいると考えられます(汚染種子、農作物汚染、昆虫の腸内細菌への遺伝子の移行、蜂蜜に組み換え遺伝子が検出される等の生物多様性を脅かす問題、人の腸内細菌への組み換え遺伝子の移行検出、そこから予想されるマーカー遺伝子として導入されている抗生物質耐性の移行等)。これ以上の問題の広がりをくい止めるために、早急な対応が求められます。
 そこで、次の事項について質問します。
 

一 研究段階での長期的影響評価を義務づけることに関して
 組み換えられた植物・動物への影響そのものを継代研究すべきと考えますが、どのように考えられているのでしょうか。人や動物が摂取した場合の影響評価を継代まで長期に渡り研究段階で実施することについては、どのように考えられているのでしょうか。
 栽培段階でも、長期影響の研究をし、申請書類の検証を実際に行うべきと考えます。このことについて、いかが考えられますか。
 同様に開発企業による申請が指針により農林水産省、厚生労働省に提出されていますが、申請資料を基に日本でも現在の指針を見直し、独自の安全性評価法や環境影響調査法による研究実験をするべきと考えますが、申請の義務づけと実証の義務づけについての見解を明示して下さい。
 海外で遺伝子組み換え技術応用による問題性が実験等で公表された場合、日本独自にそれを実験すべきと考えますが、このことについての見解を明示して下さい。また、既に確認した申請でも公表内容によっては確認前に差し戻すべきと考えますが、見解を明示して下さい。
 すでに市民団体等が、開発企業の申請のまま農林水産省、厚生労働省で安全性評価を確認した内容への問題点を指摘していますが、それを踏まえ独自の安全性評価を設計し、見直しをすべきと考えますが、見解を明示して下さい。
二 生産者に関わる問題
 遺伝子組み換え汚染のない種子や混入のない種子を保証することは、国家として重要な責務であると思いますが、現実に汚染種子が輸入されていることに対し、どういう機関でどのような対策を取り、検査が行われているのか、また、現在は、汚染種子を取り締まる法律がありませんが、今後それ等を規制する法律を作るべきと考えますが、見解を明示して下さい。
 作物・飼料が遺伝子組み換えであるかないかは「分別」で保障することが必要ですが、そのための検査の義務づけは、現在どのように実施されているか、種類、頻度、方法等、費用も含め、詳細を明示して下さい。
 実際には多くが「不分別」という状況だと思われますが、遺伝子組み換えがどの程度の割合で輸入されているのか、日本で未確認のものが混入していないかの検査実態はどうなっているか明示して下さい。
 国内栽培が研究機関、一般農家でも実施されていますが、どのような内容のものかの事前届け出と、周囲への通達、公表を義務づけるべきと考えますが、現状がどのようにされているか、義務づけについてどのような見解かを明示して下さい。
 生産者に対して、遺伝子組み換え技術応用の作物等を生産しようとした場合、契約による特許の保証が大前提となること、栽培方法等の農法も指示に従う等、法的な取り決めがあります。現在、花粉による農作物への組み換え遺伝子汚染が問題とされ、汚染された遺伝子組み換え種子を農家が無許可で使ったこととなり敗訴した事例があります。こうしたことを事前に考慮し、栽培契約時の中身を公示すべきと考えますが、見解を明示して下さい。
 生産現場での汚染防止の方法が確立されないままに栽培が許可されているものが多数ありますが、遺伝子組み換えの栽培を望まない人への汚染防止保障をどうするか、特に有機JAS法では、汚染があると、この法律自体の意義が失われることとなりますが、この法律をどう担保するべきかお考えを明示して下さい。
三 消費者に関わる問題
 消費者の食の選択権の保障の観点、研究レベルでの不十分な開発状態から、遺伝子組み換え原料不使用の食品を保障することは大切と考えますが、現状の表示では、遺伝子組み換えでないものを選択するためには不十分な事は明らかです。原材料の段階での表示への取り組み等をどのようにお考えか見解を明示して下さい。
 消費者が、現状のまま長期的に遺伝子組み換えのものを食した場合、どのような影響が出るかを検証することは必要と考えます。そのためには、検証項目、方法、場所、担当者等整備されていなければなりませんが、現状はどのようになっているか、考え方、対策等明示して下さい。
四 貿易、商品(種子・作物・加工食品・薬品等)に関わる問題
 WTOのTRIPS協定では、生物特許が認められ、遺伝子の働きと生産プロセスまでをも範疇としていますが、そもそも生物特許は、生命を経済論理で考えたものです。本来、遺伝子を特許で捉えることは見直されるべきものと考えますが、生物特許の考え方についての見解を明示して下さい。
 遺伝子組み換え商品は、これからの人口増による食糧難、飢餓を救うためにあると力説されてきましたが、飢餓は食料が一,二の国で多量にあれば解消されるものではない、と考えますが見解を明示して下さい。
 生物多様性条約の下、カルタヘナ議定書の批准に向け国内法の整備が進められていると聞いていますが、国内法はどの段階で明らかにされるのでしょうか。時期と現段階の進捗状況、日本国として柱とする生物多様性の捉え方等取り組みについての詳細を明示して下さい。

 右質問する。



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