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平成十四年十二月十二日提出
質問第三八号

日本放送協会に関する質問主意書

提出者  前原誠司




日本放送協会に関する質問主意書


 日本放送協会(以下NHKという)は、放送法に基づく法人であり、同法によって「豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送」を行うことを義務付けられているとともに、受信者より強制的に受信料を徴収する権限を与えられている、極めて公共性の高い法人である。
 しかし、情報通信技術の発達により、いわゆる「放送」と「通信」の境界があいまいとなり、その融合が進む中にあって、NHKの業務範囲について、競争環境にある民間放送事業等から様々な意見が表明されているところである。またNHKの業務範囲拡大に伴い、NHKは出資会社を活用しているが、出資金といえども国民より徴収される貴重な受信料によってまかなわれているものであり、当該出資子会社の経営、業務の内容についても、NHKはもとより、所管する総務大臣はこれを明らかにする責務を負っている。
 NHKは独自の情報公開基準に基づいて情報公開を実施しているが、十分な公開が行われているものとは思わない。
 独立行政法人等情報公開法において、「NHKは、政府の諸活動としての放送を行わせるために設立させた法人でないと理解され対象外とする。」となった。しかし、国民を代表し、予算の議決権を有する国会が、受信料の強制徴収権を有するNHKの詳細な情報を得ることは、国民から負託された責務を達成するために、不可欠なものであると考える。
 政府が監督官庁としての立場からNHKの保有する情報の公開が推進されるよう指導し、構造改革の一環としてこの問題の規制改革に取り組むことは日本国民が待ち望んでいた最重要課題であり、国民の信頼と要望に応えることが公共放送の使命であり、責任ではないか。
 よって、次の事項について質問する。

一 小泉首相は、NHKについて平成十三年九月七日、首相官邸においてマスコミに対し「公共放送としての在り方は考えなければならない。他の民間を圧迫したり、肥大化しないように自制が必要だ」と発言しているが、現在のNHKの業務形態と照らし合わせて、この総理の発言の趣旨がいかされているかどうか、政府の見解は如何。
二 NHKの内部組織として、国会との連絡調整等を専門に行う組織(部、課等)の名称を問わず、実質的に業務が国会関連であるものがあると聞くが、その業務内容と予算・人員等の規模は如何。また当該組織をNHKが有することに関する政府の見解は如何。
三 ホームページによるとNHKには現在、二九の子会社、関連四社、関連公益法人等九団体の計四二の関係団体があるということであるが事実か。また、これら人事などで関わりの深い関係会社については、毎年公表する業務報告書によって出資額や経営状況を公開しているが、子会社が出資した孫会社の情報については、公開をしていない。間接出資であっても、孫会社の資本に、間接出資及び委託料等を通じて、受信料が充てられていることは明らかであり、その公共性に鑑みれば、孫会社においても積極的な情報公開が当然であると考えられるが、政府の見解は如何。また当該孫会社の経営状況については、政府としてどの程度把握しているのか。政府が把握している範囲で明らかにされたい。
四 強制的に徴収している受信料を、より効果的に活用するという観点から、番組制作などにおいてNHKの安易な子会社への委託を抑制し、競争契約を一層活用することが求められる。この実効性を担保するためには、「業務の専門性、特殊性等」を理由に競争契約を排除することが無いよう、例えば「五年以内に八〇%以上を競争契約とする」などの数値的な目標を設けることが必要だと思われるが、競争契約の一層の活用による受信料の効率的活用に関する政府の見解は如何。また、競争入札のうち、業務委託基準改定(平成十四年四月一日)後において、子会社及び関連会社が落札した割合は如何。
五 平成十二年度において、放送受信契約は増加計画を達成出来ず、受信料収入は予算を大幅に下回った。そうした中で、二〇一一年七月に地上波のアナログ放送を停止して、二〇一二年にデジタル放送に一本化することについて、国民に対する説明責任が明確に果されていないが、政府の考えを明らかにされたい。
六 いずれにせよ、NHKは法律、すなわち国権に基づき強制的に徴収する受信料で成り立っている公的法人であり、その国民に対する説明責任は極めて重い。その責任の重さに鑑みると、現在のNHKの情報公開の姿勢は極めて不十分、ましてや、インターネットホームページに掲載されたNHK関連企業の財務諸表においても不十分であるといわざるを得ない。
 (1) NHKの経営方針、重要事項を決定する経営委員は、放送法第十六条において、「委員は、公共の福祉に関し、広い経験と知識を有する有識者で構成され、内閣総理大臣が任命する。教育、文化、科学、産業その他各分野が公平に代表される」と記され、また、第二十二条で「委員は、旅費その他業務の遂行に伴う実費を受けるほか、その勤務の日数に応じ相当の報酬を受けることができる」と記してある。委員は、いわば公人であり、個人のプライバシー保護の観点に当たらず、政府が把握する立場にあることは当然である。よってNHK経営委員会委員の給与(日額手当て等の場合も含む)を明記されたい。また、委員の選任について各分野別になっているが、教育、文化、科学、産業その他についてどういうバランスで選任しているか、問う。
 (2) NHKの役員の給与の支給基準、役員の平均給与(常勤・非常勤別)及び平均年収(常勤・非常勤別)を明記されたい。
 (3) 役員の退職金支給基準及び過去十年間(年度別)における役員の退職金平均額(年別、常勤・非常勤別)、平均在職年数、支給総額を明記されたい。
 (4) NHKの過去十年間における交際費の額及び支出目的を明記されたい。
 (5) NHKが保有する上場株式の種類、数、及び保有目的を明記されたい。
 (6) NHKのすべての子会社及び関連会社の会社別の役員給与の支給基準、役員の平均給与(常勤・非常勤別)及び平均年収(常勤・非常勤別)を明記されたい。
七 NHKは受信料という公的な資金で運営されていることから会計検査院の検査を受けることを放送法で義務付けられており、会計検査院OBの天下りをはじめ、国家公務員及び地方公務員から過去二十年間におけるNHKとそのすべての子会社及び関連会社への役員就任の数、並びに平均給与額を明記され、併せてNHKの情報公開の在り方に対する政府の見解を問う。

 右質問する。



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