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平成十四年十二月十三日提出
質問第五二号

我が国における条約難民の認定体制に関する質問主意書

提出者  中村哲治




我が国における条約難民の認定体制に関する質問主意書


 難民問題に関する我が国の取り組みの中で、特に見直すべき点は、我が国の難民審査体制である。
 各国は、いずれも難民の地位に関する条約(以下「難民条約」)等に基づき、法の運用を行っているはずなのに、現実の我が国の難民認定者数は、他の先進国と比較して著しく少ない。
 この違いは、我が国の難民審査体制が不十分であることに起因しているのではないか。このような問題意識を背景に、十一月二十日及び二十七日の衆議院法務委員会において、法務省に対し質問を行った。しかし、私としては、十分な答えが得られたものとは考えていない。
 従って、次の事項について質問する。

一 条約法に関するウィーン条約第三十一条によると、難民条約の解釈にあたっては、前文及び附属文を含めた条約文や締結国間でなされた難民条約の関係合意である最終文書の規定に従わなければならないと考えるが如何か。また、難民の人権の広範な保障という難民条約の趣旨、目的に照らして解釈されなければならないと考えるが如何か。
二 難民の地位を認定する作業は裁量行為ではなく、難民であることを有権的に確定する行為であると考えるが如何か。
三 平成十四年八月二十七日に受領した答弁書(内閣衆質一五四第一九五号)において、政府は、「国際連合難民高等弁務官が行う難民の認定」は、「難民条約所定の保護を与えることを目的とする難民条約締約国による難民の認定とは目的及び対象を異にする」との見解を表明された。
 しかし、国際連合難民高等弁務官日本・韓国地域事務所発行の文書「日本におけるUNHCR(注:国連難民高等弁務官事務所)の役割に関する質問」によると、「政府とUNHCR双方が庇護希望者の面接を行なう目的は、真の難民を経済移民やその他の移民から区別することである。その実行に向け、UNHCRと一九五一年難民条約締約国政府の双方は類似した立場に立って、迫害されるという十分に理由のある恐怖を判断するため、原則的に同じ難民の定義を用いる。条約の締結国とUNHCRは最終的に同じ目的−彼らに国際的保護、特に迫害に送り返されないという権利を提供することのために難民と認定する。」とある。
 また、「庇護申請者が法務省に不認定とされた場合でも、UNHCRがその人物は難民の地位に相当すると考える場合のみにおいて、執行委員会結論に従って、UNHCRは彼らに認定の証明書を付与する。」とある。
 これらを踏まえれば、国際連合難民高等弁務官の行う難民の認定と政府が行う難民の認定とは、本来、目的及び対象を同じくすると考えるべきではないか。
四 両者の認定する難民が、本来目的及び対象を同じくするのであれば、両者の審査結果の違いは、審査する際に与えられた情報が異なっているか、或いは審査体制そのものに不備があるか、どちらかに因ると考えるが如何か。
 他方、政府が、両者の難民の認定は目的及び対象を異にするとの見解を訂正しないのであれば、政府の見解は、UNHCRの見解とは違うと主張されていると受け止めざるを得ないが如何か。
五 国際連合難民高等弁務官と政府とどちらの審査結果が正しいのか国民が比較するために、政府が、難民ではないと判断した事例について、その判断理由を開示すべきではないか。開示する際に個人情報の保護が問題となる場合は、対象となる本人の了承を得た事例に限定することにより解決できると考えるが如何か。
六 難民であることを有権的に確定する行為である難民の審査業務と、裁量行為である入国管理業務は、性格が大きく異なる。各業務を適切に実施するためには、難民の審査業務は法務省から切り離し、新たに内閣府に独立した機関を設置したうえで、当該機関が扱う方が良いのではないか。
七 仮に法務省で難民審査業務を継続するのであれば、
 @ 審査結果について中身を伴った理由(「申請期間を過ぎている(六十日ルールの適用)ため」といった定型的な理由を除く)を明示する
 A 判断の前提とした全ての資料を申請者に開示する
 など、審査過程の透明性を高め、審査能力について国民の信頼を高める必要があるのではないか。
八 審査においては、申請者に、第一言語で、利害対立の無い通訳人による通訳を受ける権利を保障すべきではないか。また、申請者の通訳人選定に関する希望をできる限り尊重し、調書を第一言語で記載することやインタビューをテープ録音するなどの方法により通訳の適正を担保すべきと考えるがどうか。

 右質問する。



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