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平成十五年二月二十日提出
質問第二五号

外務省の「食糧増産援助の見直しについて」に関する質問主意書

提出者  原口一博




外務省の「食糧増産援助の見直しについて」に関する質問主意書


 ODA無償資金協力の一環である食糧増産援助(農薬、化学肥料、農業機械の供与)については、「廃止を前提に見直す」とした二〇〇二年七月の外務省改革「変える会」提言を受け、外務省による見直し作業が進められてきた。
 二〇〇二年十二月十二日には、二十八名の国会議員が連名で「ODA食糧増産援助の『廃止を前提にした見直し』に関する要請」を川口外務大臣に提出し、@食糧増産援助の見直しは、廃止する方向で問題点を徹底的に洗い出すことA見直し作業は専門家、市民・NGOなどが参加する「検討委員会」を設け、協議を重ねた上で最終案を作成することB上記を実行するため「十二月末まで」とした見直し期間を延長すること、を要請した。
 しかし、こうした要請にもかかわらず、外務省は四十ヶ国を超える援助対象国のうちわずか六ヶ国の現地調査と省内だけの議論を経て、二〇〇二年十二月二十五日に見直し作業の結果を発表した。この見直し結果は、決定に至る経緯、根拠、及び関連情報の開示が極めて不十分であると同時に、内容においても「廃止を前提に」した抜本的な見直しとは程遠い内容と言わざるを得ない。従って、次の事項について質問する。

一 「農薬については、適正使用及び環境配慮の観点から、原則として、供与しない」とされているにもかかわらず、政府は「適切に使用される体制が整っている」として、アフリカ諸国を中心に供与を行ってきたが、今回一転して農薬の供与中止を判断するに至ったのはどのような理由、事実に基づくものなのか明確にされたい。
二 日本の農薬供与はアフリカのオブソレート農薬(未使用・期限切れ農薬)蓄積の一因ともなってきたが、現在、国際機関を中心に進められているオブソレート農薬の処理において日本はどう責任を果たしていくのか。オブソレート農薬処理の実施時期、実施対象国、実施方法等具体的に説明されたい。
三 「国際機関が責任をもって農薬を供与する場合には、我が国としてもこれに協力することを検討する」とあるが、どの国際機関が、どのような目的をもって供与する場合に協力するのか、その要件について示されたい。
四 「農薬を除く肥料、農業機械等の農業資機材については、ニーズや実施体制につきより詳細な事前調査を行い、モニタリング、評価体制を確認した上で、その供与の是非を慎重に検討する」とあるのは、これまでの調査、モニタリング、評価体制が不十分だったと認識しているものと思われる。
 1 六ヶ国の調査、あるいはその他の対象国の事例から、今までの調査、評価体制が不十分だと判断するに至った理由は何か。
 2 これまでの調査、モニタリング、評価体制はどのようなもので(実施主体、実施頻度、対象国、実施結果の情報公開等)、それを今後はどのように改善するのか示されたい。
五 食糧増産援助においては、事前調査から援助決定後の入札等に関わる実施促進業務、事後評価までを特定の財団法人(財団法人日本国際協力システム)が受託しており、相互のチェック機能が働かなくなっている。何故、一つの援助スキームに関する業務について競争入札等を経ずに特定の財団法人に委託しているのか説明されたい。合わせて、今後の対応について示されたい。
六 食糧増産援助の特徴である「見返り資金」について今回の見直し結果では何ら言及されていない。見返り資金とは、被援助国政府が供与物資を農民等に売却し、売却益(見返り資金)を社会開発事業に活用する制度だが、購買資金を持たない農民は物資を購買できず、購買するために負債(借金)を抱えるなど、結果として本来の援助対象である小農・貧困農民への支援にはなっていない。また、被援助国政府が見返り資金を十分に積み立てていない事例も多く、政府関係者による不正、着服につながっているとの指摘も多い。
 1 このような実態について今回の見直し過程ではどのような調査を行い、「見返り資金」制度についてどう評価したのか。
 2 被援助国すべての見返り資金の積み立て状況及び使途について明らかにされたい。
七 平成十五年度予算案において食糧増産援助の予算が「六〇%削減」とされている。
 1 「六〇%」の積算根拠を示されたい。
 2 削減、あるいはこれを機に同援助が中止される国はどこで、その理由は何か。
 3 継続される国はどこで、その理由は何か。それは一時的な処置なのか。そのための調査は十分であったと判断されているのか。
八 途上国における食糧安定供給のため農業分野での国際協力は不可欠であり、資機材供与に偏重した食糧増産援助を抜本的に見直し、今後は現地農民の自立を支援するための技術教育、人材育成を重視した援助のあり方へと転換すべきである。しかしながら、今回の見直しでは農業協力の新しい方向性は明示されないまま、食糧増産援助の予算減額のみが決定された。
 1 政府は、食糧増産援助に限らず農業分野での途上国支援について、どのように認識しているのか。
 2 過去十年間において、農業・農村開発分野に、いかなる援助(内容・対象国・金額規模)を行ってきたのか。その中で、食糧増産援助はどのように位置づけられたのか。
 3 今回の見直しを受けて、どのような転換を検討しているのか、その見解と予算配分を明らかにされたい。
九 今回の決定に至った経緯、その根拠、及び関連情報の開示は極めて不十分である。
 1 六ヶ国の現地調査を含め、今回の見直しについての報告書はいつ、どのような形で公開されるのか明らかにされたい。
 2 今後も「適宜見直しを行う」とされているが、いつ、どのような形で行うのか。
 3 「見直し」の透明性を確保し、情報開示を図るためには市民・NGOの参加による公開の協議の場を設置することが不可欠であると考えるが、これについての見解を示されたい。

 右質問する。



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