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平成十五年三月二十日提出
質問第三七号

イラクへの武力行使の正当性等に関する質問主意書

提出者  江田憲司




イラクへの武力行使の正当性等に関する質問主意書


 米国等によるイラクへの武力行使、ならびに我が国政府の支持表明に断固反対する立場から、次の事項について質問する。

一 国連決議一四四一は、川口外務大臣の予算委での答弁にもあるように、それ自体は武力行使を容認していないと解するが、改めて確認を求める。
二 湾岸戦争当時の国連決議六八七、六七八を、前提条件や事情が異なる今回のケースに適用することはできないと考えるが、政府の見解如何。
三 二の答えで、国連決議六七八を今回のケースにも適用できるとする場合は、当時のベーカー米国務長官が、その回顧録(The Politics of Diplomacy)で、「バクダッドまで進軍してサダムフセイン政権を倒すべきではなかったか」という議論は「当時も今もナンセンス」とした上で、「国連決議が多国籍軍に認めていたのはクウェートの解放だけだから、それを尊重すべき」としていることについて、どう整合性をとるのか。
四 アナン国連事務総長の、武力行使の正当性に疑問を投げかける発言(「安保理の支持なしに武力が行使されれば、その正当性に疑問」という発言;三月十七日)、武力行使開始に対する「強い遺憾の意」の表明(三月二十日)を、どう受け止めているか。国連憲章違反、国際法違反を指摘したものではないのか。
五 四の答えで、あくまでも国連憲章に違反しないと強弁するなら、一般論として、国連決議の公定解釈権は誰(どこ)にあると考えているのか。加盟国が勝手に解釈すればいいのか。米国や日本にあるのか。
六 小泉首相の国会報告(三月二十日)では、「米国が国際社会の大義に従って大きな犠牲を払おうとしている時」というくだりがあるが、「国際社会の大義」と誰が規定したのか。それはあくまでも国連安保理で決定するものではないのか。
七 前回の私の質問主意書での政府答弁(内閣衆質一五六第二六号)では、「武力行使は最後の手段」とされているが、ブリクス委員長が指摘したように、国連監視検証査察委員会による査察が不十分ながら有効に機能しているにもかかわらず、「戦闘なしに大量破壊兵器が廃棄されることが・・・不可能な状況」(小泉首相の国会報告)と断じた理由は何か。
八 国連安保理の討議を打ち切り、また安保理理事国のうち四カ国しか明確な賛成が得られない中での武力行使への支持表明は、我が国外交の基軸である「国連中心主義」を放棄するものではないのか。今回の米国支持表明は、国連より日米同盟を優先した結果と理解してよいか。
九 武力行使は、「自衛戦争」か「国連で認められた場合」に限るという原則が崩れた、あるいは、少なくともそう認識している国家が多い中で、今後、自分勝手な大義を掲げて、民族や宗教等に起因する地域紛争やテロ行為が多発する危険性をどのように認識しているか。
十 前記質問主意書に対する政府答弁で、我が国へのテロ等の脅威について、「現時点で予断することは差し控えたい」とされているが、イラク攻撃が現実のものとなった今、政府の見解を改めて問う。我が国の安全に対する脅威が高まったという認識はないのか。また、それに対する具体的な対応策如何。
十一 前出ベーカー氏は、その回顧録で、「最優先で配慮したのは、イラクのレバノン化を避けたいということだった。もしイラクがレバノンのようになってしまったら、地政学的な悪夢になる」と述べている。フセイン政権に対抗する組織的な野党もない状況で、終戦後、このような内戦状態激化への懸念をどう払拭していくのか。
十二 湾岸戦争時と異なり、アラブ諸国の大勢が反対する中での武力行使で、これまで中東和平のプロセスに実質的に主導権をとってきた米国の中立性がさらに疑われる事態となったが、その後遺症をどうみるか。今後、意義ある中東和平実現の役割を誰がどう担っていくべきと考えるか。
十三 小泉首相の国会報告では「戦闘が一刻も早く・・・終結することを心から望んでいます」とされたが、戦争終結に向けた国連安保理決議の提案等、我が国として具体的にどのような外交努力をしていくのか。

 右質問する。



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