衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十五年四月二十四日提出
質問第六三号

「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」に関する質問主意書

提出者  首藤信彦




「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」に関する質問主意書


 我が国においては、現在犯罪検挙率が二割を切るなど、多様化する犯罪への対応の脆弱さが懸念される状態にある。一方、マフィアや蛇頭等と称される組織による外国人絡みの越境的、多国間的な組織犯罪が多発しており、我が国の現状に即した法整備を進める必要性が増している。
 一方、日本政府による国際法の解釈に関しては、現状に即しない誤訳、または本来の法の意味が曲解された翻訳が数多く見受けられる。例えば、表題の「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」に関しても、原文はUNITED NATIONS CONVENTION AGAINST TRANSNATIONAL ORGANIZED CRIMEであり、TRANSNATIONALを国際的と訳すことで、原文の意味する「越境的な組織犯罪」とは異なる意味になっている。
 このような認識に基づき、以下質問する。

 外務省の訳文における「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」の第五条1−(a)−(i)は左記のような内容になっている。
 第五条 「組織的な犯罪集団への参加の犯罪化」
 1 締結国は、故意に行われた次の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
 (a) 次の一方又は双方の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)
 (i) 金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって、国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
 なお、(i)の条約原文(英語)は左記の通りである。
 Agreeing with one or more other persons to commit a serious crime for a purpose relating directly or indirectly to the obtaining of a financial or other material benefit and, where required by domestic law,involving an act undertaken by one of the participants in furtherance of the agreement or involving an organized criminal group.

一 外務省の訳文ではfinancial or other material benefitが「金銭的、その他の物質的な利益」と訳されているが、これは誤訳であり、正しくは「金銭的、その他の重要な利益」と訳されるべきである。現状はハッカーによる情報等無形財産を狙った犯罪も多発しており、それが、心理的、精神的な恐怖をもたらすことを目的としているケースも多いからである。materialは「重要な」の意味で一般的に使用されており、物質的と訳すのは現状を考えても全く正当性を欠いている。「物質的」と翻訳した根拠を示されたい。同時に、国際法上、外務省の訳文を正しいと証明する客観的な根拠(事例)を挙げられたい。また、このような訳が決定・承認された経緯を具体的に示されたい。
二 このような誤った翻訳の多発を防ぐためには、第三者としての専門家も交えて精査・論議するべきではないか。この点についての政府の考えを述べられたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.