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平成十五年七月十七日提出
質問第一三一号

第一交通産業のタクシー事業拡大のための不当な労働組合つぶしに関する質問主意書

提出者  小沢和秋




第一交通産業のタクシー事業拡大のための不当な労働組合つぶしに関する質問主意書


 北九州市を本拠地にタクシー・バス事業を開始した第一交通産業グループは、ここ数年間にわたり中小事業者の買い取り・合併を労働組合つぶしと表裏一体に押し進め、今日、九州から北海道に至るまでの全国にグループ企業網を作りあげ、タクシーの営業台数だけでも五千台以上、従業員八千人を超えるタクシー・バス分野における日本最大の事業者となった。
 この間、買収企業の労働組合員に対して、組合から離脱し、第一交通産業側が作った「交友会」に加入しないと就職させないとか、既存の労働組合事務所への立ち入りを妨害する、暴力的恫喝を行うなど、目に余る不当労働行為・不法行為を事業拡大の都度、繰り返してきた。例えば、本年四月十五日付で組合員五十五人を全員解雇した結果、従来に加えて新たな争議が発生している大阪府の佐野第一交通では、会社買収以来、地労委・裁判所において多数の係争事件が発生し、その多くが組合側の実質的勝利を見ている。
 第一交通産業グループの労働組合つぶしは、労働者の無権利状態を作りだして過度なノルマの導入と賃金低下をもたらし、タクシーの安全運行を大きく脅かしている。昨年来、同グループ企業による道路運送法違反が全国で七件も摘発されている。
 以上のように労組つぶしに対する司法の場での断罪、関係法令違反の摘発を繰り返し受けても、第一交通産業グループはこれを全く意に介さず、労働組合員に対する差別を継続しながら事業拡大に邁進している。このような事業者が国民の重要な公共輸送機関であるバス・タクシー事業のトップ企業として君臨し、事業拡大を続けることは労働者の権利と国民が安全に交通機関を利用する権利を脅かすものであり、看過できるものではない。
 そこで、次の事項について聞く。

(一) 参議院議員富樫練三君外六名提出の「改正道路運送法施行後のタクシー行政の改善に関する質問主意書」に対する本年七月四日付の小泉純一郎首相の答弁書では、悪質な第一交通産業グループの法令違反について「輸送の安全、最低限の労働条件等を確保する観点から、国土交通省及び厚生労働省が緊密な連携を図り、タクシー事業者に対する監査等を行い、道路運送法、労働関係法令等に違反する事実が認められた場合には、タクシー事業者に対し、必要な指導を行うとともに、厳正な行政処分を行っている」と述べているが、監査等を行った実績を示していただきたい。また、その結果認められた「違反する事実」には、どのようなものがあるか、「必要な指導」「厳正な行政処分」とは、具体的にどのようなことを行ったのか、国土交通省及び厚生労働省のそれぞれについて示されたい。
(二) 第一交通産業及び佐野第一交通と佐野南海交通労組との間の係争事件は、何件発生したか。その後、どのような結果となっているか。
(三) 佐野南海交通労組は、佐野第一交通が労働組合つぶしを狙った偽装廃業を行おうとしていると指摘し、組合員以外の労働者と営業圏の受け皿として神戸市のグループ企業、御影第一の営業所新設による事業区域拡張の申請をしようとしているので、近畿運輸局がこれを認可しないよう昨年から要求してきた。これに対して近畿運輸局は、同労組との交渉の席上で「佐野第一交通からは廃業しないと説明を受けている」と述べ、昨年十二月に御影第一の事業区域拡張を認可した。ところが、この間、同労組の指摘通りに四月に入って佐野第一交通は廃業し、同社で労働組合から離脱して「交友会」に入会した労働者のみ御影第一に採用し、労組員は全員解雇した。自交総連はこの経過について、「組合つぶしの目的が明白なのに、あえてそれに目をつぶって監査もせずに形式的な書類が整っているからと区域拡張を認可したことは行政が組合つぶしに手を貸したもの」と、近畿運輸局の措置を厳しく批判している。実際、そう言われても仕方がない結果になっているのでないか。
(四) 佐野第一交通と佐野南海交通労組をめぐる係争、同社の廃業と御影第一の事業区域拡大等の経過を見るなら、先の道路運送法等改正に伴う「事業廃止手続き」の「認可制」から「事後届出制」への規制緩和を第一交通産業が悪用したものと言わざるを得ないのではないか。このような悪用を防止するために、政府は今後、どのような措置をとるのか。
(五) 第一交通産業グループの組合つぶしの実態については、昨年五月八日の衆議院国土交通委員会においても指摘され、政府は「重点的な監査を実施」すると答弁した。しかし、同グループにおいては引き続き悪質行為が後をたたず、佐野南海交通労組の組合員全員解雇のような事態に立ち至っている。今後、政府は法令違反、不当労働行為を絶え間なく繰り返す第一交通産業グループに対して、交通事業の安全性、信頼性確保と労働者の権利の保護のためにどのような措置をとっていく決意か。

 右質問する。



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