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平成十六年一月二十八日提出
質問第八号

イラクへの自衛隊派遣に関する質問主意書

提出者  中川正春




イラクへの自衛隊派遣に関する質問主意書


 戦後の日本が堅持してきた外交方針の重大な転換に際し、国論は二分している。このような時にこそ、政府は国民及び国際社会に向けて、十分な説明責任を果たすべきである。しかし、既成事実だけが積み重ねられる一方、イラクへの自衛隊派遣に関する政府の説明は、現在に至っても不明確なままである。
 そこで、国会として、政府に対する監視機能を果たし、国民の知る権利に答えるために、以下の事項について質問する。

一 テロリストおよびテロ攻撃の定義を明らかにされたい。
二 国際法は、テロ攻撃を武力紛争の一類型に入れているのか、いないのか。また、わが国の解釈を明らかにされたい。
三 イラクに残る親フセイン政権の残党は、「国家または国家に準ずる組織・者」であるか、ないのか。また、その根拠は何か。また、いわゆる親フセイン政権の残党による襲撃・攻撃が、「組織的・計画的」であるとの発言が、イラクの米・英軍の幹部などから聞かれるが、これらの活動は、国際法上の武力紛争の一類型に入るか、入らないか。また、その根拠は何か。
四 米軍で使用される用語「コンバットゾーン」と、イラク特措法に規定されている「戦闘地域」とは、どう違うのか。それぞれの用語と、国際法上の用語「戦闘地域」との関係はどうなのか。
五 国際法は「国際的」と「非国際的」のいずれも武力紛争の一類型としている。例えば、PKO協力法も「武力紛争の当事者」について国際的と非国際的の区分をしていない。イラク特措法で戦闘行為を「国際的な武力紛争」と限定的な定義を行っている法的根拠は何か。
六 例えば、九・一一テロに起因する米国のアフガニスタン攻撃は、自衛権の行使を理由に行われたが、この場合のテロ攻撃は、「国際的な武力紛争」には当たるのか。その根拠は何か。また、当たる場合、九・一一テロが「国際的な武力紛争」で、イラクでのテロ攻撃が「国際的な武力紛争」でない根拠は何か。
七 イラクでのテロ攻撃が戦闘行為の定義に当たらないとすると、イラクで未だ継続している戦闘行為の主体は、テロリストでなければ何なのか。
八 石破長官は、「もしもしあなたは国または国に準ずる者ですかと聞いて、そうでございますなどということは絶対ないわけで、それはわからない」と答弁し(平成十五年十二月十五日)、テロ攻撃の主体が識別できないことを認めているが、主体が識別できないのであれば、いかなる根拠に基づいて戦闘行為か否かを判断し得るのか。
九 米英軍機等への攻撃が繰り返され、相当の被害が発生しているにもかかわらず、バグダッド飛行場が非戦闘地域であり、かつ「活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」(特措法二条三項)と判断した根拠は何か。
十 自衛隊の撤退要件・基準は何か。
十一 連合暫定当局(CPA)は、占領行政の主体であるか。また、イラクに現在展開する米軍、英軍は、占領軍であるか。また、占領軍である場合、これらに対する直接或いは間接的な自衛隊による支援はわが国憲法の範囲内か。
十二 テロ攻撃が戦闘行為ではなく、その主体も識別できないとすると、自衛隊の撤退要件の判断基準はなく、事実上、撤退というケースは想定し得ないのではないか。
十三 イラクへの自衛隊派遣要請は、何に基づいたものであるか。国連安保理決議か、或いは、CPAによるものか。国連安保理決議である場合、どの決議に基づくものか。
十四 決議一五一一は、「統合された司令部の下の多国籍軍に対し」「あらゆる必要な措置をとる権限を与え」、加盟国に対し「軍隊を含む支援を国連のこの権限の下に提供するよう要請」している。しかし、現在イラクの治安維持に当たっている米英軍中心の有志連合が、前記「統合された司令部の下の多国籍軍」に該当するとはいえず、決議一五一一の要請は、未だその前提条件を満たしていないと言えるか、或いは満たしているのか。満たしている場合、多国籍軍が編成されていると認定できる根拠は何か。
十五 また、仮に多国籍軍が編成されたとしても、「あらゆる必要な措置をとる権限」の下に自衛隊を「提供」することは、憲法上の疑義が生じる。したがって、決議一五一一を自衛隊の派遣要請の根拠とすることは妥当ではないのではないか。
十六 イラク特措法および基本計画は、人道復興支援活動および安全確保支援活動の根拠として国連安保理決議一四八三号と一五一一号を挙げているが、日米同盟・日米安保条約には一言も触れていない。総理は、イラクへの自衛隊派遣の意義として日米同盟を繰り返し強調しているが、日米安保条約の目的は「極東における国際の平和及び安全の維持」である。日米同盟の法的根拠たる日米安保条約の地理的範囲は、中東地域にまで拡大したのか。

 右質問する。



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