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平成十六年四月二十二日提出
質問第八二号

都市鉄道の経営等に関する質問主意書

提出者  若井康彦




都市鉄道の経営等に関する質問主意書


 地方公共団体等が出資している「都市鉄道」は、利用者の伸び悩みや、巨額な初期投資の返済に加え、地方公共団体そのものの財政難もあり、多くが厳しい経営状況におかれている。特に都市圏中心部と新たに建設されたニュータウンを結ぶ「ニュータウン鉄道」は、関連するほとんどのニュータウンがその計画人口を大幅に下回り、「利用客の伸び悩み」→「累積欠損の拡大」→「高い運賃」→「ニュータウン人口増加の抑制」→「利用客の伸び悩み」という「負の連鎖」に陥っている。地域の重要な公共輸送手段である「都市鉄道」に対しては、持続可能な輸送サービスの確保が求められている。しかし、そのための鉄道事業体の健全性確保が、「高い運賃」という利用者への一方的な負担のみで担保される事は社会的な不公平と考える。国土交通省が本年三月に公表した「政策レビュー都市鉄道整備のあり方」では公的支援の役割の重要性を指摘している。また、総務省も第三セクター都市鉄道への健全化支援対策を創設した。
そこで、以下のとおり質問する。

一 総務省の「地方公営企業に準ずる第三セクター地下鉄等事業の経営健全化支援対策」は支援対象を「地方公共団体の出資比率が五十パーセント以上」のニュータウン鉄道等としているが、「地方公共団体の出資比率が五十パーセント未満」の鉄道事業体への支援についての政府の方針と取り組みを示されたい。
二 都市鉄道のなかでも北総開発鉄道の運賃については、政府も国会答弁で「日本でも有数に高い」と認めている。また、平成十二年には「北総・公団鉄道運賃値下げを実現する会」が地元の千葉ニュータウン人口の八割にあたる六万四千名余りの署名を集めて「運賃値下げ」を求めている。さらに平成十二年四月二十日の衆議院決算行政監視委員会第四分科会では、「北総開発鉄道の運賃が高すぎる」との質問に対し、当時の二階運輸大臣が「適切な支援策を考えて参りたい」と答弁している。政府としてその後、具体的にどのような支援策を講じたか示されたい。
三 同分科会では、当時の運輸省側が、同鉄道の経営を圧迫している高い償還金利についても、繰上げ償還等支援策の検討を約束しているが、その後どのような取り組みをされたか示されたい。
四 また、北総・公団線については、成田空港までの延長が進んでいる。運輸政策審議会は答申の中で「空港アクセス線の償還期間を現行の三十年から四十年程度に延長することが適当」などとしているが、同線に対し、どのように適用し、それにより運賃を引き下げることができないのか、示されたい。
五 同審議会答申では、第三セクター方式による地方公共団体の出資比率を五十パーセント以上に引き上げる事などを提言している。この提言に対し、政府としてどのような取り組みをされているのか。また、同線については全区間が開通しても五十一・四キロメートル余りのところを、「北総開発鉄道線」「都市基盤整備公団線」「成田高速鉄道アクセス線」「成田空港高速鉄道線」の四事業区間に分かれているが、そもそもこのような都市鉄道の経営・運営形態はどうあるべきと考えるか示されたい。
六 千葉ニュータウンの計画人口は当初三十四万人だったが、昭和六十一年には十九万人へ事業規模を縮小している。それなのにバブル崩壊後の平成三年にはU期区間分を千百四十一億円で北総開発鉄道株式会社に譲渡し、巨額の負債構造を背負うシステムがつくられてしまった。これが「日本でも有数に高い」といわれる運賃の大きな要因となっていると考えるが、当時の資金計画を含めて事業認可した政府の責任についての見解を伺いたい。また、巨額の譲渡価格で引き受けた北総開発鉄道株式会社に対し、引き受けるために何らかの条件を付けたのか明らかにされたい。
七 第三セクター方式などによる全国各地の都市型鉄道は、前述の通り、利用者数の見通しの甘さと、無節操な巨額投資が経営を大きく圧迫し、そのつけが「高運賃」として利用者に押し付けられ、また自治体財政のひっ迫に拍車をかけていると考えるが、政府の見解と責任の有無を伺いたい。
八 北総開発鉄道株式会社の経営再建に関し、平成六年六月二十八日付けで、千葉県、住宅・都市整備公団、京成電鉄株式会社、北総開発鉄道株式会社の間で交わされた覚書がある。この覚書の作成について、政府はどのように関与したのか伺いたい。また、同覚書では北総開発鉄道株式会社の運賃改定にも言及しているが、その内容を明らかにするとともに、そのような約束が運賃改定を認可制としている「鉄道事業法一六条」に抵触しないのか、見解を示されたい。さらには、同覚書以降、北総開発鉄道については二回の運賃値上げが実施されているが、国がこれを認可した理由についても各々示されたい。
九 成田新高速鉄道では、京成電鉄が北総開発鉄道の軌道を利用して、スカイライナーや特急を走らせることになっている。北総・公団線の利用者は、これによる利用者増により、同線区間部分の運賃が引き下げられるのではないかと期待を寄せている。しかし、平成十三年三月の財団法人運輸政策研究機構の「成田新高速鉄道事業化推進に関する調査」報告書によると、北総開発鉄道に支払われる使用料は、同区間での乗降客数に比例按分された分のみとなっており、同鉄道の経営改善および運賃引き下げに結びつかないのではないか、危惧している。政府の方針を示されたい。
十 都市公団が所有している「公団線」部分は、京成電鉄の子会社である「千葉ニュータウン鉄道株式会社」に格安で譲渡されるが、それにより、北総開発鉄道株式会社がこれまで都市公団に支払っていた施設使用料は安くすることができないのか。その支払い減額分を原資などとして、利用者から特に要望の強い「通学定期割引率の引き上げ」を政府として関係者に指導すべきと考えるが、見解を示されたい。

 右質問する。



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