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平成十六年五月七日提出
質問第九〇号

青森県六ヶ所再処理工場の劣化ウラン試験運転に関する質問主意書

提出者  稲見哲男




青森県六ヶ所再処理工場の劣化ウラン試験運転に関する質問主意書


 日本原燃株式会社(以下、日本原燃)は、同社が青森県六ヶ所村に建設した六ヶ所再処理工場において、劣化ウラン約五十七トン・ウラン(模擬燃料集合体約二十七トン・ウラン、ウラン粉末約二十六トン・ウラン等)を用いた試験運転を計画している。米国原子力規制委員会(NRC)の資料によると二〇〇二年十月十七日、米国のTransport Logistic International(TLI)はNRCに対し、米国濃縮ウラン会社から三菱原子燃料株式会社(以下、三菱原子燃料)へ六ヶ所再処理工場ウラン試験用に劣化ウラン(劣化六フッ化ウラン)二五・九八三トン・ウランを調達し輸出する許可を申請し、二〇〇三年二月二十日、NRCは同許可を交付した。
 日本国内では日本核燃料サイクル開発機構(JNC)人形峠環境技術センター(旧動燃人形峠事業所)のウラン濃縮パイロットプラント及び工学プラントと日本原燃ウラン濃縮工場(以下、「六ヶ所濃縮工場」という。)等において、二〇〇一年二月までに一万トン余りの劣化ウランが発生し、貯蔵されている。
 これらの状況を踏まえ、次の各項目について政府の所見等を明らかにされたい。
 まず、日本国内に貯蔵されている劣化ウランについて質問する。

一 人形峠環境技術センターと六ヶ所濃縮工場及び他の施設について、現在の貯蔵量を施設ごとに明らかにされたい。
 以下、米国製劣化ウランについて質問する。
二 劣化ウランの国内貯蔵分は優に五十七トンを上回る。とくに日本原燃の六ヶ所濃縮工場には大量の劣化ウランが六フッ化ウランの形で貯蔵されており、他の例に照らし合わせるとその所有権は同社に移譲されているものと思われる。試験用劣化ウランのもっとも合理的な調達先は同社の濃縮工場と考えられるが、米国から輸入した理由について明らかにされたい。
三 六フッ化ウランより粉末ウラン(U308)のほうが安定した形態なので、輸送上、取り扱いが容易なのではないだろうか。また三菱原子燃料は再転換能力に限りがあると聞いている。米国で粉末に加工したものではなく六フッ化ウランの形で輸入し三菱原子燃料で再転換及び加工することにした理由は何か。三菱原子燃料では米国製劣化六フッ化ウランをどのような化学形態に加工するのか。
四 劣化ウランは濃縮工程で発生し、その所有権はウラン濃縮を委託した者にある。米国から輸入された劣化ウランの本来の所有者は特定できないと聞いているが、それに間違いないか。三菱原子燃料が調達した劣化ウランは、本来の所有者が米国濃縮ウラン会社にその所有権を無償で移譲したものか。
五 米国濃縮ウラン会社はその前身である米国エネルギー省から劣化ウランを譲り受けたと聞いている。米国エネルギー省は軍事用濃縮もおこなっていた。日本政府は三菱原子燃料が調達した劣化ウランが軍事目的の濃縮工程で発生したものではないとの確証を得ているのか。また軍事目的の濃縮工程で発生した劣化ウランの場合でも、日本政府は輸入を許可するのか。
六 米国NRCの資料によると、日本国内に劣化ウランの在庫があるにもかかわらず米国から輸入するのは「事業者が必要とする純度の劣化ウランが既に米国にあり供給可能であるため」とある。「事業者が必要とする純度」とは、具体的には何を意味するのか。
七 三菱原子燃料は米国濃縮ウラン会社から劣化ウランを購入したのか。価格はいくらか。
八 米国から専用積載で運搬されてきた劣化ウランの輸送にかかわる全費用(船舶代を含む)は三菱原子燃料が支払ったのか、あるいは日本原燃が支払ったのか。その費用額はいくらか。
九 輸送費を含む劣化ウランの調達費用は、最終的に六ヶ所再処理工場建設費に含まれるのか。そうでない場合、どのように会計処理されるのか。
十 米国製劣化ウランの輸入、海上輸送、及び国内陸上輸送に必要な手続きのそれぞれについて、申請日と許可日を明らかにされたい。
十一 米国製劣化ウランは現在、どこにどのような形で保管されているのか。二〇〇四年四月三十日現在で、再転換され粉末に加工された量はどのくらいか。未加工分はどのくらいか。全量分の加工終了予定はいつか。
十二 米国製劣化ウランはウラン試験のどの部分に使用されるのか。模擬燃料集合体に加工されることはないのか。
 以下、人形峠環境技術センターに貯蔵されていた劣化ウランについて質問する。
十三 三菱原子燃料は日本原燃から委託され、同センターに貯蔵されていた劣化ウランを六ヶ所再処理工場の試験用に調達したと聞いている。これにともない同センターの事業変更が必要か。その場合、補正を含む変更申請はいつ出され、いつ許可が交付されたのか。必要がない場合、なぜ必要ないのか。
十四 なぜ同センターの貯蔵分で六ヶ所再処理工場の試験用劣化ウラン全量を供給することができなかったのか。
十五 この劣化ウランの本来の所有者を特定されたい。この劣化ウランが日本の電力会社等から同センターへ所有権が移譲されたものである場合、有償か、無償か。三菱原子燃料は同センターから同劣化ウランを購入したのか。その価格はいくらか。
十六 同センターにおける劣化ウランの詰め替え作業はいつから開始され、いつ終了したのか。詰め替え費用はどこが支払うのか。
十七 同センターが六ヶ所再処理工場に供給するウラン試験用劣化六フッ化ウランはどこで再転換されるのか。再転換先への輸送に必要な諸手続き(設計承認、容器承認、車両運搬確認)の申請と許可はいつ出されているか。
十八 再転換先から燃料成型加工先への輸送に必要な諸手続き(設計承認、容器承認、車両運搬確認)の申請と許可はいつ出されているか。
十九 これら輸送にかかる費用は、それぞれ(人形峠環境技術センターから再転換工場、再転換工場から燃料成型加工工場)どこが支払い、どのように会計処理されるのか。
二十 同センターから供給された劣化ウランは、現在、どこにどういう形で保管されているのか。
二十一 燃料加工三社(三菱原子燃料、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン、原子燃料工業)と成型加工契約を結んだのは日本原燃でまちがいないか。各社の模擬燃料集合体成型加工の内訳(どのタイプの燃料を、何体か)を明らかにされたい。
二十二 各社の成型加工はどの段階まで進んでいるのか。模擬燃料集合体が既に成型加工済みの場合、どこに保管されているのか。
二十三 前記三社から六ヶ所再処理工場へ模擬燃料集合体を輸送するにあたって必要な諸手続き(設計承認、容器承認、車両運搬確認)の申請及び許可は出されているのか。出されている場合、いつか。
二十四 前記三社から六ヶ所再処理工場への模擬燃料集合体の輸送費用は、どこが支払い、どのように会計処理されるのか。
二十五 輸送費を含む国内製劣化ウランの調達費用は六ヶ所再処理工場建設費に含まれるのか。そうでない場合、どのように会計処理されるのか。
 以下、アクティブ試験について質問する。
二十六 アクティブ試験に使用される使用済み燃料について、その仕様(どの原子炉で使用された燃料か、集合体数、燃焼度、冷却年数)を、試験の段階に沿って明らかにされたい。それらは現在、どこで冷却されているのか。
 以下、IAEA(国際原子力機関)保障措置協定、日米原子力協定、日仏原子力協定、日英原子力協定、日加原子力協定、日豪原子力協定について質問する。
二十七 六ヶ所再処理工場は、既にIAEAの保障措置下にあるのか。同機関と施設付属書に関する合意が成立しているのか。合意されている場合、いつ合意されたのか。その合意内容を明らかにされたい。
二十八 六ヶ所再処理工場におけるウラン試験とアクティブ試験については、日本が二国間原子力協定を結んでいる米国、フランス、英国、オーストラリア、カナダの同意は必要ないのか。必要な場合、いつ同意がなされたのか。
二十九 日米原子力協定では、六ヶ所再処理工場は付属書四に属する。付属書四に属する施設で、米国から供給された核物質を使用し再処理(ウランおよびアクティブ)試験をおこなうことは可能か。協定では米国が供給した核物質が付属書四に属する施設に置かれる、あるいは同施設で使用されるにあたっては、両国政府間での協議と取極めが必要としている。既に協議と取極めがなされている場合、協議内容、日本政府が満足のいく保障措置を実施することの確証、およびその確証に対する米国政府の承認、最終的な取極めと両国政府の合意のそれぞれについて、根拠となる文書の日付、概要等を明らかにされたい。

 右質問する。



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