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平成十六年七月三十日提出
質問第八号

独占禁止法第二十一条の解釈に関する質問主意書

 提出者
 川内博史    高井美穂




独占禁止法第二十一条の解釈に関する質問主意書


 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年四月十四日法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第二十一条においては「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」と定められているところであるが、昨今の「知的財産ブーム」的な風潮の中で本条の規定を、独占禁止法を遵守する義務そのものの免除規定であるかのように解する傾向が主にコンテンツ産業と称される業種の事業者や団体、関係省庁等においてみられ、第百五十九回通常国会においては小泉純一郎総理大臣の施政方針演説においても公約されていたはずの独占禁止法改正案提出が見送られるなど、政府は知的財産権強化の姿勢に傾倒する余り独占禁止法を軽視しているのではないかと危惧する声が一般消費者や学識経験者等の間で広がっているところである。
 よって、以下質問する。

一 公正取引委員会による過去の審決事例において、独占禁止法第二十一条(平成十二年改正以前は第二十三条。以下同じ。)の適用の可否について判断した事例を明らかにした上で、審決当時に法に違反するもしくはしないと判断された行為が平成十六年七月現在の判断基準において変化するか否かについて、政府の見解を明らかにされたい。
二 独占禁止法第二十一条に列挙されている諸法のうち、特許法に関しては独占禁止法第百条において裁判所による違反行為に供せられた特許権の特許又は特許発明の専用実施権若しくは通常実施権は取り消されるべき旨の宣告手続きが定められているが、登録を権利発生の要件とする方式主義である実用新案法、意匠法及び商標法、同様に方式主義であるが条文には列挙されていない種苗法及び半導体集積回路の回路配置に関する法律における諸権利に対しても独占禁止法第百条の手続きは準用されるのか。
三 平成十六年三月十日の定例記者会見における上杉秋則事務総長の発言に象徴されるように、公正取引委員会は昨今、著作権法の分野において特に独占禁止法の執行ないし一定の取引分野において競争を実質的に制限もしくは公正競争を阻害し、消費者利益を損なうおそれのある規定の創設に対して著しく萎縮的な姿勢に陥っているのではないか。公正取引委員会が昨今、このように著作権法との関わりにおいて著しく萎縮的な姿勢を見せていることは、過去に「知的財産制度の趣旨に反する」として独占禁止法第二十一条による適用除外の主張を退けた事例と同様の行為が繰り返された際に独占禁止法の執行をためらうのではないかと、或いは一定の取引分野において競争を実質的に制限もしくは公正競争を阻害し、消費者利益を損なうおそれのある規定の創設が関係省庁等から新たに要求された場合、公正取引委員会が過去の審決事例において示した判断を返上するのではないかと言う懸念を一般消費者や学識経験者等の間に生じさせている。このことに対して、公正取引委員会はどのように考えているのか。また、そうした萎縮的姿勢に陥ることを防ぐため公正取引委員会が実施ないし実施を予定している具体的な方策があればお示し願いたい。
四 昨今の「知的財産ブーム」的な風潮も手伝って独占禁止法第二十一条の規定が事業者や団体、関係省庁等で独占禁止法を軽視する傾向が顕著に認められる場合は、アメリカ合衆国の反トラスト諸法やヨーロッパ連合の競争法においてはわが国独占禁止法第二十一条に相当する適用除外規定がみられず、知的財産権の行使が主張されている行為に対しても競争当局により積極的に法が執行されていることにも鑑み、第二十一条の廃止を含めた見直しを行うべきではないのか。

 右質問する。



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