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平成十六年十一月十七日提出
質問第四〇号

遺伝子組み換え大豆(GM大豆)の生産に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




遺伝子組み換え大豆(GM大豆)の生産に関する質問主意書


 北海道夕張郡長沼町の西南農場による、来春の遺伝子組み換え(GM)大豆(以下、GM大豆という)の栽培計画に対しては、地元長沼農協や道当局をはじめ、生協・市民グループ、有機生産者などが生産中止を強く求めていたが、先月末、同農場宮井能雅代表が計画中止を表明したことで、一応の収束を見た。しかしながら、現状は問題が先送りされたのみであり、早急に対策を講じなければならない問題であると考える。
 また、同農場はGM大豆の栽培計画とともに、すでにGM大豆を栽培・出荷をしていた事実も明らかにした。栽培されたGM大豆は、集荷の際、同農場もGMであることを特に説明せず、また農産物検査法に基づく検査でもGMか非GMかは検査項目に無いため、国が支給する交付金の適用も受け流通販売されたという。食品の安全性を重視し、国産大豆にGM大豆は含まれていないと考え、国産大豆の買い支え運動をはじめ、たとえ割高でも国産大豆を選択してきた消費者は、たとえ極少量といえども、すでにGM大豆が国産大豆に混入・流通していたことに多大なショックを受けている。ついては以下の通り質問する。

1 現在登録のあるグリホサート系除草剤は、大豆への適用は可能だが、芽が出てから撒くと当然のことながら大豆も枯れるので、その使用時期は、播種前一〇日以前とか播種後出芽前として、登録されている。米化学企業「モンサント」の開発した「ラウンドアップレディ大豆」は、同社開発のグリホサート系除草剤「ラウンドアップ」でも枯れない遺伝子組み換え大豆である。この大豆を栽培する場合、大豆の発芽後、雑草が生えそろった時点で、「ラウンドアップ」を散布することとなる。このような登録申請されていない内容での農薬使用は、農薬取締法(二〇〇三年三月改正)による農薬使用基準違反であり、使用者には懲役三年以下又は罰金三〇万円以下の罰則が科せられるものと考えるが、政府のご認識は如何。
2 除草剤耐性GM大豆の生産に必要となる農薬使用基準の登録内容の変更について、「ラウンドアップ」耐性GM大豆を一般圃場で栽培した場合の環境影響に関するモニタリング試験を行っている研究機関はあるか、否か。
3 今回の事例でも明らかな通り、消費者のGM大豆への不信・不安、「口にしたくない」という思いは強いにもかかわらず、農産物検査法に基づく検査にもGMか非GMかは検査項目に無い等、GM大豆が栽培・出荷・流通されても生産者の自発的な自己申告以外にそれを知る術は無い。政府は、西南農場によるGM大豆の商業栽培と収穫したGM大豆が流通・販売されていた事実を、同農場による発表以前に承知していたか。また政府は、当該GM大豆が、集荷後、どのような流通経路をたどり、どのように販売・消費されたか確認しているか。
4 消費者は、食品の安全性を重視し、国産大豆にはGM大豆は含まれていないと考え、割高でも国産大豆を選択してきたが、これまで政府・農林水産省も、組み換え作物の商業栽培は国内では無いと認識してきたのではなかったか、政府のご見解を伺いたい。
5 消費者の組み換え作物に対する不信・不安にもかかわらず、たとえ極少量といえどもGM大豆を国産大豆に混入・流通させた農林水産省の責任は重大であると考えるが、政府のご認識をお伺いしたい。
6 当該GM大豆が国が支給する交付金の適用も受けていたということは、国産大豆にGM大豆は含まれてはいないと考え、たとえ割高でも国産大豆を選択してきた消費者感覚からすると、「安心料」として支払ってきた価格と税金(交付金)に対する二重の裏切りと捉えられかねない。食の安全に関する制度への信頼を揺るがす事態と考えざるを得ない。当該交付金制度は、大豆の輸入自由化に伴う国産大豆の生産確保と農家の所得保障のために導入された交付金制度であるとしても、食の安全から国産大豆が消費者選好されている現状で、GM大豆への交付金適用は不適切ではないか、政府のご認識をお伺いしたい。また、至急に交付金制度の改善が必要と考えるが、政府のご見解をお伺いしたい。
7 政府は、当該事例のGM大豆以外の国内における遺伝子組み換え作物の商業栽培及び流通・販売については把握しているか。また、消費者の国内産作物の安全性への信頼確保のため、遺伝子組み換え作物の商業栽培及び流通・販売について情報告知の義務付け等の措置が緊急に必要となると考えるが、政府のご認識とご対応につき明らかにされたい。
8 「ラウンドアップレディ大豆」については、一九九六年、国が食品としての安全性を確認はしているため、その栽培は法的にはなんら問題は無く、今回のGM大豆栽培計画は生産者の自主的な判断で中止となったが、もし栽培が強行された場合でも、中止を求める法令的な根拠は無い。しかし、消費者の組み換え作物に対する不信・不安から、大豆の主要集荷業者は、GM大豆は扱わないこと、そして栽培した農家の周辺農家の大豆についても、交雑や混入の判断が難しいため取り扱わないことを表明している。もし栽培が強行された場合、周辺農家の大豆までもが集荷・販売径路から排除され、交付金も適用されないばかりか、独自販路を開拓しなければならなくなるなど、周辺農家にまで極めて甚大な経済的被害をもたらすことになると考えられる。
 GM大豆栽培が強行された場合における、周辺農家への交雑被害や交雑の恐れからの風評被害、また混入被害に関して、飛散防止措置や損害賠償制度などについて、罰則を伴う法規制も必要と考えるが、政府のご見解をお伺いしたい。また、これら周辺農家被害への対応策の検討状況を明らかにされたい。

 右質問する。



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