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平成十六年十一月十七日提出
質問第四一号

高速横浜環状道路南線に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




高速横浜環状道路南線に関する質問主意書


 本件に関し提出者は、平成一四年六月一七日提出質問第一〇八号において、大気汚染被害の危険性及び本道路計画の抜本的見直し等につき政府見解を問い、平成一四年七月二六日受領内閣衆質第一〇八号答弁書の回答を受けた。しかし、尚、不明な点が多いこと、さらには地域住民が自動車公害調査や政策提言実績が豊富なシンクタンクである「環境総合研究所」の協力を得て行った、「桂町交差点〜上郷公田線〜公田インターチェンジ〜神戸橋」の区間についての大気汚染と騒音の「市民による環境影響予測・評価」(以下、「自主環境アセス」という)の内容と結果を踏まえ、平成一六年八月四日提出質問第四一号(以下、「質問四一号」)をもって、再度、政府見解を問い、平成一六年八月一一日受領内閣衆質一六〇第四一号答弁書(以下「答弁四一号」)の回答を受けたところである。
 しかしながら、再度にわたる質問及び答弁でも、不明な諸点が十分に明らかになったとはいえない。ついては、改めて以下の質問を行う。政府におかれては、提出者の質問に対し一問一答の形式で回答をいただくようお願いしたい。

一 当該地域の大気汚染予測にプルーム・パフモデルを適用することについて
一−1
 提出者は「質問四一号」で、『昭和五八年環境影響評価の手引き』(東京都)並びに『大気汚染の予測手法の適用性に関する調査業務報告書』(国土交通省国土技術政策総合研究所)、及び『大気環境予測講義』(東京情報大学教授 岡本眞一)の行政手引きや学識者知見をもって、当該地域の大気汚染予測にプルーム・パフモデル適用は適切でないことを示したが、政府は、適切である旨答弁されている。政府は、これら行政手引きや学識者知見に記されたプルームモデル導入時の制約条件自体を否定するのか、否定するのであればその根拠を提示すべきである。政府の見解を伺いたい。
一−2
 政府は、「プルーム式、パフ式は、特異な地形、気象などの条件下でない限り、地域特性等を考慮した係数を適切に設定することにより、地形条件も考慮した大気汚染の影響を予測することができる一般的な手法である」と回答されているが、妥当性を欠くものであると考える。
一−2−@
 政府は、当該地域を特異な地形でないとする根拠として、平成七年一二月〜八年一二月の三地区における気象調査を挙げている。しかし、プルーム式・パフ式は一様な風向・風速であること、つまりは平坦地であることが前提とされる。当該地域の地形はそのような状況とは言えず、また一様性の検証たり得る十分な気象調査は行われていないと考えるが、政府の見解は如何か。
一−2−A
 政府は、係数設定によって「地形条件も考慮した大気汚染の影響を予測することができる」と回答されている。しかし、係数設定で考慮できるのは、せいぜい一様に凹凸がある程度の地形である。当該地域は、到底、一様な凹凸地形であるとは言えないが、係数設定のみで地形条件を考慮した大気汚染の影響予測ができるという科学的根拠を提示すべきだと考える。政府の見解を伺いたい。
一−2−B
 プルームモデルにおける鉛直座標要素は、排出源の高さと濃度予測位置の鉛直座標のみである。大気汚染物質は地表面を突き抜け拡散することはなく、地表面付近に滞留または地表面に沿い拡散する。ゆえに、濃度予測位置と地表面の鉛直距離が濃度予測値に強く関係する事は自明である。にもかかわらず、プルームモデルは、排出源の高さと地表面の距離が至る所一定という前提で成立するもので、当該地域の様な起伏の激しい地形では、排出源の高さと地表面の距離は各所で大きく変化しており、その前提は成立しないと考える。政府の認識を問う。
一−2−C
 それでもなお、政府が、プルームモデルの妥当性を主張されるのであれば、ただ「一般的な手法である」では説明足り得ない。当該地域の特殊性条件がプルームモデルで十分に考慮されるという、明確な科学的根拠を明らかにされたい。
一−3
 提出者は「質問四一号」で、神奈川県が実施した環境影響評価書(以下、「事業者アセス」)で予測を行った二地点で、「自主環境アセス」の予測結果と次のように比較し、「事業者アセス」は地形等の影響を十分に考慮できる予測手法を適用していないために予測結果が過小である事を指摘した。
               事業者アセス         自主環境アセス
 公田インターチェンジ    〇・〇四九ppm       〇・〇七一ppm
 栄区上郷町         〇・〇四七ppm       〇・〇六二ppm
 この予測結果の差異について政府の見解を伺いたい。さらにもし、予測結果が過小であるという提出者の指摘を否定されるのであれば、この予測結果の大きな差異は何が原因で生じたか政府の認識を伺いたい。
二 環境予測やり直し及び現況調査と将来予測実施の必要性について
二−1 NO2の環境予測やり直しの必要性
二−1−@
 「自主環境アセス」の予測結果では、桂町交差点、公田インターチェンジ及び神戸橋交差点周辺では環境基準を超えることが予測された。政府は、「事業者アセス」が各種通達、指針等に基づいて行われたことを根拠に適切としているが、それは必ずしも科学的に正しいことということにはならず、また地域住民の不安への回答にはなり得ない。地形、建築物及び構造物を考慮した最新・最善の手法により、SPM(浮遊粒子状物質)や大気逆転層の影響予測も含めた大気汚染の予測をやり直すべきだと考えるが、政府の見解を問う。
二−1−A
 「事業者アセス」審査書による、「こうした強い逆転層が出現した場合・・経時的に現行の予測値をかなり上回る濃度になる可能性が多い」との指摘に対し、事業者は同報告書で「拡散計算のなかでは逆転層の影響も考慮」と言及しているのみで、大気逆転層の影響に関し住民には何ら説明をしていない。また、「自主環境アセス」では大気逆転層の経時的影響は重大であることが推定されている。事業者は、大気逆転層についての実態を把握し、公表するべきではないか。政府の見解を伺いたい。
二−1−B
 政府が「答弁書四一号二の1のB」でいう、「必要な情報を適切かつ効果的に把握できる地点」とは、具体的にはどのような地点を指し、事業者はその地点をいかなる手法で決定するのかお示しいただきたい。また、地域住民が自らの住居でどのような大気汚染や騒音が発生するのかを知るためには、特定地点のみの予測表示だけでなく面的予測を行い、分かりやすく示すことが不可欠であると考えるが、政府の見解を伺いたい。
二−2 地盤沈下による住環境の予測調査やり直しの必要性
 桂台トンネルが計画されている周辺地域は複雑な地層・地盤構成のため、ボーリング調査結果を分析しない限り、地下構造物建設による地下水位変動に伴う地盤沈下や家屋の不等沈下についての適切な予測調査は困難である。この点で、ボーリング調査なしで行った「事業者アセス」には限界があると言わざるを得ない。事実、「事業者アセス」作成以降に、事業者が当該地域で行ったボーリング調査の結果、周辺の地層・地盤構成が定性的・定量的に明らかになり、「事業者アセス」記載の地層・地盤構成とは異なることが判明した。提出者は「質問四一号」で、この「事業者アセス」作成以降のボーリング調査結果を前提に質問した。しかしながら政府回答は、「事業者アセス」内容に依拠しており、地域住民の不安に応える回答とはなっていない。
二−2−@
 (イ) 政府は、「事業者アセス」の地質縦断図で把握が可能と回答している。しかし、ボーリング調査をしていない地質縦断図だけで複雑な地層・地盤構成を把握することは困難であり、地域住民の不安に対し極めて不誠実な回答といわざるを得ない。
 事業者は、桂台トンネルのbQボーリング地点付近の埋立土層、旧谷沢部表土と風化砂岩層及びトンネル位置関係を解り易く示した三次元立体図を地域住民に公表すべきだと考えるが、政府の見解を問う。
 (ロ) 提出者は、bQボーリング地点付近の桂台トンネル土被りを構成する地層・地盤構成(埋立土層と旧谷沢部の表土および風化砂岩層)は、トンネル工事中において崩壊・崩落する危険性が極めて高いと指摘した。
 政府は、「トンネル区間の地盤沈下の影響及びその対応方法については、環境影響評価書において評価がなされている」と回答している。しかし、「事業者アセス」では、極端に薄く脆弱な風化砂岩の土被りに対し、何ら技術的・科学的な評価を行ってはいない。
 桂台トンネルbQボーリング地点でのトンネル建設時及び建設後に発生が予想される危険要因(リスク)とそれに対する具体的対応策を、事業者は地域住民に具体的に解り易く公表すべきと考えるが、政府の見解を問う。
二−2−A
 桂台地区は広大な面積を埋め立てた造成地で、幾筋もの谷・沢があり、bQボーリング地点に連なる谷沢部は三〇〜三五mと深い。「事業者アセス」では、当該地区と全く関係のない横浜市の他地域の地盤沈下状況を掲載しているが、広大で深い谷沢部を埋め立てた宅地造成地の地下水の挙動と地盤沈下等に対する技術的・科学的評価は一切行っていない。
 また、政府は、「事業者アセス」記載の「地山に密着した支保(吹き付けコンクリート等)を施工し、背面の空隙を無くすとともに、必要に応じて縦縫地工法等の地山補強工法を採用することから沈下は最小限に抑えられ、周辺に対する影響は小さいものと考えられる」と回答している。しかし、前記工法のみでトンネル建設に伴う地下水排水は防止出来ず、関越トンネルや青函トンネル、八王子城跡トンネル等、トンネルの大小、施工工法の如何にかかわらず、トンネルを建設すれば必ず出てくるものである。さらにまた、横浜市の最近の例でも、栄区桂町で横浜市施工の下水道トンネル掘削工事の結果、小断面トンネルで大深度、しかも地盤は硬い大船層にもかかわらず、周辺に大規模な地盤沈下が発生している。したがって、政府回答は、残念ながら地盤沈下や家屋不等沈下の発生を危惧する地域住民の不安に応える回答とはなっていない。
 (イ) 政府は「事業者アセス」の記載に基づき、「トンネル工法の検討を行い適切な工法を採用する」と回答しているが、
 a これらの各工法、すなわち、「山岳工法」「地山に密着した支保(吹き付けコンクリート等)を施工し、背面の空隙を無くす」「縦縫地工法」の各工法の特長と相違点、
 b 前記工法から適切な工法を選択するための判定基準、
 c 前記a、bを踏まえ、桂台トンネルの如何なる場所にそれ等の工法を使用するのか、
 工法選択の根拠を明確にした上で、具体的に図示し地域住民に解り易く示すべきと考えるが、政府の見解を問う。
 (ロ) 縦縫地工法等の地山補強工法を使用したトンネル施工の実施例について、その詳細(工法、施工時期、トンネル名、トンネル寸法、土被り深さ、地層・地盤構成、地盤沈下量など)を地域住民に示すべきと考えるが、政府の見解を問う。
 (ハ) 桂台トンネルが貫通する地質は、浮石を多量に含む砂岩層・泥岩層で、その土被りは二八〜四〇mと深く、地下水は地表面より五〜八m以深に存在している。このような地盤で、(イ)の事業者が述べている各工法を桂台トンネルに採用し、大深度、大断面トンネルを掘削した場合、埋め立て宅地造成地やその周辺地域での、湧水量・漏水量・排水量及び地下水位低下量は如何ほどになるのか、事業者は科学的根拠を以って各工法毎の予測値を、これ等の工法を採用しない場合との比較を含め、解り易く地域住民に示すべきと考えるが、政府の見解を問う。
 (ニ) (ハ)の湧水量・漏水量・排水量及び地下水位低下量と併せ、地盤沈下量及び家屋不等沈下量は如何ほどになるのか、事業者は科学的根拠を以って各工法毎の予測値を、これ等の工法を採用しない場合との比較を含め、解り易く地域住民に示すべきと考えるが、政府の見解を問う。
 (ホ) 関越トンネル、青函トンネル、大清水トンネル、八王子城跡トンネル等での地盤状況や湧水量・漏水量・排水量等の測定実績と、桂台トンネルの湧水量・漏水量・排水量等の予測値と比較したものを、地域住民に示すべきと考えるが、政府の見解を問う。
 (へ) 当該地域と同様の地盤や埋め立て造成地で戸建て家屋が林立する環境構成下で、大断面トンネルを掘削し、地盤沈下や家屋の不等沈下を起こさなかった類似事例はあるのか。事業者は事例の有無及びその詳細を地域住民に示すべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。
二−2−B
 答弁書四一号二の2のCについて
 (イ) 政府は、「桂台トンネルの東坑口付近における地下水位等の地盤調査については、平成八年に実施した」と回答しているが、事業者はボーリング調査結果を開示すべきではないか。政府の見解を伺いたい。
 (ロ) 西ヶ谷地区(野七里、矢沢地区)の埋立造成地域内での地質・地下水調査は全く行われていない。事業者は早急に調査すべきであると考えるが、政府の見解を伺いたい。同時に事業者は、西ヶ谷地区(野七里、矢沢地区)の埋立状況図を作成し、地域住民に公開すべきであると考えるが、政府の見解を伺いたい。
 (ハ) 政府は同じく、「事業者アセス」記載の通り「地下水位の漏水を最小限に抑えるため、地下連続壁工法に代表される止水性の高い工法を採用する」と回答している。事業者は地下連続壁工法の採用を決定したのか、まだ決定していないとすれば、如何なる判定基準を以って工法の採用を何時決定するのか、地域住民に説明すべきと考えるが、政府の見解を問う。
 (ニ) 政府の言う、事業者が採用する止水性の高い工法により、沿線周辺の宅地造成地での地下水の漏水量及び地下水位の低下量は如何ほどになるのか、その予測値を、前記止水性の高い工法を採用しなかった場合との比較を含め、地域住民に公開すべきと考えるが、政府の見解を問う。
 (ホ) (ニ)の地下水の漏水量及び地下水位の低下量と併せ、沿線周辺の埋立宅地造成地での地盤沈下量及び住宅家屋の不等沈下量は如何ほどになるか、その予測値を、前記止水性の高い工法を採用しなかった場合との比較を含め、地域住民に公開すべきと考えるが、政府の見解を問う。
 (ヘ) 当該地域と同様の地盤や埋め立て造成地で戸建て家屋が林立する環境構成下で、遊水地のコンクリート製の土留め擁壁の一部を撤去し、開削するような工事において、地盤沈下や家屋の不等沈下を起こさなかった類似事例はあるのか。事業者は事例の有無及びその詳細を地域住民に示すべきと考えるが、政府の見解を問う。
二−2−C
 再三指摘した通り、ボーリング調査なしで行った「事業者アセス」に依拠する限り、残念ながら政府回答も、事業者説明も、地盤沈下や家屋不等沈下の発生を危惧する地域住民の不安に応えるものとはならない。事業者は、早急に、当該地域で大規模な地下水と地盤に関する調査を行い、地盤沈下や家屋不等沈下に関する環境予測調査を実施し、地域住民に全ての情報を公開すべきである。その上で住民の合意を得ることが出来なければ事業継続をすべきでは無いと考えるが、政府の見解を問う。
二−3 振動について環境予測やり直しの必要性
二−3−@
 政府は、開削トンネルのみを対象に回答しているが、南線及び上郷公田線トンネル(桂町交差点〜公田インターチェンジ)など土被りが浅い(二〜一七m)掘削トンネルのトンネル内自動車走行による振動の住環境への影響は重大であると考える。「事業者アセス」では環境予測が行われていない事から、当然、環境予測のやり直しが必要と考えるが、政府の見解を問う。
二−3−A
 事業者が振動は無いと主張するのであれば、土被り深さ・地質・地盤構成・路面傾斜・トンネルサイズ等が類似した事例を地域住民に公表すべきと考えるが、政府の見解を問う。
二−4 低周波空気振動について環境予測やり直しの必要性
 政府は答弁書で、「事業者アセス」に基づき「環境保全目標を達成できる」と回答している。しかし「事業者アセス」では、低周波空気振動について何ら具体的な評価を行ってはいない。改めて政府の見解を問う。
二−5 騒音の現況調査と将来予測実施の必要性
 提出者は、「現行の等価騒音レベルの環境基準を達成出来るかどうか「事業者アセス」では確認していないから、現況調査と将来予測を実施すべきだ」と質問したのに対し、政府は、「「事業者アセス」により騒音の環境保全目標を達成できると評価されている」と回答されたが、回答にはなっていない。「事業者アセス」で用いられているモデルは、以前の環境基準に対応し極めて単純で予測精度も低い。現行モデル、環境基準に対応した予測を対策実施前後について行ってはじめて、環境保全目標を達成できるかどうか評価が可能となるのではないか。改めて政府の認識を問う。
二−6 上郷公田線「桂町交差点〜上郷公田線トンネル〜公田インターチェンジ」区間の現況調査と将来予測実施の必要性について
二−6−@
 上郷公田線と横浜環状南線は、事実上一体として開発が行われる事業であり、事業者及び横浜市も、従来、「上郷公田線は南線と一体的に整備される」と説明してきた経緯がある。形式的に上郷公田線のみを取り出し、市条例でアセスの対象にならないと対象外とするのは環境配慮の点からみて不適切であると考えるが、政府の見解を問う。
二−6−A
 関係住民は、平成一六年九月一五日に、横浜市道路局及び日本道路公団に対し「自主アセス」を提出すると共に、詳細な説明を行った。同道路局は、法律に従って事業を進める立場だとしながらも、「自主アセスはより高度なやり方であり、よくやったと思う」と述べ、「本件事業者として、公式のアセスではないが、住民の納得するような、大気汚染、騒音、地盤沈下などの環境予測を実施する。その実施計画が出来次第、住民に連絡する」旨を表明した。先の政府見解にかかわらず、事業者のこのような対応につき、政府の見解を問う。
二−7 事業者が検討している諸環境対策についての環境予測の実施
二−7−@
 事業者は、平成一六年三月二四日開催の設計用地説明会で、大気・騒音・地盤沈下などについて環境対策を検討している旨を公表した。それに基づき、提出者は、それらの環境対策を前提とした環境予測を改めて実施する必要性につき質問したのに対し、政府による答弁には十分な回答が見当たらなかった。改めて環境予測のやり直し及び現況調査と将来予測を実施する必要があると考えるが、政府の認識を問う。
二−7−A
 政府は、大気汚染、地盤沈下、振動、低周波空気及び騒音等について「本件「事業者アセス」は適切なもの」と記しながら、その一方で、低周波空気振動、SPM及び騒音について、「関東地方整備局が今後、再評価を実施するに当たり、実態の把握に努める」と回答している。実態把握がなされていない環境項目について、「事業者アセス」が適切であると政府が述べる根拠を明らかにされたい。
二−7−B
 「自主環境アセス」によれば、大気汚染及び騒音について当該地域の一部は環境基準をこえるほか、全域にわたって環境が悪化することが予測されている。SPMと大気逆転層を含む大気汚染及び騒音及び低周波空気振動について、改めて本格的な環境調査を実施するべきと考えるが、政府の見解を問う。
三 公田インターチェンジ部の排ガス漏れ出し及び加速時の排出係数について
三−1
 風洞実験が環境予測の一般的手法であることと、横浜国道事務所の風洞実験の内容が適切であったかということは別問題である。二百分の一の風洞実験が、現況に相似するための要件と実験結果から相似であることを検証し、地域住民に説明すべきであると考えるが、改めて政府の見解を伺いたい。
三−2
 提出者は質問四一号で、公田インターチェンジランプウェイで当然予想される加速時の排ガスの増大について質したが、それに対する政府の答弁は平均値についてのものであった。インターチェンジ付近の地域住民は、自動車の平均的走行ではなく、自動車の加速による排気ガスの影響を心配しているのであるから、料金所前後のように減速のみ、加速のみが行われている区間に関しては、その自動車の動きに対応する排出係数を用いるのは当然と考えるが、改めて政府の見解を伺いたい。
四 「十年目の事業再評価」における本事業の抜本的見直しの必要性について
四−1−@
 住民意見は再評価において直接的に取り入れられなければ、それが適切に考慮されるとは考えにくい。設計・用地説明、用地補償説明等で聴取すべき意見と、再評価において聴取すべき意見は異なる性格であり混同すべきでない。適宜、住民意見反映の機会を設け、納税者に公開された場で議論されることが必要であると考えるが、政府の見解を問う。
四−1−A
 提出者は質問四一号で、再評価のための対応方針原案をまとめるに当たり、予め住民の意見を聴く制度を設けることの必要性を政府に問うたが、答弁がなされていない。住民の意見を取り入れる制度を設けるのか否か、重ねて政府の見解を問う。
四−2
 公共事業の多様な効果を数値化することや総合化することに技術的な課題が多いのは当然である。しかしながら、実際の再評価の場において、評価結果総括表に示された項目の評価をまず行い、公開の場で国民意見を含めて議論を重ねてこそ、より有効な知見が得られるのではないか。政府の見解を伺いたい。
四−3
 公共事業評価システム研究会は「評価結果総括表(総合評価表)」の各項目に従って再評価を実施することを提案している。もしその数値化の作業が遅れているというのであれば、その各項目について代替の方法を適用するべきではないかと考えるが、政府の見解を問う。
四−4
 事業評価監視委員会では、一般常識から判断しても、あまりに短時間で多くの案件が審議され、かつ、検討に付されたほぼ全ての事業が原案了承・事業継続と追認されている。
 提出者は質問四一号で、かかる現状は、事業評価監視という同委員会設置の目的自体が機能不全状態ではないかを問うた。その問いに対し「審議方法を工夫すること等により」では答弁にはならない。改めて政府の見解を伺いたい。また、関東地方整備局担当官から聴取したところでは、委員の出席が足らず、担当官が各委員のところを回るいわゆる持ち回り審議で、原案了承・事業継続の審議結果を得ていることもあるようだ。これが政府の言う「審議方法を工夫すること」に当たるのか、併せてお伺いする。
四−5
 政府は答弁書で、二酸化窒素とともに低周波空気振動、SPM、及び騒音の三項目についても、「関東地方整備局において、再評価を実施するに当たり、最新のデータ及び予測手法を用いて、環境影響の照査を行う予定」と回答している。
四−5−@
 政府の言う「予測手法」とは、二酸化窒素、低周波空気振動、SPM及び騒音について、それぞれどのような予測手法を適用するのか明確に把握した上で、「低周波空気振動」を除き、その予測手法は、当該地域の地形を考慮できる適切な手法によらなくてはならないと考えるが、政府の認識を問う。
四−5−A
 政府の言う「照査」とは、どの様な内容を指すものか明確に把握した上で、「自主環境アセス」の結果によれば、抜本的な再環境調査こそが必要であると考えるが、政府の認識を問う。
四−5−B
 政府は、「事業者アセス」に含まれてはいない、低周波空気振動、SPM及び騒音について、「実態の把握に努める」と回答されているが、「実態の把握」とは如何なる内容の作業を実施することなのか、政府のお考えを伺いたい。また、未だ実態が把握されていない状況で、本事業を進めるべきではないと考えるが、如何。
四−5−C
 政府は、SPMについては事後調査を行うとされている。しかしながら事前調査、予測があってこそ、事後検証が意味あるものとなると考える。供用後の環境対策がいかに困難であるかは事例に事欠かず、国道四三号線における騒音対策は未だに対応しきれていない。また川崎大気汚染公害では、国等はその管理責任を問われ、住民への賠償金支払いとともに、四千億円を投じ環境対策を実施してきたが、川崎に青空が戻らないばかりか、ぜん息罹患者は川崎全域に広がりつつある。これらの反省からも、事前に徹底的な調査と予測を行い、地域住民に対しての説明責任を果たすことが当然と考えるが、政府の認識を伺いたい。
四−5−D
 SPMについては、特にPM二・五以下の微粒子がどれだけ除去されるかが、住民の生命と健康のために重大な問題である。事業者は、集塵装置によりSPMの八〇%が除去されると説明したが、PM二・五以下の微粒子が捕捉されるか否かに確答は無い。政府は、事業者がPM二・五以下の微粒子拡散につき、どの様に把握し対策するかにつき説明を受けているか否かについて、受けているのであればその内容を明確に把握した上で答弁されたい。
四−5−E
 政府が、適切な予測手法により「環境影響の照査」を行うとしている、二酸化窒素、低周波空気振動、SPM及び騒音の四項目について、関東地方整備局は、原案をまとめる前に当然その結果について公表し、地域住民に説明すべきと考えるが、政府の認識を問う。
五 横浜環状道路南線と沿線地域の特性と現状について
五−1
 提出者の本事業計画は、住民の意思や自治体のビジョンと全く相容れないものであるとの指摘に対し、政府は、「都市計画決定後も、関東地方整備局及び日本道路公団においては、各種説明会の開催等を行ってきたところである」と回答している。平成一六年三月二四日、横浜市立矢沢小学校で行われた設計用地説明会では、多数の住民が参加したが全員が事業者の説明に納得していないという意思表明を行った。これに対し事業者は、「会場の皆様の理解を得ていないということを非常に重く受け止めている」と認めた。各種説明会の開催ではなく、その場で示されている住民意見の内容こそが重要ではないのか。当該説明会などの議事要旨等を調べた上で、この点についてどう考えるか、政府の見解を問う。
五−2−@
 当該地域周辺の小中学校における異常に高いぜん息罹患率は、周辺地域が地形による大気逆転層の影響を受け易い地域であることが原因ではないかとの、提出者による質問に対し、政府は明確に回答をしていない。改めて政府の認識を問う。
五−2−A
 現在でも学童のぜん息罹患率が異常に高い当該地域周辺に、公田インターチェンジ及び神戸橋高架橋が予定される当該道路計画は、「自主環境アセス」によってさらに周辺の環境悪化を招くことが予測された。この地域に住民の生命や健康に被害を与える六車線の高速道路は建設すべきでないと考えるが、政府の見解を問う。
五−3
 政府は答弁書で、「釜利谷地区については、近郊緑地保全区域又は近郊緑地特別保全地区に含まれることから、法令を遵守した上で適切に事業を実施」と回答された。しかし実際は、トンネルの釜利谷側には何らの大気汚染防止策が講じられていないばかりか、トンネル反対側からの排気ガスを釜利谷側に逆流するよう計画されている。これは釜利谷地区の大気汚染をかえって悪化させる方策であり、近郊緑地保全区域又は近郊緑地特別保全地区として適切な事業実施とは到底考えられない。この点について改めて政府の認識を問う。
六 本事業の総事業費とその妥当性、採算性及び費用便益性について
六−1−@
 政府は答弁書で、四三〇〇億円は総事業費の試算として整理したものと回答された。政府は、確定した予算無しで本事業を進めているのか、政府の見解を伺いたい。
六−1−A
 提出者は、各内訳項目毎に差額が生じた理由につき説明されたい旨質問した。しかし政府答弁書では回答がなかったので、改めて政府の説明を求める。
六−2−@
 政府は、総事業費及びその妥当性、並びに費用便益性について、「再評価を通じて、客観的に評価し、公表する」としている。当然ながら、「客観的に評価し、公表する」時期は、本事業再評価の原案をまとめる時期であるべきと考える。原案の段階で先ず納税者に公表することが、客観的評価の第一条件と考えるが、政府の見解を問う。
六−2−A
 有料道路事業の採算性について、日本道路公団から提出された収支予算の明細書と適正であるとの確認書を納税者に公開すべきであると考えるが、政府の見解を伺いたい。

 右質問する。



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