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平成十六年十二月二日提出
質問第七八号

沖縄での米軍ヘリ墜落「事故調査報告書」等に関する質問主意書

提出者  東門美津子




沖縄での米軍ヘリ墜落「事故調査報告書」等に関する質問主意書


 在日米軍岩国航空基地に配備されていた米軍CH53D型ヘリ(シースターリオン)が、二千四年八月十三日に沖縄国際大学構内に墜落した事故に関連して十月五日に、日米合同委員会第二分科会に調査報告書が提出され、それを受けて八日には関係自治体や報道機関に公開された。しかるに、報告書を吟味するいとまもない十三日には同型ヘリの飛行が再開され、十五日には、政府は米軍とともに岩国市、山口県を訪れ、同型機の岩国への帰還に同意して欲しい旨せまり、自治体の合意を取り付けた。
 この経過は、事故報告書の公表が、事件の幕引きのきっかけ、ないし根拠となったことを示唆している。従って、次の事項について質問する。

一 事故報告書に関連して
 1 全部でA4二百十ページの中で、一、二ページが公開されていないのは何故か、その理由を明らかにしていただきたい。ここには、報告書の名称や報告書を書いた主体が書かれていると考えられるが、報告書本体の重要な一部分であり、是非とも公表していただきたい。仮に公表は不適当と判断した場合には、その理由を明らかにされたい。報告書において、氏名が黒く塗られている部分などがあり、それはプライバシーの保護という理由があり、理解できないでもないが、一、二ページは、いわば報告書の表紙に当たる部分であり、公表できない理由は考えられない、明確なご説明をお願いしたい。
 2 本報告は、正式の承認された報告書としては体裁が全く整っていないように見受けられるが、最終報告書なのか。つまり司令官の承認を受けた公式のものなのかどうか、その位置づけを明確にしていただきたい。
 3 調査がWinfieldScottCarson海兵隊中佐一人で行われており、本文も氏が「I」を主語として構成されている。公的な組織による報告書であれば、調査委員会が組織され、調査委員会としての報告書が出されるのが通常の姿である。調査委員会は作られているのか否かを明確にしていただきたい。またカーソン中佐は、ヘリ等について技術的な内容に精通した技術者なのか明らかにされたい。
 4 報告書には一部に乱丁があったり、誰に対するインタビューなのか明記されていないなど不備が目立つが、それらの修正を求めたか、この事実は、第三者が報告書の最終チェックを行っていないことを物語っているのではないか。理由を明らかにされたい。
 5 インタビューでしばしば出てくる[modifiedquickrig]とは、このヘリ部隊に特有のものなのか否かを明らかにしていただきたい。少なくとも、報告書からは、以前から幅広く行われている操作であるような記述になっており、同型機に特有のものとは思えないが、その理由をご説明願いたい。
 6 この報告書には、技術的検討報告は含まれているのか。技術報告が含まれているとしたら、どの部分か示してほしい。実は、本文の中に「技術報告」「engineeringreports」は、できてないことを示唆する記述がある(p.19of210)。カーソン中佐は、「技術レポートが、この兵長の話(コッターピンは、入っていることを確かめたという証言)が間違いであると証明することを信じる」(政府の仮訳では、十七ページの二行目に「技術報告書により、■■■兵長が間違っていることを確認することになると当職は信じている。」となっている部分である)と意見を述べている。原文ではカーソン中佐が“believe”“will”という単語を使っており、この時点で、技術的な調査の結論が出ていないことを示唆しているのではないか、ご説明を願いたい。
 7 事故機は、フライトレコーダーやデータレコーダーを持つのか、持たないのか。持つのであれば、その解析結果は、報告書のどこに記載され、どう利用されているのか。これらの記述が見あたらないのである。技術調査がなされるとすれば、フライトレコーダーなどの解析が客観的な資料として不可欠であることは言うまでもないことである。以上のことからも、技術報告はまだ作られていないと判断できるが、政府はどう考えているのか、ご説明願いたい。
 8 問題の焦点であるボルトの抜け落ちを防止するコッターピン(Cotterpin)は、元々装着されていなかったのか、それとも装着されていたが抜けてしまったのか、どちらなのか。この点は、証拠も含めて本報告書で明快にされているのか。「コッターピンの装着ミス」に関して、物証を含めて検討されていないまま、報告書が作られているのではないか。これらの記述を通じて、事故原因が明確になったという部分はどこなのか。この点が明らかでないと、報告書によって事故原因が明らかになったとは言い難いのではないか。ご説明をお願いしたい。
 9 政府が作成した「事故調査報告書の概要」には、第五パラグラフに次のような記述がある。「事故発生原因は整備不良によるものであった。整備要員が実施されるべき整備の内容につき混乱し、また、事故機のフライト・コントロールの接続について決められた手順を守らず、コッターピンはテール・ローター・サーバーの接続ボルトに正しく装着されていなかった。」とある。
 この記述は、報告書のどの部分から引き出したものか示してほしい。このような結論を引き出せる内容を報告書は持ち合わせていないようであるが、特に質問6、7、8に関わる問題などとの関連で省察していただきたい。前記のような結論を下すには、カーソン中佐の聞き取りだけでは不十分で、きちんとした技術的な検証が必要だと考えられるが、ご説明願いたい。
 10 質問6、7、8、9などに関わって、本報告書に技術的に詳細な検討がなされていることが示されていることが証明されない場合、政府は、何をもって、飛行再開と岩国への帰還の受け入れを決めたのか明らかにしていただきたい。
二 その他
 1 事故の直後の八月二十二日に同型ヘリ六機がイラクに向けて出たことに対して、当時政府は抗議したが、その後、現在までにどのような取り組みをしてきているか。本報告書からわかることは、事故は、米軍がイラクへのヘリ部隊の派兵を急いでいたなかで発生しており、事故が発生してからも、米軍の基本姿勢は変わることがなく、日本政府の抗議をもふりきる形で、二十二日には、六機をイラクに向けて飛行させてしまったのである。ここから見えるのは、沖縄県民の生命や安全よりも、イラク情勢との関連で一刻も早く沖縄からヘリ部隊をイラクに派兵させることを最優先させる米軍の変わることのない基本姿勢であるが、これに対して、政府はどのように考え、どのように行動しているのかご説明していただきたい。
 2 事故が起きたとき、普天間基地には、十二機のヘリがいたと言われている。内一機が事故で墜落し、六機がイラクへ、残る五機が岩国に帰還する予定(そのうち三機は既に十月二十八日に帰還ずみ)である。岩国には、元々八機いたはずなので、イラクに行ったヘリの内、少なくとも二機は岩国に配備されていたものである。ご説明をお願いしたい。
 3 事故を起こした同型機のうち八機は、二千二年二月に岩国に配備されたものであり、その時の配備理由は、「テロなどの不測事態が発生した場合における人道支援や災害救助活動」のためと地元自治体に説明がなされている。しかるに、イラクに派兵されたヘリは、明らかに、米軍のイラク占領、ないし戦闘に関わるものとして役割を持っているはずであり、安保条約六条の極東条項から見ても範囲を超えたオペレーションに関わっていることは明白である。政府として、このようなことを容認しない姿勢を示すべきではないのか。明確な説明をお願いしたい。

 右質問する。



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